【原型師INTERVIEW】動きではなく、佇まいで怖さを表現『恐暴竜 イビルジョー』原型制作・古市竜也インタビュー!

カプコンより「カプコンフィギュアビルダークリエイターズモデル 恐暴竜イビルジョー」が予約受付中!今回は「モンスターハンター」シリーズのディレクター・藤岡 要さんと、原型担当・古市竜也さんに制作の裏側についてお聞きしました!

INTERVIEW 藤岡 要

——古市さんからポーズ構図を2〜3案をいただいたと思うのですが、なぜこちらのポーズを選ばれたのでしょうか?

イビルジョーは荒々しいモンスターなので躍動感のあるポーズもイメージ的には間違いではないのですが、造形物として考えた時に、どっしりとした重量感のある印象のほうが存在感もでて良さそうだと思って今のポーズにして頂きました。筋肉が隆起した背中越しに物々しい顔がのぞいているポーズがカッコいいですよね。

——古市さんが傷の部分や顎の開き方などオリジナルで作成されたということですが、そのことについて教えてください。

クリエイターズモデルは再現性よりも造形師さんが感じておられるままを表現して欲しいと思っています。こちらからお伝えするのはあくまでも資料ベースの質感であったり生態的な設定のみで、そこからの解釈は自由に発想頂いています。今回のご提案も、イビルジョーの荒々しい気性をよりダイレクトに表現する発想だなと思いましたし、造形になってみて納得のアレンジでした。

——購入を検討されている方やファンの方に一言お願いいたします。

元々が筋肉の塊のようなモンスターなのですが、その肉感が見事に表現されていると思います。造形物としての大きさもですが、イビルジョーの荒々しさや重量感をかなりダイレクトに感じられる造形になっていると思いますので、是非手に取って感じて欲しいと思います。

INTERVIEW 古市竜也

——本作の担当された経緯について。

「天廻龍 シャガルマガラ」の制作が終わりに近づいた際に、そのまま流れるようにいただきました。「またやらしてもらえるんやな」って感じで、とてもありがたったですね。

——この構図になった理由とは?

「恐暴竜 イビルジョー」は結構暴れ回るキャラクターなので、躍動感があるデザインと、ちょっと静かめのデザインを何案か提出したんですが、静かめのポーズが採用されました。「動きではなく、佇まいで怖さを出せればいいな」と、静かな中にも迫力を感じる、今回のポーズを作っていきました。

ポーズ案

——派手な動きがあるほうが好き?

わりと好きですね。羽があったらやっぱり広げたいとか、キャラクターが長い髪の毛ならば動きをつけたい、とかは本能的にありますね。

きっと好きなラインがあるんでしょうね(笑)。こういう感じで曲がっているラインが欲しい、とかしなっているラインとか…。今回のイビルジョーは、尻尾が大人しく内巻きでC字型のような構図だったんですけど、制作中に「やっぱり動きつけたいな」って思って、尻尾を外向きにしてS字型になりました。

——口は実際ここまで開く?

いや、実際いたら開かないと思います(笑)。
ちゃんと監修の際に「ここまで開けていいですか」って藤岡さんに確認をして作りました。多分顎より奥のほうを起点にして、大きめに開けていると思います。最初に原型を進めるときは骨格の整合性を気にして造形するんですけど、最後に仕上げで詰めるときは気にしないでいいのかな、とは思いますね。そこに囚われてもあまり面白くないと思うので。

——やっぱり迫力が違いますよね!

そうですね。やっぱりどうしても、顔がそっちに向いているので目立たせたかったというのはありますね。

——本作を制作する際に意識されたことは?

動きが少ない構図の中で、怖さとか凶暴さを出したいなとは思ってやりました。あとは、ほかのモンスターと比べてギザギザしたウロコが少ないので、わりと皮っぽい表面になっています。

——筋肉と筋部分について。

筋肉については、「生っぽさを出してくれていい」ということだったので、あまりウロコがないぶん、生っぽく見えればいいなと思って筋を入れたり好きに造形させてもらいました。

制作していくなかで、どんどん筋肉を盛り付けてしまって、わりとボリューミーになったかな?というイメージはあるんですが……最初はもうちょっと小さめだったというか、スレンダーだったと思います。ただ、「筋肉は盛ってもいいよ」みたいなことはいわれたような気がします(笑)。

——尻尾部分あたりに傷の造形もされている…?

モンスター自体も争った時のダメージというか、傷だらけだと思うので、作るときに強めにたくさん傷を入れました
傷の部分はもう資料なしで、自分で思うようにやらせていただいたって感じです。筋肉で皮が張っているんで、古傷とかもたくさん見えたほうがいいのかなって思って入れています。

——台座には岩や骨を造形されていますが、出現場所をイメージして作られた?

「出現場所」というよりは、イビルジョーが食い散らかした残骸みたいなのをいっぱい敷き詰めた感じにしました。
出現場所とかも考えたんですけど、後半それはいっかって感じで。骨をたくさん作って並べました。人骨とかは流石にまずいと思ったんで、何らかのモンスターの骨だと思っていただければ…!

——造形された期間は?

結構ワンフェスも絡んできていたので、個人的にもバタバタしていたんですけど、監修とかも入れて約2ヵ月くらいですかね。

——大山竜さんが監修ということで、やりとりはいかがでしたか?

前回の「シャガルマガラ」より時間がなくて、直接お会いして意見を聞けたということはなかったんですが、「こんな感じで進んでます」という感じで大山さんに何度かお送りして、コメントをいただくって感じでしたね。今回もわりと自由にやらせていただいたので、「これはダメ」とかはなかったです。

 

商品原型と塗装見本に使用した出力品

——モンスター造形は「まかせろ!」って感じですか?

何とか、慣れてきたっていうぐらいの感じですね(笑)。また、お仕事いただけたらちゃんと作れるかな、とは思えるようにできました。

——モンスター造形で「こういうふうに見せるとかっこよくなる」みたいなものってありますか?

造形の「流れ」みたいなものはあったほうがいいのかなっていう気はしますね。
自分が作るときはあまり考えていることが少なくて、手ぐせでやっていたりする部分もあるんですが…「流れ」はあったほうがいいのかなと思います。

——購入を検討されている方やファンの方に一言お願いいたします。

多少大きいんですけど「シャガルマガラ」よりは羽がないぶん、置きやすいとは思うので置き場所があっていいなと思っていただければ、買っていただけるとすごいありがたいです。

 

 

 

商品情報

カプコンフィギュアビルダー
クリエイターズモデル 恐暴竜イビルジョー

販売元:カプコン
本体素材:PVC、ABS
サイズ  :約H230×W180×D265mm
パッケージ:紙箱(窓付き)
原型製作 :古市竜也
監修   :大山竜
価格   :22.000円(税込)
お届け開始日:2024年2月29日〜

 

※商品画像はイメージです。実際の商品とは若干異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。
※内容・仕様は予告なく変更になる可能性があります。
※諸般の状況によりお届け日が変更となる場合がございます。

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Profile

「モンスターハンター」シリーズ  ディレクター 藤岡 要

1993年、ゲーム開発職としてカプコンに入社。グラフィックデザイナーを経て、2004年発売のシリーズ第1作『モンスターハンター』の開発に参加。ディレクターを務める。以降も「モンスターハンター」シリーズのナンバリングタイトルのディレクターとして、主に世界観の監修を担当した。
「モンスターハンター:ワールド」シリーズにおいてはエグゼクティブディレクターとアートディレクターを兼任した。
「クリエイターズモデル 恐暴竜 イビルジョー」においては監修を担当。

原型制作 古市竜也

1983年4月生まれ。20代後半頃、「造形を仕事にしたい」と考えるように。フリーの原型師としての活動をスタートさせる。カプコンフィギュアビルダー クリエイターズモデル等の原型など、モンスター造形で高い評価を受けている。現在はデジタルも導入。イベントには「ダブルドラゴン」というディーラー名で参加している。

X(旧Twitter):@dhalio