全編英語で粘土造形のメイキングを解説!
隔週水曜日は、アメリカで12年間フィギュア原型師として働いていた造形家のタナベシンさんが、SNSで使える英会話をレクチャー!
今回は前回の続編、『SCULPTORS 02』より、以前紹介した大山竜さん『駆虫の戦士(Bug Warrior)』のメイキング後編を英語で解説します!
原文の直訳ではなく英語的表現に直してから翻訳しているので、『SCULPTORS 02』をお持ちの方は、「日本語原文→英語→日本訳」でどのように英語的表現に変化したのかをぜひ比べてみてくださいね。
日本語訳はこちら
皆さん、どうも!大山竜さんの「駆虫の戦士」メイキング、パート2へようこそ!
パート1では主にラフな盛付け造形でした。このパート2ではディテールと仕上げについての説明になります。みんなの好きなパートですね!
以前も言ったように、すべての説明を翻訳するのは困難でした。この動画を楽んでいただけることを願います。
ではいってみましょう!
「駆虫の戦士」メイキング後編
5. 腹部は昆虫をイメージしましたが、
クリーチャーのキャラクターではないのであまり生々しくならない
ようにしました。
本体の厚みやシルエットはこの段階ではまだ調整可能なので、
よりディテールとアウトラインの洗練に集中します。
6. これらは今回のディテールを彫刻するのに使用したメインツールです。改造したタミヤの調色スティック(先端を曲げました)と、真鍮線を紙やすりで磨いて尖らせた自作スパチュラ。このあたりの作業はとても楽しくて何時間でもいじっていられたんですが、締切がありますからキリの良いところで仕上げます。
7. スパチュラでの造形後、ラッカーシンナーをつけた筆で表面を整えます。この作業の時に細かなディテールが埋まってしまうことがよくありますが、その時は再びスパチュラでその部分だけ彫り直します。
8. 焼成後に各パーツを切り分けました。
9. マスクの造形です。ゴキブリをイメージしたデザインにしました。顔と同様、同じく木片の上で造形しました。焼成後に目玉パーツを切り離し、スポンジやすりで磨いてから元の位置に付け直します。黄色い部分はタミヤエポキシパテ速硬化タイプ。マスクができたら頭部に固定します。
10. 今回のテーマは「イケメン」なので顔は見えていないといけないのですが、我慢できずにマスク装着バージョンも作りました。
11. 右目は閉じています。目の大きさや形を左右対称に揃えるのは手作業では時間がかかります。迫るスケジュールを考慮して、左右非対称のデザインにしました。
12. 顔の塗装に入ります。粘土のグレイの状態だと「イケメン?」だったのですが塗装すると男前に見えて安心しました。肌色はラッカー系塗料をエアブラシで吹きつけます。目や口、眉毛などはエナメル塗料の筆塗りです。最後に、目に水性アクリルニス 厚塗りツヤ出し(PADICO)を筆塗りしました。
13. 横から見た時にニヤッと笑っているような口元にしてみました。
14. アルミ線とアルミテープで作った芯を作ります。
片側にタミヤエポキシパテを固定します。
パテの硬化後に芯を剥がして、もう片側にもパテを盛り付けます。
表面を紙やすりで磨いてから細い先端のリューターで表面に細かい
モールドを彫っていきました。アクセントとしてプラユニット フック(KOTOBUKIYA)を使用。
15. 頭部マスクのデザインはクリーチャーではなく「人が被っている」感じを強調するために意識して少し大きめにしてみました。
16. 右手は手首と肘を少しだけ動くようにしてみました。完全に可動ではありませんが、撮影時に少し角度を変えるだけでまったく違う表情を演出できたりするのが面白いなと思いました。手首には径4ミリのボールジョイント(WAVE)を使用しました。
最初はうまく作れるのか?と思っていたテーマ「イケメン」でしたが、頭部を2種類作るという裏ワザを使えば気楽に楽しく作れることが判明しました。
いかがでしたか?
これらのページに載っていない隠れたテクニックがきっとまだまだあると思います。彼の全てのプロセスはたった4ページに収まらないでしょうからね!なので彼の作品集も購入してみてはいかがでしょう?もっと沢山の写真と詳細が載ってますよ。でも、もちろん全て日本語ですけどね(笑)!
さて次は誰でしょう? ではまた!
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タナベシン
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