大畠雅人の3Dプリンタ&スキャナ入門 vol.1

VOL.1 3Dプリンタの種類と、全機種共通サポートのつけかた

 

ここでは、大畠雅人さんによる「3Dプリンタ&スキャナ入門」動画を、記事としてまとめていきます。3Dプリンタ購入の際のメモとして、活用してください!

3Dプリンターの種類

光造形方式(SLA)・熱溶解積層方式・インクジェット方式・粉末固着方式の4種類があります。そのうちフィギュアで主に使われるのは光造形方式熱溶解積層方式です。

今回は僕がメインで使っている光造形方式のプリンターについて解説していきます。

光造形方式とは

UV(紫外線)で固まるレジンに下から紫外線を当てて造形する3Dプリンター。上部の「プラットフォーム」にレジンが層になってくっつき、形になっていきます。

メリット

1. 小さいものだと形がきれいに出る

2. 表面も滑らか

デメリット

1. サポート跡が多い

2. ベタベタしているので、造形後にアルコールでの処理が必要

プリンターの価格帯

家庭で買える範囲では、光造形方式のプリンターの価格帯は大きく分けて次の3つ。

 

3万円台:Anycubic Photon(以下Photon)、Elegoo Mars2 Pro

10万円台:Phrozen Shuffle

50万円台:Formlabs Form 2、Form 3(以下Form2、3)

 

価格による大きな違いは造形の精度ではなく、造形範囲の大きさです。

低価格の3Dプリンターは小さなサイズしか出力できないため、大きな作品を作る際には分割が必要となります。例えば、3万円台はスマートフォンの有機ELを流用していることが多く、その大きさが造形範囲となります。それに対し50万円台はスマートフォンの2~3倍ほどの大きさが造形範囲となるので、一度に大きいものが出せるのです。

Form 2、3のメリット・デメリット

メリット

1. 素材が多い

可動フィギュアのように、いろいろな素材を使うフィギュアを作るときにはとても便利です。

2. 日本語の通じる代理店が多い

故障したり、うまくいかないときに日本語で素早くサポートしてもらえます。

3. 調整の必要が少ない

Photonは自分の思い通りに出力できるまで、露光時間など多少の調整が必要でした。Form2、3はほとんど調整なしで思い通りに出力できます。

4. タンクの取り替えが楽

Photonはタンクを洗ってレジンを詰め替えますが、Form2、3はタンクごと取り替えることができます。(その分お金がかかるので、デメリットとも言えます。)

デメリット

1. 値段が高い
2. プラットフォームが大きい分、場所をとられる

Photonのメリット・デメリット

メリット

1. 値段が安い
2. 素材が多い

Photonは、自分で色々なレジンをチョイスして使うことができます。

デメリット

1. 調整が必要

自分で色々なレジンを選べる分、それぞれに対し調整が必要となります。

2. フィルターの張り替えが必要

タンクの底についているフィルターが紫外線を当て続けると白く曇ってきてしまいます。このフィルターを張り替えるのに30分ほどかかります。

ただ、タンクごと交換となるForm2、3に対し、フィルターだけ変えればいいPhotonはお得、とも言えるので、まめな方にはとてもオススメです。

 

全機種共通!サポートの立て方

Form2、3に対応したPreformというソフトを使って説明していきます。

このサポートの立て方のコツはForm2、3に限らず光造形方式のプリンター全てに共通します。

1. プリンターを選択

2. レジンの種類を選択

3. 積層ピッチを選択

数字が大きいほど粗くなりますが、造形時間が早くなります。フィギュアの場合は「50ミクロン」で出力して仕上げることが多いです。160ミクロンは、ボリュームを見たい時のテスト出力などに使います。アクセサリーや細かいパーツは25ミクロンで出力することもあります。

4. データを読み込む

3Dデータをドラッグ&ドロップして読み込みます。データはこのように輪切りになって出力されます。

赤色の部分、頭が急にぽこんと出てきてしまうのがわかりますか?この部分が宙に浮いてしまうので、サポートをつけなければなりません。

 

5. サポートをつける

サポートは自動生成をすることができます。

このまま出力することもできるのですが、少し修正をします。

サポートのつく部分が点で表示されています。

過剰かな、と思う部分や、出力後に磨くのが面倒な部分の点をクリックして消していきます。ただし、少なすぎると造形物が落ちてしまいます。ここのコツは経験によるところが大きいです。

★なぜ逆さまにしているのか?

毛の部分を下にしてみると……

これだけ赤色の部分ができてしまいます。この赤色の部分全てにサポートがついてしまうと、磨くのもとても大変。逆さまにすると赤色の部分は後頭部だけなので、磨きやすいのです。

次回はこちらの造形を出力、その後の処理も紹介します!お楽しみに!