【スカルプターズ・データベース】新たな命を吹き込ませる、神ワザの筆塗り MAマン

フィギュア、ゲーム、CM、映画、そしてアートのジャンルで最も造形力のあるスカルプター・原型師を集めた、最新データベース創刊!

 

【2025/11/06更新!】どこから見ても2次元に見える驚異の3D2次元塗装
MAマン Profile


MAマンとその手。

エムエーマン

2D×3D Artist/美術を学んだ後、絵画的アプローチと造形的構築の交差に興味を持ち、フィギュア塗装にのめり込む。2022年11月に初書籍『筆一本からはじめるアニメ塗りフィギュアの教科書』を刊行。現在は平面と立体を横断しながら、立体作品《TSUNOID》をはじめ、立体彩色作品、イラストレーション、絵画、プロダクトデザインなどを手がけている。

YouTube:フィギュア筆塗りchannel【MAマン】
Twitter:@M_A_paintman

 

商業作品

 

公式作品

『鬼太郎EXPO』「霊明」

2.5次元の誘惑」「リリエルフィギュア」公式色彩

「マッスルドッキング」

 

 

株式会社ジャミール「花の慶次 極 statue 前田慶次フィギュア イラストVer.」(リペイント)原型師:岩倉圭二
©隆慶一郎・原哲夫・麻生未央 /コアミックス 1990 版権許諾証 SA-206
 
©️FlowEntertainment
 

オリジナル作品

「TSUNOID」『鬼乃』

販売ページ

 

「TSUNOID」『YAGIRI』

販売ページ

 

「TSUNOID」『戦禍のヤギリ』

販売ページ

 
「TSUNOID」『LUDRA』
 
 
 

「TSUNOID」『LUCICA』

 
 
「1stデビィ」
 
「ボタニカルデビィ」
 
 
「コープスペイントデビィ」
 
 
「魔王デビィ」

 

「サマーダークネス」
 
 
「サマーイブニング」
 
 
「サマーディスコ」
 
 
「成金デビィ」
 
 
「コットンパチパチデビィ」
 
 
「夏祭りデビィ」『チョコバナナデビィ』
 
 
「夏祭りデビィ」『たこ焼きデビィ』
 
 
「夏祭りデビィ」『ヨーヨーデビィ』
 
 
「夏祭りデビィ」『花火デビィ』
 
 
「夏祭りデビィ」『金魚デビィ』
 
 
『福でびぃ』「恋愛運でびぃ」
 
『福でびぃ』「健康運でびぃ」
 
『福でびぃ』「金運でびぃ」
 
『福でびぃ』「豪運でびぃ」
 
『福でびぃ』「仕事運でびぃ」
 

『福でびぃ』「対人運でびぃ」
 
『福でびぃ』「勝負運でびぃ」
 
『福でびぃ』「学業運でびぃ」
 
『福でびぃ』「出世運でびぃ」
 
『福でびぃ』「才能運でびぃ」
 
 

「ギョクロイド」
 
「Blood Cassis Soda ギョクロイド」
 
「AmiLoid」
 
 

「ミニード-MINI-DO- yagiri Ver.」

 
「ぐるぐるミニィド」
 

書籍掲載作品


海洋堂「北斗の拳 ケンシロウ 胸像 」原型: 香川雅彦『スカルプターズ 05』より。
©︎武論尊・原哲夫/コアミックス1983, 版権許諾証BM-219


海洋堂「北斗の拳 ラオウ 胸像 」原型:香川雅彦『スカルプターズ 05』より。
©︎武論尊・原哲夫/コアミックス1983, 版権許諾証BM-219
 
コトブキヤ「Verse01 水晶の天使アリア」(リペイント)  原型制作:BRAIN(製作協力:コトブキヤ) 
© KOTOBUKIYA
初出:『筆一本からはじめる アニメ塗りフィギュアの教科書』(KADOKAWA)
 
 

2025年上半期で一番変化したこと

これまで私は、一点ものの作品を中心に制作を続けてきました。
デコマスや、自らゼロからプロデュースした「TSUNOID」など、造形や彩色を通して自分らしい世界観と表現を持つ作品づくりに取り組んできました。その姿勢は今も変わらず、一点ものの制作には継続して力を注いでいます。

一方で、昨年からは自社アトリエにおいて量産体制の構築を進めています。限られた空間や条件の中で、少しずつですが何度もブラッシュアップを繰り返しながらフィギュアのデザイン、プロデュース、彩色、梱包・発送などの流れを、自分の監督下で一貫して管理する体制を現在も整え続けているところです。これが、今年上半期における最も大きな変化です。

これにより、これまで“一点もの”としてしか届けられなかった彩色表現を、表現のバリエーションをコントロールしながら、より多くの人々へ届けることができるようになりました。
同時に、量産ラインの確立にあたり人を雇用し、チームでものづくりを進めるという新しい挑戦も始まりました。
まだまだ少数精鋭で、ここには課題もありますが、それ以上に、今までの体制では得られなかった可能性とやりがいも感じています
この変化により、自分の手から広がる作品たちが、様々な形となって広がっていくことへの喜びを感じています。

現在は、これまで以上に質と効率の両立を意識しています。
自分ならではの表現を量産に落とし込みながら、どの形で、どの見せ方で届けるのが最も効果的かを俯瞰的に考える。
時間の使い方、表現の方向性、届け方の最適化——
それらを総合的に見直しながら、作品づくりのクオリティを磨いています。
そして今は、フィギュアと絵が交差する個展に向けて、一点ものの作品づくりにもこれまで以上に力を注いでいます。
自分の中にある造形と絵画の境界を溶かしながら、新しい“立体と平面の融合表現”を形にしていきたいと考えています。

2025年上半期で一番良かった資料

正直に言うと、一番と聞いて第一に思いつくものは無いですが、一日単位でいいなとインスピレーションを受けるものは、リアル、ネット共に多種多様様々なところであるので、そういったものが資料となっています。
先日も、街を歩いているとそこかしこに意図もなく貼られてそうなステッカーの配色が良かったので写真に収めました。煮詰まった時はこういったものに油をさしてもらってます。

2025年上半期で一番感動した作品

昔の作品になりますが、アニメでは『東京ゴッドファーザーズ』が強く印象に残っています。
人のつながりや、運命のめぐり合わせの温度を丁寧に描きながら、色彩やキャラクターも魅力的で、見終えたあとしばらく心が浮かれてしまう作品です。
『PERFECT DAYS』も記憶に深く刻まれています。
東京でトイレ清掃をして生きる男性の日常を描いた映画で、その映像の体感温度が自分の目線と重なり、静かに沁みました。
ふとした時に思い出してしまう印象的だった映画は『ミッドナイトスワン』です。
同じ町に生きるひとりの人間としての痛みや希望を感じ、「生きるとは何か」を静かに問いかけてくるような作品でした。
血の気がすっと引いていくような、現実と心の温度差から自分の未熟さに触れると、内の何かが研ぎ澄まされていく感覚があります。
その感覚が、むしろ制作の手を前へ押してくれるような、そんなふうに感じています。

2025年上半期でこれは使える!と思ったマイブームのツール・ソフト

筆です。
制作ではCLIP STUDIO PAINTなどのデジタルツールも使用していますが、基本的にはアナログでの制作が中心です。最近、再びキャンバスに絵を描き始めたことをきっかけに、改めて筆そのものと向き合うようになりました。

これまで何となく感覚で筆を選んで使っていましたが、商業・オリジナルを問わず筆を使う日々が続く中で、筆一本一本の違いや個性に興味を持つようになりました。最近は名村大成堂さんの筆を中心に試しており、特に人工毛の筆に関心があります。コリンスキーに近い書き味を追求した人工毛の筆や、使い込んでも穂先が尖り続ける筆など、さまざまなタイプに触れることで新しい発見があります。

もともと理屈よりも感覚に頼る制作スタイルでしたが、筆の性質を理解して使うことで、表現の幅や筆を動かす楽しさがより深まっていると感じています。

 

INTERVIEW

——小さい頃なりたかったものは?

自由人……が一番近いかもです。小さい頃から、なんとなくですがスーツを着てサラリーマンをしてたり、何かの店員をしているような未来も想像できていなく…。何かしら作っていそうだなぁと漠然と思っていたのは覚えています。

——最初に作品を作ったのはいつですか?

絵自体は幼少から描いてますが、いわゆる大作を作ったのは中学2年の頃です。油絵なんですけど100号の人物画を描きましたね。

——学生時代にはまっていたものを教えてください。

アニメと食べ歩きですね。出身地が宮崎だったので、高校時代はなかなかアニメグッズを揃えることも、イベントに行くこともできなかったのですが、東京に上京してからは家が近かったこともあり、池袋や中野によく行って、ヲタ活をしていました。行ったことがないお店や、気になったお店に入って食を楽しんだり、店主と話をしたりするのが一時期マイブームでした。

——いつ頃からフィギュアペイントをはじめましたか?また、本格的に塗装した最初の作品を教えてください。

絵は中学2年頃から本格的に始めて、その後学生時代は基本的に絵に時間を費やすことが多かったです。その当時は、展覧会やコンクールに油画を出展し何度か受賞もしたことがあるくらい割としっかり作品を描いていましたね(笑)。フィギュアの塗りに関しては2019年からで、最初に塗ったのは『ドラゴンボール』のゴジータです。

もともと画家やペインターを目指していたわけではなく、ただ単純にそのときの自分が好きなことをしていたい、みんなに好きを共有したい、という思い一心で走り続けていたら、いつの間にか今になっていました。

——使っている塗料の種類、愛用のツールなど教えてください

塗料に関しては、よく使うのはMr.カラーとガイアノーツですね。ほかに作品のテイストによっては、SCALE75も使います。今後は久しぶりに造形物に油絵具ものせたいな(笑)。

愛用のツールは筆!
筆を持っている時間が長いので…。あとはこれは私だけかもしれませんが、圧倒的フタ付塗料皿です。今のところかなり神です。

——落ち込んだ時に聞く音楽、もしくは見る映像は?

耳垢・角栓除去系の映像を寝る前に見たりします。咀嚼音も癒されます。共感してくれる人いるかな(笑)?あとは、田舎の環境音や夏の情景ですね。なかでも夕方が特にお気に入りです。

——造形するとき一番こだわられていることは?

「嘘」をどこまで自分流に表現できるか、ということですね。塗りの場合は、あえて誇張するような塗りをするので、ほとんどの作品がリアルに寄り切る塗りではないんですよね。キャラものだと現実にいる存在ではないので、そういう意味でも“あえてリアルすぎない塗り”を意識しています。

なので、厳密にいうと光の当たり具合とか影の落ちているところなど。色彩もそうですが、至るところに嘘があるんですが、それをどういい方向に生かせるか、ということにこだわってはいますね。油彩を描いていたときは、わりとリアル系の絵も描いていたのでそういった観点では、今は逆寄りの仕事をすることが多いですね。今気づきました(笑)。

あとは個人個人で解釈も異なるとは思いますが、塗っているフィギュアそれぞれの世界観はなるべく壊さず、むしろ良さが引き立つ塗りをしたいと心がけています。

——現在、メインでお仕事されているジャンルは?

メインをひとつに絞るのが難しい動き方をしているかもしれません。商業では、展示用の一点物のフィギュア彩色、雑誌作例、デコマスなど塗装に関する仕事を幅広くやらせていただいています。オリジナルのラインではフィギュア(主にガレージキット)作品の販売と、ソフビの販売をメインに行っています。基本的には自分でキャラクターをデザインするところから、彩色をして販売するまでの流れを自己プロデュースで行っている状況です。

——今後の野望を教えてください。

昔こちらでもお話させていただいた、主に未塗装品のオリジナルキャラクターを作って販売するところまでは実現できたのですが、現在の目標は、自己プロデュースした彩色済み完成品フィギュアを、自社から販売できるように取り組んでいます。ソフビだと実現出来たのですが、ガレージキットで販売しているような細かい造形のものの完成品販売にはまだまだ自分にとっては課題が山ほどあります。既に少しづつ動かし始めていますが、何を、どのような形で、どのような方法で届けるのかなど、課題や考えたいことがまだまだ山積みなので…折れずに頑張りたいです。

——最近ハマっているものは?

2次元の推しキャラをひっそりねっとり追うことです。冗談抜きで救われてます。あとサーティワンです。週3で食べてるかも。

Data

作業スペース


作業場

フィギュアコレクション

影響を受けた(大好きな)映画・漫画・アニメ

活動当初2次元表現で影響を受けていたのは『ドラゴンボール』などの少年誌系です。夏が舞台(夏の描写がきれい)のアニメも大好きだったりします。実は一番最初に影響を受けた作品、いわゆる原点の部分はジブリ作品だと思います。特に『もののけ姫』には強い思い入れはありますね。比較的近年影響を受けて好きな作品は『BERSERK』と『呪術廻戦』です。あと中国アニメ。基本的に細かいストーリーよりかは全体的な世界観に影響を受けがちです。

1日に造形する平均作業時間

短くて3時間ぐらいで、長くて10時間ぐらいですね。
最近は撮影や打ち合わせも多く入ってきているので、なかなか時間が取れないことも多いのですが、そこも含めて楽しんでいます。