【原型師INTERVIEW】デンジを誘惑するパワーを完全再現!トイレには細かな仕掛けも!?TVアニメ『チェンソーマン』パワー原型制作インタビュー!

大人気TVアニメ『チェンソーマン』よりパワーが1/7スケールフィギュアになって登場!手がけたのは、(株)eStreamが展開するフィギュアブランド「SHIBUYA SCRAMBLE FIGURE」。今回は担当フィギュアディレクター・E.ANIKIさん、原型制作・Design COCOさんに制作秘話を伺いました。

INTERVIEW フィギュアディレクターE.ANIKI・Design COCO

——チェンソーマンをフィギュア化するに至った経緯を教えてください。

E.ANIKI:すでに他作品のフィギュアでMAPPAさんとお仕事させていただいており、その流れで『チェンソーマン』もアニメ化に向けていろいろ動くという話をお聞きしまして、「うちでかっこいいチェンソーマンを作らせてください!」とお願いしました。さらに「パワーも作らせてください!」とお話しさせていただいたのがきっかけです。

——なぜこのトイレのシーンをフィギュアにしようと思ったのですか。

E.ANIKI:パワーのフィギュアは、カッコいい魅力を出すのか、自分自身でかわいいことを認識してる悪魔なので、かわいらしさを押し出すのか色々な方向性を考えました。トイレのシーンは、デンジが「胸を揉んでみたい…」という夢に向かってボロボロになりながら戦って、わりと序盤で“それが叶うの⁉︎”というストーリーの山場になる象徴的なシーンだと思います。パワーのビジュアルの良さが表現できて、印象的で作品のターニングポイントになっている瞬間をあえて立体化させたら面白いと思い、このシーンに行き着きました。

——E.ANIKIさんが「このシーンがやりたいです!」とご提案されたのですか?

E.ANIKI:フィギュアチーム以外にも原作好きが社内にいっぱいいるので、ファンの目線とかも入れつつ、いろんな人間でアイデアを出し合った中の1つとして出てきたって感じですね。最終的にはもう満場一致で、そのシーンをカタチにできたら面白そうだね、となりました。ユーザーからもTwitterで「このシーン来るんだ!」みたいな声を結構見かけて嬉しかったです。

——ジーンズにダメージをどのくらい入れるか相談はされたのでしょうか?

E.ANIKI:最初提案したものはハーフパンツの裾上げをした状態みたいな感じにしてたんですけど、権利元さんから「パワーは裾とか直さないと思う。荒っぽく切りっぱなして終わりだと思うので、もっと全然バスッといった感じで大丈夫です」と。なので、アニメの設定もそういう感じですというお戻しを受けて、そこに準拠した形にはなっていますね。

——パワーをトイレから取り外すことも可能でしょうか?

E.ANIKI:製品版の開発に進まないとまだ確定ではないのですが、今の時点の想定としては外れます。トイレの蓋も今の時点の想定だとパカパカする予定です。なので、パワーを外してどこか他のところに座らせることもできるようにはしたいという意図のもと、開発を進めています。面白いところに座らせた写真をいっぱい投稿してほしいですね。

——制作のワークフローを教えてください。

E.ANIKI:冒頭にお話ししたかっこいいパワーか綺麗でかわいいパワーかという方向性を決めるところから始まり、今のトイレのシーンにしようというところまでは、2ヶ月くらい議論を重ねました。その後フィギュア化の許可をいただき、イラストから起こしていくんですが、それにも大体2ヶ月ぐらいかかって、そこからやっと3DCGに落とし込んでいくような形です。

——おすすめの飾り方はありますか?

E.ANIKI:商品のイメージ写真ではタオルが入ったカゴを近くに置いたのですが、やっぱりトイレなので水回りには合うと思います(笑)うちのフィギュアは今まで横に広がった体積の多いものが多かったんですが、今回はあくまで“シーンの再現”というところに重きを置いているので、今までに比べればコンパクトで飾りやすくなっています。水回りは毎日使う場所だと思うので、汚れない水回り付近に置いてもらえると毎日見てもらえるかなと思います。

 

——一番再現が難しかったところはどこですか?

Design COCO:普段しないような特殊なポーズをしているため、胸周りが難しかったです。
手で掴んだ時の大きく変形した胸の形状や、掴んだ手とそこから続く服のシワの流れで動きを感じられるようする点に苦心しました。

——中心に穴が空いている便座に座らせるのは絶妙な調節が必要だと思うのですが、接地面はどうなっているのでしょう?

Design COCO:お尻は蓋が当たる部分がほんのり変形しているだけになっています。そのため作中のコマの中で見えていない右手をうまく活用し、支えとしてお尻と3点で安定するようにポーズを工夫しました。

——鎖骨や首筋、腰回りの造形で、何か参考にされた資料はありますか?

Design COCO:体や服のシワは実物の写真を参考にしました。さりげない色気を感じさせる大事なパーツとして、鎖骨や首筋の造形には注力しました。また、似た衣装を参考にショートパンツのタイト感とトップスのダボっと感の対比を意識して、質感が映えるようにしました。

 

——一番の見どころを教えてください。

E.ANIKI:印象的なシーンの再現ではあるんですが、大前提として「綺麗でかわいいパワーを作ろう」というところが根本にあります。デンジを誘惑するような妖艶な表情を作り込んでいたり、ボディラインでもパワーのセクシーさが出るように意識して仕上げたので、美しいパワーの魅力はしっかり表現できたと思います。短パンで生脚が出ていて、靴下も履いていないので、足の裏や指まで11本角度をつけて造形しています。そういう細かいところも色々みてもらえると嬉しいです。あと、パワーを外さないと見えないんですが、実は便器の中に水が溜まっています。

Design COCO:脚に目がいく衣装ですので、スラッと伸びる脚のラインにこだわりました。足指の表情にも気を遣っています。そして細身ながらも組んでいる時のむにっとなる太ももやふくらはぎの柔らかさを感じられるような造形を目指しました。

——脚の骨感や膝から下にかけての部分もすごくリアルですよね。

E.ANIKI:ちゃんとスネだなって分かるような筋の入り方とか、ふくらはぎの肉付きとか、かなりリアルな質感に仕上っています。実際に目にした方の第一声で一番多いのは「便器、めっちゃ便器ですね」です(笑)。そういう意味ではこの1つのフィギュアの中に人間の肌や服、便器の陶器、ぶつけたら割れるような光沢感のある素材や足場のタイルなどあらゆる要素が詰め込まれています。日常生活に存在する金属やプラスチック、陶器などそれぞれの質感が表現されているので、ぜひ注目してみてください!

——レバーは実際に金属を使われているんですか?

E.ANIKI:使ってはいないんですが、実際に金属に見えるような造形と塗装の表現になっています。

——購入を検討中のみなさんに一言お願いします。

E.ANIKI:購入を検討してくださってる方はもうある程度『チェンソーマン』という作品を知っていて、パワーがどういう子で、どういう性格とかも知ってくれてる方なのかなと。かわいいパワーに魅力を感じる人はそばに置いて後悔はしないものだと思うので、ぜひ身近なところに飾ってかわいがってもらえればと思います。直販特典でペットのニャーコも付いてくるので、ニャーコとパワーを一緒にかわいがってあげてください!皆さんがどう飾ってくださったか是非拝見したいので「私はこんなふうに飾りました」「ここに置きました」など、いろいろSNSなどで投稿してくれると嬉しいです。

Design COCO:挑発的なパワーの表情や襟の隙間からチラッと見えるY字の谷間にもこだわっています。そして、このシーンには欠かせない早川家のトイレは細部まで丁寧に造形しています。ぜひご注目下さい!

商品情報

商品名:『チェンソーマン』パワー 1/7スケールフィギュア
サイズ:1/7スケール PVC製塗装済み完成品
大きさ:高さ180mm×幅100mm×奥行190mm
予約期間:2022年11月2日(水)00:30~2023年2月12日(日)23:59
原型:Design COCO(Art Director:CHIGA)
彩色:Design COCO(Art Director:CHIGA)
ディレクター:E.ANIKI
製造:(株)アルファサテライト
販売元:(株)eStream
価格:29,920円(税込)

©藤本タツキ/集英社・MAPPA

 

Profile

フィギュアディレクター E.ANIKI

株式会社eStreamに所属。SHIBUYA SCRAMBLE FIGUREの企画営業を担当。広島の離島で生まれ育ち一度大阪に進出。その後上京しモノ作りに勤しむ。ディレクターネームの由来は社内で『アニキ』と呼ばれ始めたことがきっかけ。

SHIBUYA SCRAMBLE FIGUR

㈱eStreamが展開する「スケール感」と「躍動感」を意識した高品質高級フィギュアブランド。世界に誇れるIPで世界に誇れるプロダクト(フィギュア)を生み出すことを目指しています。ブランド名には渋谷から世界に文化を発信することに思いを込めています。通称「渋スクフィギュア」。

URL:https://shibuya-scramble-figure.com/

Design COCO

アニメキャラクター等のハイクオリティな等身大・スケールフィギュアの制作を手掛ける制作会社。宮城県仙台市に本社を置き、3D制作から彩色まで社内一貫生産しています。工学的手法を駆使して、常に新しい技術を追い求め、3Dプリンターの開発・販売も行っています。