満員御礼!「スカルプターズ・セミナー ワンフェス出張版」レポート&造形講評応募作品、全部紹介!

2023年2月12日「ワンダーフェスティバル2023[冬]」の公式ステージで開催された「スカルプターズ・セミナー ワンフェス出張版」より竹谷隆之さん、大山竜さん、塚田貴士さん、大畠雅人さんの4名が登壇されました。

ステージでは事前にご応募いただいた造形作品の中から3作品、造形講評をしていただきました!造形講評では、プロの原型師の意見はとても貴重で参考になるものばかりでした。たくさんのご応募ありがとうございました!


塚田さんお気に入りのGAKUさん「滑走少年」

竹谷さんイチオシのなかちん(DISCOVERY)さん作品「玉乗りジャンボ」

「かわいそうはかわいい」に登壇者全員が心揺さぶられたタロさん「ゾンビガール」

スカルプターズ・セミナー初のワンフェス出張版でしたが、満席で大盛り上がり!現地やYouTubeでご覧いただきありがとうございました。
YouTubeのアーカイブはこちらから閲覧可能です!現地に来られなかった方、配信をまだ見てない方、もう一度セミナーを見たい方はぜひご覧ください!

今回は、昨日講評できなかった応募作品も含め全19作品を登壇者全員のコメントと共にご紹介します!

なかちん(DISCOVERY)さん作品「玉乗りジャンボ」

材料:スカルピー、エポキシパテ、ポリエステルパテ、プラ板
解説:ちんどん屋や見世物小屋、サーカスなどを題材にした「ファントムパレード」というシリーズの一品です。 制作のヒントになった、RCサクセションの曲「エリーゼのために」歌詞の主人公は、ママの言いつけでピアノを習っていますが、本当は太くて固くて破けるような真っ黒なエレキギターが好き。そんな主人公のように、一見は可愛らしけどスリルと遊ぶのが大好きな姿を造形しました。

竹谷さん:妄想力、構成、造形センス、デフォルメ力、彩色センス、どれもが秀逸!現実のいろんなことを観察しているのが伝わってきます。そしてなにより、象の表情やポーズがキュート!もっと大きいサイズの作品も見てみたいという気持ちにもなりますね。

大山さん:世界観が独特で一度見たら忘れられない魅力を感じます。体の大きな象が小さな物の上にバランス良く乗っている姿が造形的、フィギュア的にもとても良いです。塗装にも遊び心を感じる作品で、象の背中に描かれた花の模様が派手すぎず作品に彩りを与えています。体のフォルムは可愛いけど、この世に不満を抱いているような目つきの悪さもキャラクター性が強く出ていて良いと思います。

塚田さん:ちゃんと立体を捉えられている方だと思っていて、粘土的な質感の表面もタッチになっているし、楽しそうでもあり自慢げにも見える顔とか体の動きも上手く表現できていると思います。爆弾のような玉がいいですね。塗装の汚し加減が質感に合っているからでしょうか。デザインのアイデアもいいですし、シワで質感も表現されていて。このままどんどん作ってほしいと思います。

大畠さん:素晴らしいと思います。ずっとこの世界観で作られていますし、僕が何か言うことはないのですが…。世界観や、造形としての完成度、作家性、どれも持ち合わせています。彩色で世界を表現するのも上手です。デジタル造形もご興味があれば是非。とだけ。

GAKUさん作品「滑走少年」

ソフト:ZBrush
解説:去年作った作品です。寅年だったので虎と共にこの1年駆け抜けよう!というコンセプトで作りました。

竹谷さん:ZBrushを自由自在に扱える人は羨ましい!構成や配置の仕方もチャレンジしていて可能性を感じます。トラがエフェクトに変わっていくことの演出をもっと考えてみても良いかなあ、と感じました。

大山さん:アクションの1シーンをカメラで捉えたような作品です。空中に浮いた状態を造形するために支柱を煙のようなエフェクトで表現しています。フィギュア的立体表現としてはオーソドックスな技法ですが、この作品のエフェクトは個性的で独特です。スケートボードで高くジャンプした後、弧を描くように緩やかに降下する。そんな前後の動きをちゃんと想起させる説得力があります。それはエフェクトの造形だけでなく、人物の姿勢や目線などの「フィギュアの演技」の完成度が高いからだと思います。台座のトラも作品の世界観を表現するために一役買っていて良いです。造形作品としても密度が上がり見ごたえもあって好きです。手で抱えている犬のムチムチした肉感や、表情も可愛いです。もしかしたら、この犬を助ける瞬間を立体化したのかな、と思いました。ただ、ここまで動きや世界観を前面に押し出している作品なのでトラの下の丸い台座にもう一つ工夫があれば、更に良くなった気がしています。

塚田さん:キャラがいいですね。少年も犬も表情がいいです。全体のバランス、見せ方もとても良くて、活発な雰囲気が出ていると思います。あと、靴やスケボーなど細かい部分は作ってあるのですが、それプラスこの動きのあるポーズの場合、靴はどう歪むかシワの入り方、ズボンの厚み、虎の毛並みなど、靴下も面白い形なのですが模様の入れ方などなど、実在するとどういう構造になっているかを考えたり資料をよく見てこだわって作りこんでいくとさらに生き生きとした造形になっていくと思います。

大畠さん:とても良いです。勢いや、これを作りたい!という思い、楽しさが伝わってきます。キメ方向はトラから見て横方向だと思うのですが、縦方向から見たときにスッと細くなって立体的な面白みに欠けるところがもったいないです。様々な角度から視線を楽しませる工夫をするとさらに良くなると思います!

タロさん作品「ゾンビガール」

材料:NSPクレイ
解説:ゾンビ化した女の子です。かわいそうはかわいい。

竹谷さん:人体デッサンがちゃんとしていて、観察・分析力が素晴らしい!タイトルがゾンビガールの割にはゾンビ要素が控えめなのは、なにか狙いや計算があるのかも、と勘ぐってしまう程です(笑)。

大山さん:ゾンビとなってフラフラと歩き回る様子を見事に立体で表現しています。前に伸ばした腕や目線、少し笑みを浮かべているような表情など、キャラクター性だけでなく、見た人にストーリーも連想させる演出も見事です。それらの魅力を伝えるための人体造形の精度も高く、フィギュア制作の基礎の重要性を再確認しました。僕が同じ題材で作るとしたら部分的に派手に傷跡をつけたり、腕や脚を歪ませたりしてゾンビ感を演出してしまいますが、それらを抑えた造形でありながら、さ迷うゾンビの異質感と少女の無垢なかわいさ表現の両立ができているところが素晴らしいです。現状、素材はNSPの原型状態。無塗装でこの生々しさなので、塗装した状態も見てみたいです!

塚田さん:人体を良く捉えられている、作れる人だなと思いました。造形的には何も言えることがないくらいです。タイトルが「ゾンビガール」なのですがゾンビに見えない、でも作者のタロさんのコメントで「ゾンビ化した女の子」とありますので、ゾンビ化する前の無邪気に遊ぶ女の子を造形したのかなと思いました。さらにコメントに「かわいそうはかわいい」とあるのにかわいそうに見えない、これは自分で作りながらこの娘の未来に起こることを想像してかわいそう、で、かわいいなと思いながら作ったのかなと妄想しました。どんどんかわいそうな造形をしていってほしいと思います。

大畠さん:デッサン力、人体の把握など力量が伝わってきます。作りたいものも凄く明白。タイトルのゾンビガールだけが少し引っかかりました。しかし、タイトルとの引っかかりで作品に興味を持たせてそこから、あーでもないこうでもないとストーリーを想像させる手もあるので良いかもしれません。とにかく、ストーリーを見る人に想像させるだけの造形力があることが素晴らしいと思います。彩色も見てみたい。

eliさん作品「WETMACHINE」

ソフト:ZBrush
解説:今年から長年避けていたデジタル造型にやっと手を出そうかと思って作成した一作目です。 本作品はイラストレーターのWitnesstheabsurdによってデザインされたものです、合同して投稿させていただきます。

竹谷さん:1カットだけだと判断しづらいので…何カットかあると…そして出力したものだともっと良いかなあ……。見る人に「コワい」や「気持ち悪い」だけじゃない、何かを感じさせるようなものを目指すと良いことがあると思うのです…僕もさんざん言われますから(笑)。この特殊性を高めていってください!
WitnesstheabsurdさんをググってTwitterを閲覧していたら、ありし日の畏友・韮沢靖の写真を見つけました。献杯。

大山さん:イラストレーターと造形師、2人の合作です。人体と臓器を前面に押し出したデザインが特徴的。指の関節や膝の造形、肋骨、筋肉表現などから、制作者の人体描写への強烈なこだわりを感じられるところが素晴らしいです。一番大きな主役級のキャラクターには他のキャラクターと違い目がありませんが、体格や角などから鬼のような強い存在であることがわかります。主役の周囲のキャラクターが恐れのような表情をしているのも面白いです。イラストを立体化したという事で元絵があり、それを再現したのだと思います。ですが、せっかく合作するのであれば立体化する際に少しアレンジしても面白かった気もします。たとえば左の2人を後ろ向きに配置し、後ろから見たときに顔の表情が見えるようにすると、イラストでは味わえない立体ならではの様々な角度で楽しめる作品になった気がします。ですが、自分の好きな要素をすべて詰め込んだような世界観はとても好きです!

塚田さん:ストーリーを感じるデザインで素晴らしいです。内臓を使ってアクションを起こすようですが、捉えて縛り付けているのか、繋がっていて操っているのか。本体らしきキャラクターの頭にツノがありますが猫耳のようというか、特徴になっていて良いなと思います。グロテスクな作風なのにツノのおかげで可愛くさえ見えるところがとても好きです。

大畠さん:イラストレーターさんの作品の立体化ということで、世界観のアウトプットというよりはどれだけイラストを忠実に、また立体として面白く作るかがカギとなってくるかと思います。イラストを見ていないのでどれだけ忠実に出来たかは置いておきまして、立体としてディテールの付け方や、構成力などデジタル1作目としては申し分ない出来です!素晴らしい!メインの「担いでいる人」の下半身、重心のかかり方にもう少し気を配って、担いでいる感を演出してみてはどうでしょうか?

fさん作品「strap」

材料:スカルピー、エポキシパテ
解説:電車にて、吊革に掴まっている人をみて思いついたものです。

竹谷さん:1カットだけだと判断しづらいので…何カットかあると…良いかなあ……。ストラップなら編み紐や革紐をコーディネートしてみるとか、彩色してみるとか……。ポーズについても研究してみると、奥が深くて面白いですよ。胸筋と上腕二頭筋がスゴイですねー。

大山さん:「吊革に掴まっている人」を立体化したい、という着眼点が面白いです。自分でも電車に乗ると頻繁に目にする光景ですが、一度も魅力的に感じた事はありませんでしたが、実は人物の立体造形としてとても面白いモチーフだと気づかされました。普通に直立している状態の脚の体重のかけ方や、肩の上がり方とは違うはずです。こういう何かをしているポーズを作る時は、そのポーズをよく観察する事と、自分でも同じポーズをとってみて、どこにどのように体重や力がかかっているかを実感してみる事が重要です。とても面白い題材ですが肝心の吊革が造形されていないのが勿体無いです。それがあればこのモチーフの状況が伝わる気がします。

塚田さん:とてもマッシブに作られてますね。筋肉を作るのがお好きなのでしょうか。服のシワによって筋肉が強調されていて良いですね。電車の中で思いついたという事ですが、腕を上げることで劇的に変わる肩や脇、胸の筋肉に魅力を感じられたと想像するととても共感します。

大畠さん:日常を切り取りたいという欲求はとてもよくわかります。吊革につかまっているという何気ない日常をあえて切り取ることでそこに上品なドラマを想起させる。そのためには、やはり吊革や、最低限の状況説明のパーツが必要かもしれません。着眼点はすごく良いので、色まで塗ってみて完成させて、それを続けてみてください。楽しみにしています!

MIGHTさん作品「Moulage」

材料:スカルピー、エポキシパテ、石粉ねんど、水性塗料
解説:通ってる美術大学の進級制作で作った作品です。私は洋画や洋ゲーなどに登場するようなクリーチャーのデザインが好きで、また仏像などの仏教美術にも興味がるので、その2つを融合させたような作品を作りたいと思い制作しました。

竹谷さん:Moulageをググったら“病変や外傷を模した人体模型”と出て、勉強になりました(笑)。あくまで個人的な思いですが、僕がこっち関係を作るときは、“グロいけど美しい”に到達するように心がけています。かと言ってなかなか……なので気持ちはよくわかります!

大山さん:作品タイトルは「Moulage」読み方はムラージュ、傷病の記録や医療教育に使用された模型の呼称。人体を基本デザインとしたクリーチャー造形です。正面から見た時の左右対称な構成がアシュラ像を連想させます。台座や背後の造形も仏像の後ろに配置された光背のように見えます。制作者の解説にあるように洋ゲークリーチャーと日本の仏像テイストの融合。その部分はクリア出来ていると思います。作品全体のコンセプトや立体構成の完成度がとても高く、いろんな仏像で様々なバリエーションを想像して楽しくなりました!

塚田さん:ゲームの敵で出てきそうで好みです。台座も出現するゾーンがイメージできます。足の指が手の指と共通点があって良いですね。一番見てほしい角度が左右対称なのは難しくて、情報量が減ってしまう印象を受けると思っています。コンセプトを立てて作られていると思うし、今回の作品ではクリーチャー的ディテールの密度の濃さで上手く回避できているとは思いますが、もしよければ次の作品では斜めからの角度を決め位置にするとシャープなラインや、動きや空間が作りやすいのでおすすめです。

大畠さん:作りたい気持ちがよく出ていて素晴らしいです。ここまで色を付けて完成させたことも素晴らしいと思います!彩色も色数をあえて絞って彩度を落としておなかの赤を目立たせる工夫もあります。クリーチャーデザインは詳しくないのですが、腕が6本ある理由や、おなかが口の様になっている理由など自分の中でしっかりストーリーが練れていると、デザインに説得力が出てくるかと思います。

missouriさん作品「巌龍」

材料:ダイソーの石粉ねんど
解説:厳ついフォルムと繊細なモールドを併せ持つ格好良い怪獣を目指して造形しました。山岳地帯に現れ、現地で「巌龍」と呼称されているという設定です。

竹谷さん:1種類のモールドで全体を覆うと、なんだかコンセプチュアルなアートっぽくなりますね。フォルムのバランスの取り方やポーズから“怪獣好き”なのが伝わります!楽しんでいますね!

大山さん:岩のようなテクスチャーが特徴的なオリジナル怪獣。大きく前にせり出した頭部のデザインも面白いです。一番の特徴でもあるゴツゴツとした皮膚表現が見所で、制作者が楽しんで作っている雰囲気が感じられてとても良いです。このゴツゴツ表現に、もう少しバリエーションがあればさらに良くなった気がします。たとえば、頭頂部や背中、膝などは堅く、関節や腹部は少し柔らかいなど、部位によって形状や質感に差をつけると造形的にもキャラクターデザイン的にも更に面白くなった気がします。塗装も同様で、全体的に茶色を塗るにしても、部位によって少し色味やツヤを変えてみたりすると良いと思います。

塚田さん:特撮の怪獣を連想しますね。人が中に入っていそうな着ぐるみとしての怪獣なのか生物として存在するような怪獣なのか決めて作ると、良さや見てほしい部分が伝わりやすいかもしれません。着ぐるみ的に作りたいとすれば、分厚いシワを作ったり、口がどう開くかを考えると情報量が増してさらに良くなりそうです。外での撮影が似合いそうです。でも山岳地帯をイメージされてるならジオラマで見たいですね。

大畠さん:ダイソーの粘土で、ここまで!とびっくりしてしまいました。ご自分でストーリーを考えて、粘土をこねて、ディテールをつけて彩色する。我々の原点のような楽しみが集約されていると思います。特にディテールが楽しかったのだろうと感じます。もっといろいろな怪獣が見たいです。

SHOCK-NINさん作品「亡骸に寄生する者」

材料:スカルピ-、エポキシパテ
解説:この世で死んだ獣に寄生しこの世に姿を現した悪魔。

竹谷さん:その頭骨の使い方、気持ち分かります!ポーズのとり方は、演出するつもりでどんなポーズにするか、ラフを描いてみてから作っても良いと思いますよ。最近は依頼仕事だと宗教的記号はセンシティブで使いづらいですが、個人作品だと遠慮なく使えますねー。悪魔なら、横にそのまま立てておくよりも、折ったり踏んづけたり、何か刺してたり……ヒドイことに使ってたほうが……あっこのくらいにしておきます(笑)。

大山さん:動物の頭骨をモチーフにした頭部が特徴的なクリーチャー。Vの字に広がった骨のような両肩のパーツもダークヒーロー的で良いです。「寄生」や「悪魔」というキーワードがオリジナルクリーチャー造形的で僕はとても好きです。人間のように二本の脚でしっかりと直立し、右手に武器のような物を持っていることからこのキャラクターに知能があり、目的を持って他者と戦闘をしていると想像しました。それが正解なのか分かりませんが、キャラクターの設定を考えて外見をデザインした後はシチュエーションやそのときのキャラクターの感情も造形に盛り込むと更に目を引く作品になるのかな、と思いました。骨と肉が融合した赤と白のカラーリングが正義のヒーローにも見えるところも格好良いです!

塚田さん:台座にスッと立つ一体のクリーチャーというモチーフがかっこいいですね。デザインを見ると獣だけでなく、複数の屍体が融合したように見えるので元々こういう容姿の悪魔なのか、頭の骨が宿主なのか、分かりやすくした方が見せたいことが伝わりやすいと思います。寄生している状態、姿を現した瞬間などのシーンを切り取って造形しても似合いそうですし、また伝わりやすいかも。十字架は墓標をイメージしているのでしょうか。墓には色々な形がありますし、獣を誰が埋葬したのかなど掘り下げていくとアイテムが増えたり、演出しやすくていいかもしれません。

大畠さん:素晴らしいですね!世界観や造形力申し分なくクリーチャーデザインも、見たことがあるようで無いバランスです。十字架のさし方もいい!一点だけ気になったのがスケール感です。亡骸に寄生するとのことですが、肩の人間の顔を見ると、2.5メートルくらいのクリーチャーなのかなと思うのですが、頭部の頭蓋骨が明らかにイタチなどの小動物のものなのでぐっとスケール感が小さく感じてしまいます。実際の頭蓋骨を使っていたとしても、もう少しアレンジしても良いかもしれません。ほんと素晴らしいです。

TAKUMINさん作品「アドバン(幼虫)」

ソフト:ZBrush 3Dプリンタ:MARS2PRO
解説:蝗害が神格化された悪魔アバドン、その成長途中の段階という設定でバッタをクリーチャー化しました。クリーチャー造形が好きなので、自分もバッタをモチーフに作りたい!という憧れはありましたが、普通に作っても先輩方の二番煎じになると思ったので自分の得意なデフォルメ化に挑戦しました。個人的な見どころは、頭でっかちなプロポーションとお尻の昆虫感です。

竹谷さん:すごく手慣れている技術が感じられます!デフォルメが上手い!ちょっとしたポーズのとり方でキャラクターが生き生きすることを知っていますねー。今度はこのキャラクターに何か動作をさせてみてはどうでしょう。1作品としてのまとめ方も見えてくると思いますよ。

大山さん:もはやオリジナルクリーチャー造形の必修課題のような存在(だと僕が勝手に思っている)でもあるバッタのクリーチャー。バッタの特徴的なデザインをしっかりと抑えつつ、人体に近い二足立ちの状態に落とし込んだ造形バランスは素晴らしいと思います。羽が完全に生えきる成虫になるまでのバッタは頭部が大きく腹部が露出した、虫好きからしたらとても可愛いフォルムで、まさにデフォルメされたキャラクターに見えます。バッタの「幼体」と「デフォルメ」の親和性の高さが見ていて気持ち良いです!塗装に関しては全体的にツヤ消し仕上げなのが少し気になりました。眼や口内、ツメの先などには少しツヤがあっても良い気がしました。

塚田さん:頭身バランスがかわいいですね。黄緑っぽい塗装も幼虫の表現に思えます。脇腹に昆虫の脚があるのが良いデザインですね。僕が造形の仕事始めた頃(だっかな?)に見た、竹谷さんのS.I.C仮面ライダーBLACKに昆虫の脚が生えていてカッコ良すぎて震えました。お尻も良いシルエットが出てますね。成長すると変形していくのでしょうか。

大畠さん:ご自身でもおっしゃられているように、普通にバッタのクリーチャーを作っても先輩の二番煎じになる。とのことでのデフォルメ。ここが素晴らしいと思いました。こういう考え方から新しいものが産まれるのだと思います。実際なかなか見たことのない物に仕上がっています。このままでも良いですが、「かわいい」「カッコいい」「気持ち悪い」など第一印象をどこに持っていくかの選別も必要かもしれません。

イヌリーナさん作品「楽園のコビトカバ」

材料:レジンキャスト、水性アクリル塗料
解説:コビトカバの若い母親のイメージをフィギュアにしました。

竹谷さん:コビトカバ単品だと、絶妙に物欲そそり感がハンパなくて好きです!ビネットにいるヘビはジムグリですかね……これと合わせた意味が知りたくなりますね。カバが親子でいる状況とかも微笑ましくって良いかもですよ。

大山さん:リアルな動物造形です。リアリティーと可愛さを兼ね備えたフィギュアでとても良いです。カバは過去に自分でも作った事があるので分かるのですが、単純な形状故の難しさと形にした時の面白さを感じられる良いモチーフだと思います。ジオラマの完成度も高く、コビトカバに対する愛情を感じます。庭での写真撮影もコビトカバならではなのか、スケールの違和感もあまりなく面白いです。個人的には背中のプツプツした質感が最高に好きです!

塚田さん:かわいいですね。コビトカバのかわいらしさを上手く造形で表せていると思います。写真も草原で撮られていたり上手く見せられていると思います。最初はカバの造形にばかり気を取られていましたが、2枚ほどビネットになっている画像があってすごくいいですね。水面に穏やかにでも波紋などあればもっと空気感を演出できそうです。シマヘビ?がコビトカバに見つからないよう逃げているのか、もし襲おうとしているなら「カバさん逃げて」と叫びたいです。

大畠さん:造形力、彩色、ジオラマ等言うことがないです。素晴らしく完成されています。コビトカバへの愛も感じます。カバ特有の皮膚のシワ感をもっと追い込むこともできるでしょうが、このくらいがかわいいと思いますので、本当に言うことがないです。

オレリアンさん作品「フレーズ」

ソフト:ZBrush
解説:フレーズ(fraise)はフランス語で苺の意味です。自分がかわいいと思うオリジナルのメイド服の女の子をつくりました

竹谷さん:ドールの世界は超深いので、僕ごときがおいそれとコメントするのはどうかと思うのですが……タイトルの意味であるイチゴのメタファー的な要素があってもよいかなあ、などと生意気なことを!すみません!それにしてもZBrushを駆使できる人は羨ましい……。ポチタのストラップとNEKOMANMAの意味も気になります(笑)。

大山さん:デザイン、モデリング共に高レベルでとても良いです。制作者の目指す「かわいい」はしっかりと伝わっていると思います。地味に良いなと思う部分はカメラ目線ではないところ、少し恥ずかしそうな表情にこの子のキャラクター性が出ていて作者の表現力の高さを感じます。他の角度の画像ももっと見たかったです!

塚田さん:かわいく作られてますね。オレリアンさんの好きな女の子像を詰め込んだデザインでしょうか。ドールのような顔や手に見えますが、膝がドール特有の関節の表現はないのでやはりこうゆう造形の顔が好き!ということかな。メイドさんにも思えますが、お店に迷い込んで来た大きな猫たちにNEKOMANMAを食べさせてあげる想像を勝手にしてしまいました。

大畠さん:素晴らしいデザインだと思います。デジタルでここまで見せる技術もありますし、このまま続けて世界を広げていってください。立体として出力するのであれば、やはり重心が大事になってきます。左足の重心の無さが少し気になります。足、膝、腰、肩と自分でこのポーズをしてみて、力のかかる部分を確認しながら詰めていってください。

とっかさん作品「小さな宝箱」

材料:NSP(手) ソフト:ZBrush
解説:昔から色々なジャンルの食玩やガシャポンのフィギュアが好きだったので、「開けたカプセルから色々なキャラクターが飛び出してくる勢い」をテーマに製作しました。  ありとあらゆるジャンルを作ってみようと思い、「メカ」「ヒーロー」「生物」「神獣」「女性」をアイデアにしました。 次に「上」「斜め上(左右)」「斜め下(左右)」「下」に勢いが出る構図を考えました。当初はもっとキャラを増やす予定でしたが、最終的に上下にメカ(ロケットと車)斜め上に「ヒーロー」と「女性」斜め下に「神獣」「生物」を選択しました。

竹谷さん:楽しんで作ってる感じが伝わってきますねー。手は、作るか型取り複製するかは悩みどころですね……。数十年前に百科事典の広告用に、いろんな小物を作ったのを思い出しました。

大山さん:雑誌の表紙を想定して作られたような、コンセプトがはっきりとした作品です。ちょうど今から25年程前、食玩、ガチャガチャブームの頃に原型師になった僕はこの作品を見てとても懐かしい気持ちになりました。僕と同じ世代でなくても同じような気持ちになる人は多いと思います。その時点で作者が一番伝えたかった事が伝わっている作品になっていると思います。台座として制作しているカプセルを持つ手も作品全体の完成度を上げています。これが有るのと無いのでは大きく見栄えが変わってきます。このあたりにもこだわりを感じてとても好きです!ガチャガチャを買うと同梱されている紙のインストのような物、あれも制作し、そこに「小さな宝箱」とタイトルを描いていても面白いかな、と思いました。

塚田さん:僕も食玩やガチャガチャが好きなのでとても楽しい気持ちになりました。オモチャをオモチャらしく造形し、手はリアルな表現になっているのが対比になっていて良いですね。手が単色なのも見せたいオモチャの部分に目がいくので良いと思います。

大畠さん:なんだかテレビチャンピオンのプロモデラー選手権を思い出しました。おもちゃたちが生き生きしていて、伝えたいことも明白。郷愁と、ガチャガチャ愛に満ちた作品だと思います。あくまでもカプセルとおもちゃが主役だと思うので、手の存在感をもう少し無くして、おもちゃのパースをさらに強調するなどして主役を分かりやすく引き立たせても良いかもしれません。

ロキの薬売りさん作品「廻魔」

ソフト:ZBrush
解説:自身の能力で生まれ変わろうとしているクリーチャー。

竹谷さん:写真が1カットだけだったので判断できない部分もありますが、すごく親近感を感じます(笑)。ブロンズで欲しくなりますね。何に変化しようとしているのかがもう少し伝わるカタチとタイトルだと、もっと惹きつけると思いますがどうでしょうー。

大山さん:フィクションでしかありえないようなシチュエーションや現象を表現する面白さ、オリジナルクリーチャー造形の醍醐味だと思います。膝を折り曲げて座る独特のフォルムが「人のようで人ではない何か」を感じられて好きです。正面から見たときに綺麗なVの字になるように作られた脚が、シルエットをシャープに見せる演出として効いています。背中から生えている仏像の光背にも見える肋骨や脊椎のような台座などから、このクリーチャー自身も過去に生まれ変わった存在である事がうかがえます。ストーリーやメッセージを作品に盛り込みつつ造形的にも美しいシルエットで構成された素晴らしい作品だと思います。こういう神秘的で美しい作品を作る能力が僕には足りない部分なのでとても憧れます。最初にこの作品の画像を見たとき、ろくろで壺を作る陶芸家のように見えたのですが、自分で何かを生み出そうとしているという部分ではこのクリーチャーと物作りをしている人間は同じなのかもしれません。

塚田さん:かっこいいです。モチーフとタッチが合っていると思います。手足が異常に長かったり胸部が広がっていたりするのにとても気持ちいいバランスで作られています。背後から生える突起で動きのあるラインも作られていてここも気持ちいい。作りたいイメージと表現の仕方がマッチしていて素晴らしい造形力です。

大畠さん:デザイン、造形力、言うことないです。足の甲の造形など神経が入っていてとても気持ち良いです。顔が左右大きさや表情が違うところ、違い方、口が空いていたり、手の表情や足の指の力の入り方などで息吹を感じさせる等、すごくセンスが良いと思います。

熊人さん作品「令和の龍事情」

材料:スカルピー、Yクレイ
解説:もし令和にまだ龍が存在していたら形を変え、成体になれず水底で漂っているイメージで作成しました。

竹谷さん:アンコウを思わせる龍の幼体のデザインが独特で良いですね!博識なお爺さんのようでもありながら、理屈の通じない凶暴さを秘めてるようでもあり……。それにこの脚は!アオアシカツオドリの脚の色!ご存知ですね!

大山さん:龍の幼体というテーマで制作された作品。オタマジャクシのようなカブトエビのようなフォルムが可愛くてとても好きです。平べったい体に上を向いた目など水の底に生息している生物の特徴をしっかりと捉えていて、クリーチャーデザインとしても完成度が高いと思います。流木を使用した高さのある台座の頂点に主役を配置し、主役の裏側など立体造形を360度楽しめるように構成されています。流木の下にザリガニ(?)と錆びた空き缶を配置する事でこの作品が少し汚れた水中である事を想起させている部分も良いです。見せ方がとても上手いです。赤青黄の原色を使っているのも特徴的で面白いと思いますが、生物的な模様や柄を入れてもう少し実在感を強めても面白いかなと思いました。「成体になれない龍」というテーマはとても面白く、自分でも作ってみたくなりました。

塚田さん:アイデアが良いと思います。一つの作り方としてコンセプトを掲げることで完成までの推進力になりますしとても良いですね。生物の頂点のような存在が人々の想像力の欠如によりどんどん水底に追いやられ砂の中で隠れながら獲物を待ち伏せして捕らえるような形態の生物に落ちぶれてしまっていると想像すると悲しみさえ覚えます。

大畠さん:デザインや、色使いなど独特で非常に面白いです。台座に空き缶やザリガニを配置することで架空のクリーチャーのサイズを見る人に明確にするという狙いもばっちりだと思います!ただ、いただいた写真が少し分かりづらいかなと思います。世界観や造形全体の面白さを画像で伝える工夫をされるともっとよく見えると思います。

手のひら万博さん作品「姑獲鳥」

材料:エポキシパテ、スカルピー粘土
解説:私は「不謹慎」をテーマとした作品を作っています。 ウブメとは、お産で亡くなった女性の「執心」が形を成した妖怪だそうです。 この作品は「分娩室に居るはずの。妻の形をしたものが 病院の廊下に立っていた」というイメージで作りました。 幻想文学や怪談が好きな為、造形をするにも物語から先に考えるのが癖になっています。 完全なる妄想。私には妻すら居ません。 笠で顔を隠し、出産の縁起物である「穴の空いたヒシャク」は柄が折れています。

竹谷さん:手のひら万博さんお得意の分野を突き進んでいて嬉しいです!“不謹慎”という言葉だけでは表せない、不謹慎のもっと奥を覗いてる未来のあなたが見えます!…占い師風に言ってみましたすみません。

大山さん:ストーリーや設定から考えて制作された作品です。自分もオリジナル作品を作る時は設定を考え、モチーフの成り立ちや詳細な情報などいろいろ調べたりする事が多いです。解説を読んだ後に、この作品を見ると映画のワンシーンとして脳内で再生されます。病院の廊下の蛍光灯がチカチカ点滅し、数秒間姿が見えた後、パっと消えたと思ったら瞬間移動して目の前に現れる。そんなイメージです。「リング」や「呪怨」のような20年程前の「Jホラー映画」的な演出ですが、そんな懐かしさも感じられる作品だと思います。顔が見えない演出も見る人にいろいろと想像させる効果があります。立体造形なので横からや下から、笠のパーツを外して表情を見ようと思えば見られるのもフィギュアならではの面白さかもしれません。目撃した人によって見え方が違う「妖怪」という題材の造形としてとても魅力的なのですが、制作者の解説にあるように、ここまで明確なイメージが有るのであれば、台座に病院の廊下を連想させる白い床に滴る真っ赤な血を塗装で表現し、ここまで歩いてきた血の足跡なんかもあると更に不気味になって面白いのかな、と思いました。

塚田さん:余計な造形がなくスッと作られていますが、不気味な雰囲気がとても表現できていると思います。じっと見ているのが怖くなってきます。しかし、こういう存在をよく知ってみると悲しい物語が滲み出てきて悲しいような辛いような、少し優しい気持ちになれるような気がします。それくらい入り込める作品になっていると思います。

大畠さん:まがまがしさや、狙いの不謹慎は十分伝わりました。めちゃくちゃ良いです!しかし、ストーリーを読むのと読まないのとで大きく見え方が変わります。姑獲鳥を知っているかいないかでも。せっかく造形や世界観が良いのでストーリーに付随する挿絵のような造形に見えてしまうのはいささか残念です。造形としての必然性や見せ方。あくまでも造形が主役だ!という意思が必要かもしれません。

白扇さん作品「ユキアサネ」

ソフト:ZBrush
解説:日本の北のほうで周りの人間には自分の正体を隠しながら住んでいる雪女の末裔という設定で作りました。風の流れを意識して作りました。造形期間は約10日です。

竹谷さん:マンガや小説などのストーリーが連想できる設定ですね。いいですねーZBrush上手くて!出力してみてくださいー。

大山さん:雪女を題材にした作品です。風と和傘で日本古来の妖怪の末裔である事を表現しています。「雪女」という題材は外見だけで妖怪である事を表現することは難しいのでこれらのキーアイテム選択はとても上手いです。ですが、もう少しこのキャラクターの内面や状況が分かる演出があれば更に良くなったと思います。美少女フィギュアを魅力的に作るポイントとして「そのキャラに台詞を言わせる」という考えがあります。言わせたいセリフを考えると、その状況や相手、そのときの感情や性格などいろいろと考えないといけない要素が増えていきます。既存の有名なキャラクターであればそれらを説明する必要なく見た人に感情移入させることができますが、オリジナルフィギュアは根本から自分で考え、それをどう人に伝えられるかを考える必要があります。大変な作業ですがオリジナルフィギュア制作の醍醐味なので楽しんで欲しいと思います!

塚田さん:かっこいいですね。キャラクター造形として完成度が高いデザインになっていると思います。目や顔を隠すと一番目を引く部分が減るので難しくなると感じているのですが、個人的にそういうデザインが好きだし、コンセプト、キャラクター性を上手く表せられているとも思います。塗装でどういう表現をされるのか見てみたいですが、造形の段階で衣装などにもっとディテールやアイテムを増やしてもさらに良くなりそうですね。

大畠さん:デザインすごく良いと思います。技術はまだ稚拙な部分もありますが、かわいいキャラクターを想像して生み出せる才能があるのではないでしょうか。人体ですが、一度裸でポーズを作って、骨格や重心をしっかりしてから服を着せていくと説得力のある造形になると思います。

武蔵さん作品「アニマルチェスピース うさぎ」

材料:グレースカルピー、エポキシパテ 
解説:今年の干支をチェス風に造形しました。上に伸びる耳や「炎の様な胸元の毛」で手のひらサイズでも「勢い」を表現。そしてパーツを分けることで「別の生き物への変貌」も楽しめるように立体物としての楽しみを盛り込みました。塗装は『硬質な殻、生っぽい筋組織、金属感』を表現するため、ラッカーやエナメルそして水性アクリル塗料全て使いました。

竹谷さん:造形技術の高さが伝わってきます!他の干支もぜひ全種作ってくださいー。きっとオーラバトラーも好きですよね…。あっ、ひっくり返した際のダボを四角じゃないカタチに工夫してみると、もっと良いと思いますよ。

大山さん:毛で覆われた哺乳類を金属や異素材として表現する、というコンセプトが造形的な見所です。頭部が別パーツになっていて内部のメカが見れる構造がメカメカしくてとても良いです。うさぎの鼻のラインで分割しているのでうさぎ状態でも違和感がないようにザインされています。このあたりにも制作者のこだわりを感じます。干支やチェスというモチーフもこの先のシリーズ展開を感じさせてとても良いと思います。実際のうさぎにも様々な体色の個体がいるように、いろんなバリエーションのカラーリングでも見たいと思いました!

塚田さん:完成度が高いですね。かっこいいなぁと思いながら画像を見ていると3枚目で動いた⁉︎とワクワクさせられました。外装だけでもかっこいいと思ったのですが、やはりこういうギミックがあるとクオリティが上がりますね。チェスの駒というモチーフは一度は挑戦してみたいですがかっこよくデザインされていて素晴らしいです。

大畠さん:勝手にデジタルと思っていましたが、アナログ造形なのですね!造形やアイデア、ギミックなど小さい立体物にぎゅっと詰まっていてワクワクする作品です。彩色も独特のセンスで、造形とともに作家性があります。カッコいい!

ネモトキヅクさん作品「Hastur」

材料:スカルプトクレイ
解説:クトゥルフ神話のハスターを自分なりにアレンジ。クトゥルフでよく使われる(触手)を極力使わないようデザインしました。纏っている黄衣も衣服ではなく皮膚の一部で全て繋がるようデザインしました。

竹谷さん:クトゥルフの世界は自由に妄想できて楽しいですよね。作品から集中して楽しんでるのが伝わって来ます! デザイン力や造形力も素晴らしいです。彩色についてもう少し考えて冒険してもよいと思います。

大山さん:クトゥルフ神話を題材にした作品です。世界的にも有名なモチーフでありながら制作者のセンス全開で制作できることがクトルフ神話の魅力だと思います。触手をあえて排除しているにも関わらず、ちゃんとハスターに見えるデザインがポイントです。立体造形として面白いなと感じる部分は、前から見た時と後ろ姿のイメージが全然違うところです。カブトガニやダンゴムシのように背中はツルッとしているけど裏返すと脚が沢山生えている。そんな生物が好きなので、触手は生えていないけれど複数の手足が生えているこのハスターの禍々しさは個人的にもとても好きです。体の中心で組んでいる手の雰囲気も知的に見えて、僕のハスターのイメージにリンクしました!

塚田さん:完成度が高いですね。僕なら衣装を着せてしまいますが、そうじゃなく皮膚で表現するアイデアがいいですね。クトゥルフならではの触手というモチーフを外すセンスも好きです。僕も以前ハスターを作ろうとしたのですが、途中で投げ出してしまっているのでまた挑戦してみたいと思いました。

大畠さん:造形力、デザイン、素晴らしいと思います!足や手のバリエーションも豊かで、表面のディテールも様々楽しめます。前からの見え方と後ろの見え方のギャップもとても面白いですね~!台座などを作ってクリーチャーのスケール感を想像させてもおもしろそうだと思いました。

カフカ=ルケタさん作品「蠱毒蛹胎地蔵」

材料:FRP ジェスモナイト
解説:サイズは全長100cmほどの作品。蛹は完全変態の過程の中で最も劇的な変化を遂げる状態である。地蔵は「大地の受胎」が意味の一つとしてあり、胎児は成長過程でいうところの蛹にあたる場所であると思う。神秘的である、しかしどこか脆さや恐ろしさもあり、自分は畏怖的な感覚に陥る。冒涜的かつ畏怖的なイメージを、造形的フェチズムと共に造形した。

竹谷さん:大きく作ると、小さいものでは伝えられないことも伝えられますよね。この方向性だと、生物や自然物、彫刻作品、建築物などなどを観察して考えた蓄積が糧となりますので、そっちも楽しんでみるのも良いかと思います!ジェスモナイト、知りませんでした!今度使ってみますー!

大山さん:「地蔵」「蛹」「クトゥルフ」など複数のテーマを一つの造形で表現した作品。自分の好きな物を自由に組み合わせ、造形を満喫しながら完成させているように感じました。サイズも高さ1メートル程の大作で、存在感がすごいです。一見バラバラに感じるモチーフもこうして一つの作品として見たときに妙な親和性のような物を感じたのは制作者のデザイン力とモチーフに対する理解度が高いからだと思います。地蔵と同じくらいのサイズで作っているので、部分的に苔とかを生やして更なるリアリティーを出しても面白いと思いました。

塚田さん:コンセプトが完璧ですね。実際の地蔵として置いておけそうなサイズ感も素晴らしいです。時間を経ればだれが作ったのかも知る人はいなくなり、本当に地蔵として祀られながら、何かをきっかけに孵化して世界を破壊してほしいと思います。

大畠さん:このサイズを選択するだけで100点です!ご自身の造形的フェチと想像力、サイズ。どれも素晴らしいと思います!

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