【原型師INTERVIEW 】あの名シーンを立体化!『DAICONⅣオープニングアニメの女の子・40th anniversary』制作インタビュー!

7月30日に開催される『ワンダーフェスティバル2023[夏]』では、『DAICONⅣ』の40周年を記念して『DAICONⅣオープニングアニメの女の子・40th anniversary』のガレージキットが数量限定&会場限定で販売されます!

本作を担当した原型師・グリズリーパンダさんに原型制作について伺いました。

 

INTERVIEW

——本作の原型を手がけられた経緯を教えてください。

『幻夢戦記レダ』という80年代の作品を私がイマドキの感じに立体化したものを宮脇センムがお気に召したということからお声がけいただいたのがスタート、でしたが……あまりにも無茶なスケジュールで一旦はお断りしようかとも思いました。ですがこちらの商品がPVC完成品フィギュアではなく、ガレージキットということでお受けしました。
 

私はここ数年、原型仕事だけではなくガレージキットを普及させたいと、様々な活動をしておりますのでその一環に海洋堂、ワンフェスももっと巻き込めるのではという狙いもありました。
最近のガレージキット事情を海洋堂さんにも知ってもらいたかったので色々口うるさい原型師になってしまったかなという反省もありますが。

——生き生きとした感じを表すために工夫されたところを教えてください。

「全く新しい現代の作りで彼女を」というオーダーでしたので当時の面影を残しつつ現代風の顔立ちを目指しました。当時のままだとすごくデフォルメがきいた輪郭をしていて、まさかそのまま作るわけにもいかず、現代風の作りに置き換えていくところで、目の位置、大きさ、頬のピークなど全くかみ合わず再構築にはとても苦労しました。時間をかけて丁寧に作った部分です。

——このポーズになった経緯を教えてください。

彼女の魅力を伝えるためにずっと動画を見つつ、3パターンくらいポーズ案を出しましたが、やはり剣に乗っているところが一番迫力があり、全体の躍動感や、筋肉の緊張といったメリハリが感じられるおもしろいものになるだろうと思って決めました。その分、3案の中ではダントツで難しくはなったと思いますが、より良いものにしたかったので。

——剣のデザインと制作について。

資料をご提供いただきましたので、アニメを何度も見返してデザインを拾うという面倒な作業は無かったのですが、最初に見ていた資料が俯瞰からの図で、そのまま制作したらデザイン違いの指摘がありました。詳細なデザイン図があっても読み違えもありえるし、完璧に読み解くことの難しさを改めて感じました。当時の様子を直接知る方々が監修をしてくださったからこその気付きだと思うので、今のうちに作れてよかったですし、作品を後世に伝えるという面でも役立ったかなと思えました。

——煙のエフェクトについて。

まずはじめのうちは足元の剣のみで飛翔する剣は無かったのですが、作品に込められている熱意情熱、勢いみたいな部分をこれだけでは表現しきれないなと追加した部分でした。
本当なら作中に出てくるあれやこれやも立体化したかったのですが、大人の事情でどうしてもムリだったので断念。その情熱とスピード感を感じられるよう、もこもこ煙っぽいかたちながらも鋭い部分がある造形になっています。

——『DAICONⅣ』の文字造形について。

これは実は、ある悩みどころを解消するためにできた画期的な部分なんです。
ライディングしている剣が斜めになっていることもあり、みなさんが写真を撮るときにおそらく作品全体の正面ではなく、顔面の正面を優先して写真を撮る方が多いのではないかと。
足元の『DAICONⅣ』の文字が正面にくるようにして置いてもらえればそこが作品の顔、という指針のようなものです。こちらが想定している正面からではないと、足元の『DAICONⅣ』の文字がうまく読めない作りになっています。

——監修はいかがでしたでしょうか?

非常にタイトなスケジュールで、しかも5月の大型連休に入ってしまう直前というタイミング。なるはやでお返事がほしい……とダメもとで出したものの結果が翌日にはバッチリ届き、とんでもなく版権元様のご理解ご協力をいただく監修作業でした。大変感謝しています。内容もなんとなく違う~というふわふわしたものではなく、デザインの違いと正解をわかりやすく説明というとてもやりやすい、ありがたい内容でした。監修内容ひとつからでも版権元様の作品への熱い想いと愛が伺えてよりがんばらねばと感じました。

ひとつだけ、販売元監修で『DAICONⅣ』発表当時にはまだ無かった技法を取り入れた修正案が出たのですが、それは違うんじゃないかなと、先に言ったような内容を伝えて変更をしてもらう、ということもありました。原型と一番長い時間向き合っているのが原型師なので、なんでもかんでも修正を受け入れるよりは、こだわり部分を伝えて話し合ってより良いものにしていくということも大切だと思います。

——本作のワークフローを教えてください。

ポーズ案→ラフ→ブラッシュアップ→パーツ分割
基本的にすべての工程で信頼していただき、まるっとおまかせ状態でやらせていただきましたので特に何事もなく。キャラに特に名前が無いということだったので、一番最初に「ダイコンちゃん」という愛称をつけて、愛着がわくよう何度も呼びつつ動画を見返す、という作業はありました。私の造形は愛をかたちにすることが大前提なので、自然なことなのですがもしかしたらあまり他の方はやらないかもしれないですね。

——制作時に使用されたツールを教えてください。

ZBrush

——本作の見どころを教えてください。

本体の彼女はシンプルなデザインなので、なるべく筋肉や筋の表現の解像度を上げ、リアルとデフォルメのうまい間を求めた作りにしました。ガレージキットならではの、パーツ単体で肉体の美を楽しんでいただけるかと思います。
他に台座の文字などを透明にすることで、塗る人それぞれの表現方法や発想、センスが多岐になり、
キットを作るということの面白味と遊びをもたせていますので、それぞれにあった楽しみ方ができると思います。派手なポーズながら難し過ぎない構図も、これなら作れるなと思ってもらいたい部分です。
完全にガレージキットとしてユーザーファースト目線なのが見どころだと思います。

——グリズリーパンダさんから見て『DAICONⅣオープニングアニメの女の子』で一番魅力的だと思うところはどこでしょうか?

情熱。とにかく熱い熱い、今や名だたるクリエイターたちの当時の情熱がなによりもすごい。思いがめちゃくちゃつまってますよね。もしかしたら、もうこの国ではここまでの情熱を持った作品は生まれないかもとすら思います。

——最後に購入を検討されている方や、ファンの皆さまにコメントをお願いいたします。

現役の方にはあの頃の情熱をもう一度感じ取ってもらいたい。
古すぎて全く知らないという若人にも、この造形きっかけで『DAICONⅣオープニングアニメ』の存在、そしてガレージキットを作る楽しみを知ってもらえたら嬉しいです!!

 

 

商品情報

販売日時:2023年7月30日(日)10:00〜
※なくなり次第終了

販売場所:ワンダーフェスティバル2023[夏]会場内、以下の場所で販売
①オフィシャルグッズショップ(3ホール)
②グリズリーパンダブース(ブース番号:8-20-01)

商品名  :DAICONⅣオープニングアニメの女の子・40th anniversary
販売価格:20,000円(税込)
出典作品: 『DAICONⅣ オープニングアニメ』
仕様        :レジンキャスト製組立キット(成形色:白、透明)
全高        :約240mm (本体)
スケール:1/7
パーツ数:42パーツ
付属品 :パーツ表、瞳、その他デカール
原型製作:グリズリーパンダ
複製  :コスモリブレ
発売元、販売元:ワンダーフェスティバル実行委員会/株式会社海洋堂

 

©DAICON FILM

 

 
 
 

Profile

グリズリーパンダ

職業 原型師、Vtuber
近年ではガレージキットの普及啓蒙のための活動がメインになりつつあるフィギュア原型師

Twitter:@GRIZZRYPANDA