【原型師INTERVIEW 番外編】あの伝説のMVを再現可能!?『S.H.Figuarts Jamiroquai』制作インタビュー!

『Jamiroquai』のフロントマン「Jay Kay」がS.H.Figuartsで登場!付属の「一人掛けソファ」2セットと「三人掛けソファ」1セットを使用すれば、あの「Virtual Insanity」のMVを再現できると話題沸騰中です!本作に携わったBANDAI SPIRITSの岡本圭介さん(企画担当)と今村拓也さん(プロモーション担当)に制作の裏側をお聞きしました。

 

INTERVIEW

——本作を企画された経緯について。

岡本:弊社の『S.H.Figuarts』というブランドは約12分の1スケール(全高約 15cm)のアクションフィギュアながらも弊社が実在の人物を再現する際に用いる「魂のデジタル彩色技術」というプリント方法を使う事で12分の1サイズでもリアルに実在の人物を作ることができています。
このシリーズでは、芸能の方やアーティストのフィギュア化を1アイテムずつユーザー様のリアクションを鑑みながら展開してきました。6月発売アイテムの(現在は受注終了)T.M.Revolution」展開時に「アクションフィギュアだからこそよかった」という反響が大きかったので、そういったMVやアクションを探していたということと、僕が世代だったということもあり、90年代リバイバルが流行っている今だからこそお客さんの反響を得られるんじゃないかと『S.H.Figuarts Jamiroquai』を企画しました。

今村:「魂のデジタル彩色」では芸能人だけではなく、洋画のキャラクターも制作しているのでそういったところでのノウハウの蓄積が本作に繋がっていると思います。

——通常のフィギュアと異なる点とは?

岡本:通常のフィギュアは一色ずつ彩色していきますが、「魂のデジタル彩色」では顔面のパーツに対して写真に近いようなデジタルのグラフィックデータを作って印刷しています。全体にズレる可能性があるのですが、限りなくリアルな表現ができる技術になっています。インクジェットプリンタで立体物に印刷できる、とイメージしていただければわかりやすいかなと思います。

——御社だけが使用できる技術なのでしょうか?

岡本:昔はこの技術を採用している会社様が少なかったのですが、近頃は国内外の他社様でも増えて来ているようです。
ただ、弊社S.H.Figuartsシリーズで積み重ねてきたノウハウがあるので少しリード出来ているのではと思っています。ですが、作るものによって変わってくるので蓄積したノウハウをどこまで使えるかは毎日苦労がありますね。

——2種類の表情の選別について。

岡本:アーティストを S.H.Figuartsで立体化する際は MVに出てくる表情をできる限り再現したいと考えているので「Jamiroquai」についても同様の思いがありました。これ以外にも数種類を考えていて、真剣な顔がついているのはもちろんですが、付け替え用が歌唱中の顔だと微妙な表情になることが多かったです。それで「YEAH」顔を設定してしまったほうがいいのではないか?踊っている時にも使えるし、歌っているときにも使えるし、というところで選定しました。

——監修はいかがでしたでしょうか?

岡本:ご協力いただいている窓口会社様を通してご監修頂きましたが商品の出来の他、商品化自体についても喜んでいただけました!ご監修は想定していた以上にスムーズだったかなと思います。

——ご本人からのコメントはあったのでしょうか?

岡本:窓口会社様からは「めっちゃ喜んでたよ」と来ましたね。僕らもご本人の声は聞きたかったんですけど…。いつかご本人の喜びの声も直接聞けたらと、まだあきらめていないです!

——特にここを修正してほしいという部分はありましたか?

岡本:プロポーション部分についてコメント頂きましたが、あまりに細かい修正などはなかったかなと思います。最初から出来については「いいじゃん」と言ってくれた印象ですね。

——可動箇所について。

岡本:人体が動くところに関してはできるだけ動かすのが『S.H.Figuarts』なのですが、それに加えてMVの動きが再現できるかどうか、気にしながら製作いたしました。

——指先まで完全再現されていますね。

岡本:大きなロボットキャラクターのフィギュア等であれば、指も動かす事が出来ますが、人体なので「綺麗に見せたいところは手首ごと交換のほうがいいよね」という割り切り方ですね。ただ歌っている時のキツネような手首は絶対に要るよねなど原型師さんと一緒に決めていったって感じですね。

——本作で苦労した部分は?

岡本:着てる洋服はとてもシンプルなのですが、上着のフリースジャケットって脇の部分にたるみができるんですよね。
布だからたるんでる状態とピタッとしている状態の2パターンが形として存在するべきなんですが、フィギュアになるとどうしても立体物なので、ちょうど中間地点で「らしさ」を作らなきゃいけない。そこが難しかったと思います。

パンツに関しても、パンツをダボッと履いているということは足首をしっかりガードしてしまう。そうすると足首が動かせないので、アクションフィギュアとしての性能が落ちてしまうんです。そこで足首を引き出す仕様を盛り込みました。パンツの中からグーッと足を伸ばせる感覚でしょうか。パンツがかぶっている靴の部分を少しだけ引き出せることで、爪先立ちとか斜めにグリッと踏ん張る時の可動がそれっぽく見える事を狙っています。その辺がこだわりであり、難しかったところですかね。

 

——帽子は外れる仕様になっている?

岡本:交換用の顔が付属するので外せるのですが、外した先が差し込み形状みたいになっているので、脱いだ状態を再現するようにはなっていません。

——MVに登場する虫やカラスなどは特典として採用されなかったのでしょうか?

岡本:前作の『T.M.Revolution』の際は星のステージをセット内容として付属しましたが、そのノリで「一人掛けのソファ」と「三人掛けのソファ」「カラス」「虫」など全部つけてしまうと、今の販売価格では確実に収まらないんです。なので、ソファ2種についてはペーパークラフトという形で、できる限りお客様がデスクトップで再現できるようにしました。
「カラス」「虫」については、パッケージのどこかに入れ込んで切り取ってもらう形にできないかなと考えているんですが、僕がレコードやCDの帯についている応募券とかを切り取れないタイプなので、どっちがいいんだろうとは思っています。セット内容と販売価格のバランスにはいつも悩まされています。

——フィギュアの3Dモデルを使用したPVが話題になっていますが、制作時間はどれくらいかかりましたか?

今村:PVの進行は今年の3月下旬より進行をしており、約2ヶ月半の制作期間を要したものとなっております。楽曲周りの契約や、モーションキャプチャーの制作進行は各関係会社のみなさんに協力していただき、商品の進行と合わせて非常にスムーズに進められました。各関係会社様のお力添えナシにこのプロモーション映像は完成しなかったといっても過言ではありません。感謝してもしきれないバックアップをして下さりました。

岡本:原型データを使用出来た事も大きかったと思います。

今村:そうですね。原型データがなかったら、制作に更なる時間を要してた可能性が高いですね。

 

——このPVに関しても監修はあったのでしょうか?

今村:一応楽曲と合わせて、テクスチャ等やCGの彩色をついていないオフラインデータを一度ご覧頂き「コンセプトとしては非常に面白いね」と、窓口会社様経由で非常に良いポジティブな回答をいただきました

——実物を使用してコマ撮りをするという案もあったのでしょうか

今村:コマ撮りのほうがフィギュア感は出るかなと思うんですが、Jay Kay特有のヌメヌメした動きやグルーヴ感は人間の動きの上から3Dモデルをつけるほうが再現性が高いのではないかと思い、これ1本でクリエイティブとして見てもらった方がユーザー様の満足度が高まったり購買に直結するのではないかという戦略のもと、単体でしっかりと勝負しました。
 

——今後のフィギュア展開について。

岡本:様々なキャラクターがアクションフィギュアで商品化されている現在、その対象はジャンルを問わなくなっ てきていると感じます。まだアクションフィギュアを触った事がないお客様にも興味を持ってもらえる人物を中心に、驚きのあるセレクトをしていきたいです。

——最後に、購入を検討している方やファンの皆さまに一言お願いいたします。

岡本:当時『Jamiroquai』を聴いていた世代の方にはサウンドとMVやご本人のビジュアルの懐かしさを是非フィギュアで感じて頂きたいです。『Jamiroquai』を知らない世代の方に対しては、まずは『Jarmiroquai』の曲を最新曲まで聴いてもらって、かっこいい!と思うきっかけになれば嬉しいです。その先に 「フィギュア出てるんだ!欲しい!」「自分の手元で動かしたり飾りたい!」と思ってもらえたら更に嬉しいです。そういった事や気持ちがフィギュア文化が広がっていくには大切だと考えています。今回の『 Jamiroquai』は勿論の事、まだアクションフィギュアを体験した事のないお客様へ向けての発信を続 けていきたいと思いますので、今後の展開にもご期待ください。

 

商品情報

S.H.Figuarts Jamiroquai

登場作品:Jamiroquai
商品内容:・本体
 ・交換用左手首3種、交換用右手首4種
 ・交換用表情パーツ(YEAH顔)
 ・一人掛け用ソファ×2(ペーパークラフト)
 ・三人掛け用ソファ(ペーパークラフト)

商品素材:ABS・PVC
商品サイズ:全高:約150mm
販売価格:9,900円(税込)
予約受付終了:2023年8月6日23時
お届け日:2023年11月発送予定

©︎ 2023 Orenda Merchandising Ltd.

 

 

 
 

Profile

岡本 圭介
株式会社BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部 実写フィギュア企画チーム

今村 拓也
株式会社BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部 プロモーションチーム