【原型師INTERVIEW】ファンに長く愛され続ける秘訣は○○!『名探偵コナンQ posket premium』江戸川コナン&怪盗キッド原型制作インタビュー!

スカルプターズ・ラボ注目のフィギュアの原型制作について紹介する【原型師INTERVIEW】!

海外からも愛されている大人気アニメ『名探偵コナン』。BANDAI SPIRITSの新ブランド「Q posket premium」シリーズ第一弾として、ライバル関係である『名探偵コナンQ posket premium-江戸川コナン-』『名探偵コナンQ posket premium-怪盗キッド-』が発売された。今回はこの原型を担当した株式会社エムアイシーのぱっふぉーんさんと枕慈童さん、株式会社BANDAI SPIRITSの開発担当・川崎さんに制作秘話を伺った。

 

INTERVIEW

——「江戸川コナン」「怪盗キッド」それぞれのこだわった部分を教えてください。

【江戸川コナン】
川崎:特徴的な髪と腕や脚の細さなどユーザーの見慣れたシルエットは守りつつ、眼鏡はクリアパーツで表現し、髪の流れのモールドを設定よりも少し多めにすることで「
Q psoket」らしい繊細さをだしました。


『名探偵コナンQ posket premium-江戸川コナン-』

【怪盗キッド】
川崎:スーツのパリッとしたストレートラインと風になびくマントの緩やかなカーブラインのコントラストで「
怪盗キッド」のシルエットのカッコよさがでるようこだわりました。髪についてもコナンと同じく、設定を三次元に落とし込みつつ、「Q psoket」らしい繊細さを出すことに苦労しました。


『名探偵コナンQ posket premium-怪盗キッド-』

——企画・デザイン~立体化までのワークフローと、それぞれにかかったお時間を教えてください。

川崎:企画立案・イラスト発注(2週間〜1か月)→ 企画社内承認(2ヵ月)→ 原型制作(2.5〜3ヵ月)→ 彩色原型(デコマス)制作(1ヵ月)という流れです。

——制作に使用されたツールを教えてください。

コナン担当原型師 ぱっふぉーん(以下、ぱっふぉーん)主にFreeformというソフトで制作しました。
ZBrushも少し使っています。ZBrushではSK_Clothブラシをよく使います。3Dプリンタは、造形チェックでは出力スピードが早いProJet MJP 3600、原型では高精細なPerfactoryを使用しています。

キッド担当原型師 枕慈童(以下、枕慈童)Freeformというソフトをメインに、ZBrushも併用して使用しています。Freeformは素体組みや精密な造形に向いており、ZBrushは装飾がとても得意です。3Dプリンタは、造形チェックでは出力スピードが早いProJet MJP 3600、原型では高精細なPerfactoryを使用しています。

——立体化するにあたり、苦労した部分はありますか?

ぱっふぉーん:参考に既存の他社のフィギュアを調べたところ、すべて後頭部に毛束がなかったのですが、開発担当者の意見もあり「Q posket」では毛束が足されて、より見どころのあるフィギュアになったと思います。

  
「江戸川コナン」Freeformデータ

枕慈童:怪盗キッドは髪の毛の分け目がアニメの場面によって変わるため、どこに分け目を持ってくるかとても悩みました。これまでの立体化されたフィギュアなども見て、「どういう解釈なのだろう」と思いながら参考にしたりしました。実は最初に私が想定していた分け目とは逆方向になっています(笑)。


「怪盗キッド」Freeformデータ

——台座をレンガ風にしたのは、原作コミックのカバーデザインから?

川崎:原作のカバーデザインとアニメのアイキャッチでも使用されているレンガ壁と、石畳とガス灯については主人公・コナンが尊敬するシャーロック・ホームズが住んでいるロンドンの風景をイメージしています。

「台座」初期デザイン

——「江戸川コナン」のポーズについて。このポーズにされた理由を教えてください。

川崎:「真実はいつもひとつ!」という決めセリフが聞こえてきそうな、一番ユーザーに馴染みのあるこのポーズをイメージにしました。

——「怪盗キッド」のポーズについて。シルクハットを外したポーズにされたのは?

川崎:「Q posket」のデフォルメのバランス上、シルクハットがかなり大きくなってしまい、頭部を支える首が重みに耐えられないという安全仕様上の問題から、シルクハットを外したポーズにしました


『名探偵コナンQ posket premium-江戸川コナン-』


『名探偵コナンQ posket premium-怪盗キッド-』

——監修はいかがでしたか?

川崎:設定に合わせての細部のシルエットや色味についてのご指摘を頂戴し、修正しました。

——「Q posket」シリーズを制作する際に気をつけていることや心がけていることはありますか?

ぱっふぉーん:一番気をつけているのは顔がフォーマット化されているなかで、キャラクターの雰囲気を表すポーズがとれているか一番気をつけています。

枕慈童:とにかく、「かわいいポージングになるように」と思って作っています。目が大きく、顔がかわいいことは織り込み済みなので、その上で描いていただいている設定画のポーズをどれだけかわいく引き出せるかということになるべく気を配っています。
また、目線より低い場所に置いたときに、目が大きいぶん顎を引いたポーズだと下を向いてしまい寂しいので、印象はそのままに、なるべく顔の向きは上のほうに向くように気を付けています。


「江戸川コナン」フィギュアデザイン(ちゃいこ)

——今回のキャラクターを「Q posket」にする際に工夫された点を教えてください。

ぱっふぉーん:小学生のコナンは「Q posket」にうってつけの頭身で、他のキャラクターよりも自然にかわいくできたと思います。個人的なポイントは大きめの「キック力増強シューズ」です。

枕慈童:コナンシリーズは、設定も目が大きい印象のため、わりとすんなり「Q posket」の雰囲気にはまった気がします。開発ご担当者様が何度も線を描いて、こんな感じと修正指示を入れていただきました。

——どの作品でもファンに納得してもらえるようなフィギュアにするために何か秘訣はありますか?

ぱっふぉーん:迷いながら作るとそれが形に影響しパッとしないものになる気がするので、楽しく・力強く・大人っぽくします。また、そのキャラクターの性格や気持ちを想像しながら作るよう意識しています。

枕慈童:私にも好きなキャラクターがいますので、みなさんが好きなキャラクターに対して思い入れている気持ちがとてもわかります。もしこれが自分の好きなキャラクターだったらどれだけ丁寧に考えて作ってほしいか?というのを毎回念頭に置いています。どのキャラも誰かの大切なキャラクターです。常に大事に作っています。

——ご検討中の方やファンのみなさまに一言お願いいたします。

ぱっふぉーん:手前味噌ではありますが、今回のコナン君はとてもかわいくできたと思います。
一人でも多くのみなさまに“名探偵”をお迎えいただければ嬉しいです!

枕慈童:ポージングも髪型も何度も試行錯誤を重ねて、とてもいい仕上がりになっていると思います。どうか作品を愛している方をはじめ、ファンの方々に響けばよいなと思います。

川崎:「Q posket」シリーズに馴染みがある方、今回の『名探偵コナン』シリーズではじめて知ってくださった方、シリーズならではの魅力と原型師様たちのこだわりの詰まった商品たちをぜひお手に取っていただければと思います。「江戸川コナン」、「怪盗キッド」だけでなく、今後もシリーズ続々登場予定です!

 

商品情報

商 品 名  :名探偵コナンQ posket premium-江戸川コナン
サ イ ズ  :全高約16cm、横幅約12cm、奥行約12cm※フィギュア単体…全高約13cm
予約期間:終了、コナンプラザ東京ドームシティにて店頭取り扱い予定

商 品 名  :名探偵コナンQ posket premium-怪盗キッド
サ イ ズ  :全高約16cm、横幅約12cm、奥行約12cm※フィギュア単体…全高約14.5cm
予約期間:終了、コナンプラザ東京ドームシティにて店頭取り扱い予定

<共通事項>
価格   :3,960円(税込)(送料・手数料別途)
対象年齢 :15才以上
セット内容:フィギュア本体、台座、シール
商品素材 :PVC、ABS、紙
生産エリア:中国
販売ルート:バンダイナムコグループ公式通販サイト「プレミアムバンダイ」
発売元  :株式会社BANDAI SPIRITS

© 青山剛昌/小学館・読売テレビ・TMS 1996

 

Q posket とは

「好きはいくつあってもいい」をコンセプトに、大きく艶のある瞳と、ふんわり優しい頬っぺたの質感、大胆なアレンジと繊細な造形を高いクオリティで実現し、可愛くデフォルメされたフィギュアシリーズです。ゲームセンターのクレーンゲーム景品としてさまざまなキャラクターをラインナップしています。

Profile

ぱっふぉーん
沖縄県出身。2007年株式会社エムアイシー入社。
学生時代にデハラユキノリ氏のソフビに出会い趣味で粘土造形を始める。卒業作品ではクレイアニメーションを制作。主にプライズ系のアイテムを担当。デフォルメ系やキモかわいいキャラクターが得意。「Q posket」シリーズも数多く手がけている。

枕慈童
三重県出身。2005年株式会社エムアイシー入社。
沖縄の芸術大学でロダンに憧れ大きな具象彫刻を制作。学生時代にスカウトされエムアイシーに入社。
「Q posket」シリーズも数多く手がけており、近年は主にQposketの男性キャラクターを多く制作している。

株式会社BANDAI SPIRITSの開発担当・川崎
2017年 旧株式会社バンプレスト入社。
前職版権窓口経験を活かし、ハイターゲット向けスケールフィギュア、デフォルメフィギュアなど数多くのアイテムを担当。近年は国内海外向けに「Q posket」シリーズの新規IPを数多く手がけている。