ベテラン特殊造形クリエイター、西脇直人さんのMSIノートPC活用術

 

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特殊造形とは、テレビ・映画・ライブイベント・広告で使用される着ぐるみや、甲冑や武器などの特殊装具を作るお仕事。このジャンルのベテランクリエイターである西脇直人さんは、FGO(『Fate/Grand Order』)の公式イベント衣裳をはじめ、映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』の立体起動装置、『銀魂』の着ぐるみや『牛首村』のプロップなど多岐にわたって手がけている。最近の流れとして、3Dモデリングや3Dスキャンを使ったデジタルとアナログのハイブリッド造形が盛んだと語る西脇さん。プロの現場で、本当に役立つマシンについて聞いてみた。 

 

Text & Interview:SCULPTORS LABO編集部
Photo:小野寺廣信 

PROFILE

西脇直人(Toon Mart)

1971年愛知県出身。キャラクターデザインや着ぐるみ、特殊衣装装具、特殊小道具などの造形物を制作するスペシャリスト。幼少期より、特撮アニメ漫画をこよなく愛している。1993年、代々木アニメーション学院を卒業。撮影現場や造形工房で助手を務め、2001年、キャラクター造形工房「Toon Mart」を立ち上げる。
スマッシュヒットを記録した映画『ゼブラーマン』でコスチューム造形担当に抜擢され、おおいに注目を集めた。
主な映画参加作品に、『ゼブラーマン』(04)、『ゼブラーマン~ゼブラシティの逆襲~』(10)、『エイカーズ』(14)、『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(15)、『テラフォーマーズ』(16)、『銀魂』(17)などがある。ほか、T Vドラマ、バラエティ、MV、広告、舞台、ライブイベントなどで活躍中。著書に『ヒーロースーツの作りかた』(グラフィック社)、『ヒロイン専用スーツ・武器の作りかた』(玄光社)など。

 

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INTERVIEW

西脇さんの造形制作ワークフローについて教えてください。

以前は六角大王で基礎データを作り、ペパクラデザイナーで甲冑などのベースを作っていましたが、細かい部分で3Dプリンタを使っていかなきゃと思って。昨年、精密なプロップの仕事が入った際にRhinocerosを導入しました。Rhinocerosは3D CADソフトです。決め手は工業製品やジュエリーに使われることが多いと聞いたから。僕の場合、そっちのほうがZBrushより仕事的に近いんです。今は基礎形状の部分でも使用しています。Rhinocerosでデータ作成し、そこから先は今まで通りですね。ペパクラデザイナーに読み込ませ分割して型紙化、それを原寸大印刷、型紙をボード材に写し組み立てれば基礎形状ができます。

 

Rhinocerosは普段どのマシンで使われていますか?

僕もデスクトップ信者だったんで、ショップブランドPCやクリエイター向けPCを使っていました。ただ、最近は撮影やイベントの現場で作業する必要が増えてきて、現場用のRhinocerosを入れられるノートPCをずっと探していたんです。個人的にどうしてもWindowsのほうが都合が良いんですが、やっぱりどれもすごく無骨なんですよね。下手するとぶ厚くて重い図鑑を持ち歩いている気持ちになる。でもCreator Z16 Hiroshi Fujiwara Limited Editionは、僕がチェックしていた他のノートPCの厚みの半分くらいなんです。この薄さと重量、画面の大きさは「かなりいいな」と。

 

現場でリアルタイムにデータを修正する、というリクエストはかなりあるのでしょうか。

増えてきましたね。3Dプリント品の場合、Rhinocerosで作ったものを確認しやすいミニチュアサイズで出力してクライアントに見せ、たとえば「こことここにキズや欠けが欲しい」とマジックで描いてもらって、それを見ながら角が欠けているキズなどはZBrushで描き、その場で画面確認してもらう。そのデータを保存しておいて、戻って3Dプリントして仕上げれば誤差も減りますし、その場でのやり直しが何度も可能なのでよりクオリティの高いものができます。

今回、データを作っている途中でCreator Z16 Hiroshi Fujiwara Limited Editionに移してみたんですが、まったくカクつかないというのはやっぱりすごいなと思いましたね。びっくりするくらい軽いんです。同じデータをデスクトップとノートPCに入れていじってみて、作業スピードは変わらない。むしろ若干Creator Z16 Hiroshi Fujiwara Limited Editionのほうが軽い。RhinocerosとZBrush両方入れても軽く使用できたので現場で愛用するようになりました。

 

特殊造形業界にも、3DCG化が進んできているのですね。

諸先輩方はかなり早期から使用していましたが、僕の場合は新型コロナの影響で助手を呼べなくなったというのが大きいと思います。今までだと助手を複数人呼んで、工場のように工程を作って細かいパーツは原型を磨いて型を取って複製して……というやり方でしたが、もっと正確に効率よく、しかも僕1人でやるには……と考えると、データ作成の精度を上げて3Dプリントも覚えるしかないなと。そのへんは無理やり詰め込んだ感じです(笑)。迷ってる余裕はありませんでした。

3DCGの良い部分として、手作業造形だと一番言われたくない「ディテールはすごくいいので全体的にもっと小さくしてほしい」というオファーにすぐにこたえられるようになったこと(笑)。ただ、アクションがある現場に納品する場合は、プリンタで出力したものを型取りして素材を置き換えないとまだダメです。僕が関わっている現場の場合飛び降りたり戦ったりするので、単純に硬いプリント品をそのまま使用すると、強度に不安が出ます。柔らかいレジンやフィラメントももっと勉強していかなきゃなと思ってますね。オール3DCG、オール3Dプリンタでスーツ一着というのもできなくはないですが、予算と時間が必要になってくる。日本の仕事は納期が短いので、いいとこ取りして短時間で正確なものを作るハイブリッド方式でやっていく必要があると思います。

 

3DCGの導入で、コスト面でも削減されたのでしょうか?

コスト削減で一番大きいのは時間の使い方が変わったことだと思います。3DCGからプリントできるようになったおかげで事前の確認もしやすくなり、問題点の把握も以前よりも増して的確になりました。

 

ありがとうございました。

 

 

製品情報


Creator Z16 Hiroshi Fujiwara Limited Edition

ファッションデザイナー、DJなど多方面で活躍するアーティスト・藤原ヒロシ氏とMSIがコラボレーションした超薄型クリエイターノートPC。藤原氏が主催する“fragment design”の稲妻マークをPC本体の随所にあしらった特別デザインのCreator Z16 シリーズ。

  • 型番:Creator-Z16-Hiroshi-Fujiwara-0207JP
  • OS:Windows 10 Pro(MSIはビジネスに Windows 10 Pro をお勧めします)
    利用可能になった場合に、Windows 11へ無償アップグレードできます 
  • ディスプレイ:16インチ、WQXGA(2,560×1,600)、グレア、ミニ LED、リフレッシュレート165Hz、DisplayHDR 1000、DCI-P3相当
  • CPU :インテル® Core™ i7-11800H(8コア16スレッド)
  • GPU:NVIDIA® GeForce RTX™ 3060 Laptop GPU
  • メモリ:16GB(8GB ×2)DDR4
  • ストレージ:SSD 1TB(M.2 NVMe)

※ Windows 11 へのアップグレードは 2021 年下旬~ 2022 年に対象となるデバイスに提供される予定です。時期はデバイスによって異なります。機能によっては特定のハードウェアが必要です (aka.ms/windows11-spec 参照)。