【CHARA MAKING LAB 】vol.16 イラストレーター&ソフビ作家・Moco「WEAR BEAR “OOTIE”」「KEMOMIMI KICKS “KUMAMI chan”」

オリジナルソフビ・キャラクターを制作・販売するクリエイターたちの創作の裏側に迫る連載企画「CHARA MAKING LAB」。
第16回は、イラストレーター&ソフビ作家・Moco氏。
自身が手がけるキャラクター「WEAR BEAR “OOTIE”」「KEMOMIMI KICKS “KUMAMI chan”」について、誕生のきっかけからデザインのこだわりまで、その制作の裏側を伺った。
まずはインタビューに先立ち、「WEAR BEAR “OOTIE”」「KEMOMIMI KICKS “KUMAMI chan”」たちのプロフィールを紹介!
WEAR BEAR “OOTIE” Profile

名前
名前の由来
サイズ
身長は約120cm(ドラえもんくらいのサイズ感です)。
性格
性格は無口であまり多くを語りませんが、とても温厚で穏やか。新しいものや面白いものを見つけるのが好きな好奇心旺盛なクマです。ストリートファッションが大好きで、いつもお気に入りのコーディネートを楽しんでいます。好物はフライドポテトとチョコバーです。
住んでいるところ
住んでいるのは、おしゃれなクマたちとケモミミ人間たちが共存する街「CHUNKY TOWN」。街をスケートボードで散歩しながら、気になるファッションやカルチャーを探しています。
KEMOMIMI KICKS “KUMAMI chan” Profile

名前
KUMAMI chan(くまみちゃん)
名前の由来
もともとは作品を見てくださったファンの方々が「クマミミちゃん」と呼んでくれていたことがきっかけです。その愛称をそのまま縮めて正式な名前として採用しました。
サイズ
身長は約140cm(しずかちゃんくらいのサイズ感です)。
性格
明るく陽気で、いつも前向きな性格。好奇心旺盛で元気いっぱいの女の子です。ダンスとスニーカーが大好きで、ポップなものには目がありません。好物はアイスクリームです。
住んでいるところ
OOTIEと同じく「CHUNKY TOWN」に暮らしており、街のカルチャーやファッションを楽しみながら毎日を過ごしています。お気に入りのスニーカーを履いて街を駆け回るのが日課です。
INTERVIEW
——まずは、Mocoさんのプロフィールと現在の活動について教えてください。
現在はオリジナルソフビやフィギュアの制作・販売を中心に活動しています。主な発表の場はデザインフェスタやワンダーフェスティバルで、キャラクターの企画からデザイン、造形、彩色まで一貫して手掛けています。
もともとはコンサートグッズやロゴデザインなどの商業デザインをフリーランスで行っていました。NFTブームの時期にオリジナルIP「WEAR BEAR」を立ち上げたことをきっかけに、自分自身が本当に作りたいキャラクターや世界観を形にしたいと考えるようになりました。
その後、グッズ制作・販売を続けながら、2024年より本格的にフィギュア制作を開始。2025年にはオリジナルソフビの制作に着手し、2026年7月のワンダーフェスティバルで「WEAR BEAR “OOTIE”」としてソフビデビューを予定しています。
また、ソフビレーベル「CHUNKY VINYL CLUB」を立ち上げ、造形作家としての活動を本格化させています。「CHUNKY」には“ボテッとしていて愛嬌がある”という意味があり、ファッション性と親しみやすさを兼ね備えた作品づくりを目指しています。
僕は20年以上アパレル業界に携わっており、その経験から作品にもファッションの要素を取り入れています。単なるキャラクターではなく、カルチャーやスタイルを感じられる作品を作りたいと考えています。
今はアパレル企業で働く傍ら制作活動を続けており、将来的にはソフビ作家としての活動をさらに広げていきたいと思っています。玩具としてだけでなく、インテリアとしても楽しめる、見る人の心を少し和らげるような作品を目指しています。
——初めてオリジナルキャラクターを制作されたのはいつ頃でしたか?またどんな作品を制作されましたか?
正確な時期は覚えていませんが、現在の「WEAR BEAR」につながるキャラクターを制作したのは2019年頃だったと思います。
当時は匿名でX(旧Twitter)を利用しており、自分のアイコンとして使うために描いたキャラクターが始まりでした。キャラクター名は現在の作家名でもある「Moco」です。
デザインは今の「WEAR BEAR」ほどデフォルメされておらず、部屋着を着たシロクマのキャラクターでした。当初は作品として展開することを目的に作ったものではなく、あくまで自分自身を表現するための分身のような存在でした。
その後、イラストを描き続ける中で少しずつキャラクターとしての個性や世界観が生まれ、NFTプロジェクト「WEAR BEAR」へと発展していきました。現在のOOTIEにも通じる“ファッションが好きなクマ”というコンセプトは、この頃から一貫して持ち続けているテーマです。

「WEAR BEAR」
——ソフビを制作しようと思ったきっかけを教えてください。
もともとイラストやグッズ制作を行っていましたが、キャラクター表現の幅をさらに広げたいという思いからソフビ制作に興味を持つようになりました。
ソフビに惹かれた原点は、10代から20代の頃に夢中になった裏原宿カルチャーにあります。当時マイケル・ラウ氏が発表していたストリートウェアをテーマにしたフィギュアやソフビ作品に大きな衝撃を受けました。
その後、大人になってから本格的にソフビを集めるようになり、HUMAN ROBOTさんやTOUMAさんの作品に影響を受けました。また、ファッション性やアート性という観点ではemDASHさんやBRIDGE SHIP HOUSEさんの活動にも大きな刺激を受けています。
NFTプロジェクトの活動ではメタバース上でのイベント参加も多く、自身のキャラクターをボクセル作品や3Dアバターとして制作していました。
平面だったキャラクターが立体として存在し、自由に動き回る姿を見た時の感動は非常に大きく、「自分のキャラクターを現実世界にも存在させたい」という気持ちが強くなりました。その延長線上にソフビ制作があります。
また、「CHUNKY VINYL CLUB」を立ち上げたのは、自分の活動の方向性を明確にするためでもあります。今後はソフビ作家、そして将来的には原型師としての活動により集中したいと考えました。
その決意表明の意味も込めて、ソフビレーベルとして「CHUNKY VINYL CLUB」をスタートしました。
「WEAR BEAR “OOTIE”」について
——誕生のきっかけを教えてください。
最初はファッションをテーマにしたオリジナルIPを作りたいと考
名前を考えている時に、「WEAR」と「BEAR」
OOTIEという名前は、「OOTD(Outfit Of The Day)」から生まれました。ただ、

——パーカー衣装やスケートボードをモチーフに取り入れられた理 由を教えてください。
ストリートカルチャー、
パーカーはソフビレーベル名でもある「CHUNKY」


——表情について。
ぜひ一度、OOTIEの顔をしばらく見つめてみてください。
あまりにもとぼけた表情なので、見ている側が勝手にいろいろな感情を感じ取ってしまうんです。楽しそうにも見えるし、少し寂しそうにも見える。何か考え事をしているようにも見えるし、何も考えていないようにも見える。
不思議なことに、はっきりとした表情を付けるよりも、見る人によってさまざまな感情が生まれるんです。
過去の「WEAR BEAR」シリーズではほとんどのキャラクターが笑顔でしたが、その中に一体だけ無表情のキャラクターがいて、その子がとても人気だったんです。何を考えているのかわからないミステリアスさがあり、なぜか気になる存在になっていました。その経験が今のOOTIEの表情につながっています。
表現したかったのは「すべての感情を含んだ表情」です。だからこそ、見る人のその日の気分によって違う表情に見える。そんなキャラクターになってくれたら嬉しいと思っています。
——バッグの中身は?
実はとてもシンプルです。バッグの中にはチョコバーと小銭が入っています。
チョコバーは小腹が空いた時のおやつ用で、小銭はジュースを買うためのお金です。
特別な秘密道具や大事なアイテムが入っているわけではありません(笑)。
——帽子のデザインについて。
CAPを採用した理由は、とてもシンプルです。僕自身がCAP好きだからです。
休日はほぼ毎日CAPを被っているくらい好きなアイテムで、ファッションを考えるうえでも欠かせない存在です。特にシンプルな服装ほど、小物によるアクセントが重要だと思っています。CAPに入っているロゴは、GREGORY(グレゴリー)やPatagonia(パタゴニア)のようなアウトドアブランドを意識しながら、山のシルエットを抽象化してデザインしました。OOTIEにとってCAPは単なるファッションアイテムではなく、キャラクター性を形作る大切なシンボルのひとつになっています。
——ポーズについて。
頑張りすぎない性格なので、
最初はトリックを決めているポーズや、
造形面で最も苦労したのはシルエット作りです。

ポーズ案
——カラー展開について。
通常カラーについては、あえて穏やかな印象になるような配色を意識しました。ソフビ作品は発色の強いビビッドカラーが使われることも多いのですが、OOTIEはどちらかというと日常に寄り添う存在として作りたかったので、少しクリーミーで柔らかな色味を選んでいます。一方でイベント限定品やワンオフ作品では、ビビッドなカラーや特殊な柄などにも挑戦していきたいと思っています。白黒版については、1930年代のレトロカートゥーンアニメをイメージしています。また今後は、透明な素体の中にグミやキャンディーを詰め込んだような、お菓子をイメージしたクリアカラーなどにも挑戦してみたいと思っています。
「KEMOMIMI KICKS “KUMAMI chan”」について
——誕生のきっかけを教えてください。
KUMAMI chanは、OOTIEの相棒となる存在が欲しいと思ったことから生まれました。
実は最初、女の子のクマとしてデザインしていたんです。しかし、どうしてもOOTIEの種類違いのクマにしか見えず、キャラクターとしての個性が弱いと感じていました。そこで発想を変え、「もし人間の女の子だったらどうだろう」と考えました。
その時に思い浮かんだのが、藤子・F・不二雄先生の作品です。『ドラえもん』とのび太、『キテレツ大百科』のキテレツとコロ助のように、人間の主人公と不思議な相棒が一緒に暮らしている構図が昔から好きでした。
そこでクマ要素を耳だけに残した“ケモミミの女の子”というアイデアにたどり着きました。完全な人間でもなく、完全なクマでもない。その中間の存在にすることで、OOTIEとのつながりが自然と伝わるよう意識しています。
また、KUMAMI chanのテーマのひとつがスニーカーです。OOTIEはスケーターカルチャーを象徴するキャラクターですが、KUMAMI chanは女の子なので、その日の気分でさまざまなファッションを楽しむタイプだと思っています。その中でストリートカルチャーとの接点を持たせるため、スニーカーをアイコンにしました。
OOTIEとKUMAMI chanは、おしゃれが大好きなクマと、おしゃれが大好きな女の子の同居人です。友達でもあり家族のようでもあり、相棒のようでもある。そんな関係性をイメージしています。また、KUMAMI chanは美少女アニメやアイドル系とは少し違う魅力を持ったキャラクターを目指しました。かわいいだけではなく、どこかファッションやカルチャーを感じさせる存在。フィギュアとして飾った時にも主張しすぎず、自然とインテリアに溶け込むような空気感を大切にしています。

初期ラフ
——KUMAMI chanは、 どのようなスニーカーが好きなのでしょうか?
KUMAMI chanは特定のブランドにこだわるタイプではありません。
ハイテクスニーカーからローテクスニーカーまで幅広く所有していて、とにかくスニーカー全般が大好きです。ただ、トレンドや人気モデルを追いかけることにはあまり興味がありません。
KUMAMI chanが一番大切にしているのは、「今着たい服に、どのスニーカーを合わせると一番かわいいか」ということです。ブランドや流行よりも、自分らしいコーディネートを楽しむことを大切にしています。
——黄色×黒のカラーリングにされた経緯や、意識されたポイントを教えてください。
KUMAMI chanをデザインする際に意識したのは、ガーリーになりすぎないことでした。
女の子キャラクターではありますが、いわゆる可愛らしさ一辺倒ではなく、ファッション性やストリート感を感じられるキャラクターにしたかったんです。そのため、まず黒をベースカラーとして採用することは早い段階で決まっていました。
一方で、KUMAMI chanは明るくポジティブな性格のキャラクターなので、その元気な雰囲気も色で表現したいと考えました。
そこで選んだのが黄色です。
黒の持つクールさと、黄色の持つ陽気さや楽しさを組み合わせることで、KUMAMI chanらしいキャラクター性を表現しました。結果として、どこかミツバチを連想させるような黄色×黒の配色になりましたが、そのインパクトの強さも気に入っています。

——今後、新たに展開したいカラー案などございましたら教えてください。
その都度テーマを決めながらさまざまな表現に挑戦していきたいと
ネオンカラーのような派手なカラーリング、
——パーカー衣装のデザインについて。
OOTIEとはリンクコーデにし、
——制作を進めるうえで、特に印象に残っていることや苦戦されたポイントがございましたら教えてください。
KUMAMI chanの制作で特に苦労したのは、デザインとソフビとしての成立を両立させることでした。フィギュアであれば自由に造形できる部分も多いのですが、ソフビは金型から抜くことを前提に設計しなければなりません。特にKUMAMI chanは細い首が特徴的なデザインだったため、そのままではソフビ化が非常に難しい形状でした。ソフビとして成立させながら見た目のイメージを損なわない方法を探るため、何度も原型修正を繰り返しました。また、デフォルメの強いキャラクターなので、自立できるかという問題もありました。頭を大きくすると可愛くなりますが、その分バランスが悪くなります。そのため頭部と脚部のサイズバランスを何度も調整しながら、「可愛さ」と「安定性」の両立を目指しました。
——表情造形について。
KUMAMI chanの表情は、OOTIEとの対比を意識してデザインしました。OOTIEは何を考えているのかわからない、とぼけた無表情のキャラクターです。それに対してKUMAMI chanは、「何かを思いついた瞬間」のような、意志や好奇心を感じさせる表情を目指しました。実は視線もわずかに左を向いています。そのためOOTIEと並べると、まるで横目でOOTIEのことを気にしているように見えるんです。また、アニメキャラクターというよりはマンガのキャラクターを意識しています。情報量を減らし、シンプルな線で構成することで、見る人が自由に感情を想像できる余白を残したかったんです。目や口の造形については特に神経を使いました。シンプルなデザインだからこそ、ほんの数ミリや角度の違いで印象が大きく変化してしまうからです。


——髪の毛のデザインについて。
KUMAMI chanの髪型を考える際には、まずキャラクターの活発さや元気な性格が伝わることを意識しました。また、「もしクマを女の子として表現するとしたらどんな髪型が似合うだろう」と考えた時に、ボブスタイルが最もしっくりきたんです。丸みのあるシルエットはクマの持つ柔らかいイメージとも相性が良く、KUMAMI chanらしい親しみやすさも表現できると感じました。
実在のモデルはいませんが、表情豊かなK-POPアイドルたちの空気感を何となくイメージしながらデザインしていました。
——色のバランスを考える際に、特に意識されていることはありますか。
もちろん配色の相性や全体のバランスは意識していますが、最終的には直感で決めることが多いです。
長年ファッション業界で仕事をしてきたこともあり、「この色とこの色は合う」という感覚は自然と身についていると思います。ただ、理論やルールを優先しすぎると面白くなくなってしまうので、最後は自分が見て「かわいい」「かっこいい」と感じるかどうかを大切にしています。
——オリジナルキャラクターを制作される際に、一番大切にしていることは?
一番大切にしているのは、自分自身が心から好きだと言えるキャラクターを作ることです。流行や市場性を意識することも大切だとは思いますが、まず自分が好きになれないキャラクターを長く育てていくことはできません。たぶん僕がOOTIEとKUMAMI chanの一番のファンだと思います。
また、キャラクターにストーリーを作り込みすぎないことも意識しています。もちろん最低限の設定や世界観はありますが、細かな部分まで決めすぎると、見る人が自由に想像する余地がなくなってしまいます。見る人それぞれが自由に感じ取れる余白を残したいんです。そして作品を販売していると毎回不思議な気持ちになります。もちろんお迎えしていただけるのは本当に嬉しいことです。でもその一方で、自分の手元から旅立っていく寂しさもあるんです。
——今後挑戦してみたいこと、展開してみたいグッズなどがあれば教えてください。
まずは現在制作しているOOTIEやKUMAMI chanを大切に育てながら、CHUNKY TOWNに暮らす仲間たちも少しずつ形にしていきたいと思っています。実は新しいキャラクターのアイデアや企画はかなりストックしています。またイベント限定では、ソフビでは実現できない造形表現をガレージキットやレジンフィギュアで展開していきたいと考えています。
さらに、キーホルダーや置物フィギュアなど、ファッションアイテムとして楽しめるグッズ展開も広げていきたいです。将来的にはアメリカ、台湾、香港など海外のソフビイベントへの出展にも挑戦したいと思っています。世界中の方々にOOTIEやKUMAMI chanを知ってもらい、CHUNKY TOWNの住人たちが国境を越えて愛される存在になることが今の大きな夢です。
——今後の目標や展望についてお聞かせください。
もともと商売として始めた活動ではなくて、単純に自分の好きなことをやりたいと思って始めた活動なんです。なので今後もあまり肩肘張らずに、自分らしく制作を続けていけたらいいなと思っています。そして、手に取ってくださった方が少しでもほっこりしたり、幸せな気持ちになったりするようなキャラクターをこれからも生み出していきたいと思っています。
——最後に、ファンの皆様にメッセージをお願いいたします。
まだソフビを正式にリリースしていないにも関わらず、イベント会場で声をかけてくださったり、SNSで応援してくださったり、本当にありがとうございます。皆さんからいただく言葉ひとつひとつがとても励みになっています。「CHUNKY VINYL CLUB」には実は大きな思想や難しいコンセプトはありません。僕が好きなものを作って、それを皆さんと一緒に楽しみながら育てていけたらいいなと思っています。これからもOOTIEやKUMAMI chan、そしてCHUNKY TOWNの仲間たちを少しずつ増やしていく予定ですので、ぜひ気長に見守っていただけたら嬉しいです。
今後とも応援よろしくお願いします!
Profile
Moco
イラストレーター&ソフビ/アートトイ作家。アートトイブランドCHUNKY VINYL CLUB主宰。WEAR BEARとケモミミキックス展開中。