【制作編】アイドリッシュセブン「BLACK or WHITE LIVE SHOWDOWN 2022」制作裏側メイキングインタビュー!

2022年8月20日に7周年を迎え、たくさんのファンに愛され続けているスマートフォン向けアプリゲーム『アイドリッシュセブン』。

大晦日に行われた音楽番組「BLACK or WHITE LIVE SHOWDOWN 2022」では、 IDOLiSH7・TRIGGER・Re:vale・ŹOOĻが新曲を初披露し大いに盛り上がりました。

本記事では、【制作編】【キャラクター&衣装編】に分けてライブの制作裏側を公開!制作を担当したバンダイナムコオンラインの下岡聡吉さん、制作全般を担当したダンデライオンアニメーションスタジオのプロデューサー中山佳代さん、演出担当の西田映美子さん、ソリッド・キューブ原田奈美さん4人にお話しを伺いました!

 

INTERVIEW

——第6部に大きく関わっている今回の「BLACK or WHITE LIVE SHOWDOWN 2022」(以下、ブラホワ)ですが、本作が完成された際の心境を教えてください。

ダンデライオンアニメーションスタジオ西田映美子(以下、DLAS西田)現場の達成感は強く感じました。制作完了した時期はまだ詳しい公開や展開は確定していませんでしたので、あとはそれをただ待つだけという感じでした。

ダンデライオンアニメーションスタジオ中山佳代(以下、DLAS中山)私はプロデューサーという立場で制作を見守っていて、制作当初はもう色んな意味で綱渡りをしているような気持になった時期もあったのですが、1ユニットずつ完成していく様を見ていると(1ユニットずつ階段状のスケジュールで進行しておりました)スタッフも慣れてきて制作が安定してきたのもあり、出来上がっていく映像を楽しみにみられるようになりました。作り切った際は無事終わったという安堵と共に、公開に向けて少しずつ情報が解禁され、ファンの方々の反応を見ながら緊張しておりました。

——『RabbiTube』を配信していた頃から初期のステージ設定などを考えていたそうですが、いつ頃から企画されていたのでしょうか。

株式会社バンダイナムコオンライン下岡聡吉(以下、BNO下岡)第4部の配信後より第5部~劇場版までの一連の地続きの流れを計画しプロジェクトを遂行していく中で、第6部における最大の盛り上がりとして『BLACK or WHITE 生ライブ中継』ということを企画しました。これまで行ってきたグループ別のMV制作と違い、4グループ同日かつ統一されたクオリティでライブの空気感を作っていくということで、『RabbiTube』の完了時期が見えてきたところでダンデライオン様とコミュニケーションを進め、企画としてGO出しすることができました。

DLAS西田:『RabbiTube』の裏で制作は始まってはおりました。2020年の夏か秋ぐらいから何かしら開始はしていたような気がします。大事な「7」周年に合わせて展開したいとBNOさんからご提案があり、制作期間も確保できたおかげで、良いものになったと思います。

DLAS中山:2020年11月頃にお話を頂いて、2020年12月から制作に入っておりました。

——完成までのワークフローを教えてください。

DLAS西田工程が複雑ですので、ものすごく大まかに記載しますと下記のような流れになります。

①キャラモデリング
②演出構成、背景モデリング
③振付完成
④モーションキャプチャー収録
⑤コンテ作業
⑥アニメーション作業
⑦コンポジット作業
⑧納品

——1ユニット、MVが完成するまで大体どれくらいの時間がかかっているのでしょうか。

DLAS西田複雑な工程スケジューリングのもと、様々なスタッフのアサインを繰り返しながら進むので1ユニットに何ヵ月かとは言いにくいのですが、4ユニット平均して1年ぐらいでしょうか。

DLAS中山:階段状にスケジュールをひきつつスタッフが上手く回せるような形でスケジューリングしているので、西田の言うように「1ユニット何ヵ月」というようにはなかなか明確に申し上げづらいのですが、一番最初に着手・完成した「ŹOOĻ」と一番最後に着手・完成した「IDOLiSH7」を例えにとると、

【IDOLiSH7】
キャラモデル・BGモデル制作:2021/3~2021/7
アニメーション~コンポジット:2022/2~2022/9

【ŹOOĻ】
キャラモデル・BGモデル制作:2020/12~2021/6
アニメーション~コンポジット:2021/4~2022/1

といった形のスケジュールで進行しておりました。
キャラ数によってユニット毎の工数感ももちろん違うのですが、上記2ユニットは人数多めなのと「ŹOOĻ」は最初だったこともあり1年以上はかかってますね…。

 

 

<モーションキャプチャについて>

——キャラクターの動き方や癖などは、どのように研究されているのでしょうか。また、ステージでの歩き方の差別化についても教えてください。

ソリッド・キューブ 原田奈美(以下、SC原田)これは長年携わらせていただけたことの積み重ねだと思います。TVアニメ放送の前にMVやCG STAR LIVEなどでアイドリッシュセブンに携わっていますが、初めの頃はダンス以外でアイドルの皆さんが動いている情報が少なかったため、ゲームやイラストなどの情報を頼りにキャラクターを研究しました。そこから各アイドルさんの身体的特徴(身長、体重、骨の太さ、年齢など)やセリフの呼吸感、間などでキャラクターの動きをイメージし、メンバー同士の関係性などを落とし込み動きの核を作っていきました。ダンスサポートしてくれるアクターさんのキャスティングも大事なポイントです。
私の中では3つに分類していまして、①憑依型、②作り込み型、③そのままんま!(笑)。

アイドルさんの重量感、癖などをみて各アクターをキャスティングしています。個性を出すのは演技の引き出しもそうですがハマるキャスティングだと思っております。経験として特に大きかったのは今作と同じダンデライオンアニメーションスタジオさんとご一緒した「『RabbiTube』クリエイターにチャレンジ!」でした。アクターも我々モーションディレクター、コーディネーターも、1人のアイドルとじっくり向き合った経験が、より自然にアイドルの皆さんの個性が出せたのではないかと思っております。

DLAS西田モーションキャプチャーのアクターさんはキャラを理解されていますので、収録時にはキャラ性が入った状態で臨んでいただいております。また3D班に関しましても、ストーリーやキャラ設定、スチル、過去リリースされている様々なメディアを通して役作りをしておりますし、BNO様や脚本家様、キャラクター原案の種村有菜先生とお話をさせていただける機会もあり、関係者様方のブラホワに対する想いも多くいただいたことで、よりキャラたちへの把握が深くなったと思います。

 IDOLiSH7「TOMORROW EViDENCE」のアクターによるダンスシーン

TRIGGER「BE AUTHENTIC」アクターによるダンスシーン

Re:vale「YOUR RHAPSODY」のアクターによるダンスシーン

ŹOOĻ「Utopia」のアクターによるダンスシーン

 

——「ŹOOĻ」の前半シーンや「IDOLiSH7」の3人(三月・ナギ・陸)が飛行船に乗り込むシーンなどは別撮りで撮影したのでしょうか。それとも一発撮りで撮影されたのでしょうか。

SC原田振付と映像制作が同時進行でしたので、先に振付は気球に乗る、階段を降りるなどの特別な動きは考えず、基本の振付を作成し、そこに演出の動きをプラスして調整という流れで行っています。「IDOLiSH7」は大きなスタジオで撮影したため、 気球に乗るシーンも含めてダンスは流れで撮影し、+気球に乗りこむシーンは部分撮影を行いました。「TRIGGER」や「Re:vale」、「ŹOOĻ」に関してもダンスを通して行いつつ、部分撮影を行うなどしています。通常スタジオの大きさ、天井高など制限があるなかでの撮影になりますので、ダンスの流れに影響がないような形の分割撮影を行っています。

DLAS西田:キャプチャースタジオのセットや収録範囲に合わせて分割収録しています。もっとも複雑な分割収録をしている「ŹOOĻ」と、移動展開はシンプルですが、キャラ数の多い「IDOLiSH7」に関しては収録範囲が広く、柔軟にセットの対応を相談させていただけるデジタルフロンティア様のスタジオで収録しています。こちらのスタジオは複雑な展開のものでも精度が高いデータで撮っていただけるので大変助かっております。

IDOLiSH7 飛行船に乗り込むシーン

ŹOOĻ 前半シーン

 

——「TRIGGER」の楽曲はダンス中心ではなく、表情や仕草などがクローズアップされていましたが、制作上で意識したことはありますか?

SC原田:今回ダンスを行いつつも、お芝居要素が多めの内容でしたので、事前に西田監督のイメージボードを元にコーディネーターの方で今回のコンセプトに合うイメージ動画を作成し、振付師と共有しました。ミュージカルでもなくダンスでもない、あくまでライブでのステージパフォーマンスということでしたので、事前にイメージをすり合わせしておいたことで現場での調整も臨機応変に対応することができました。基本は振付・ダンスを作った状態でリハーサルに臨みました。リハーサルの現場で演出の西田さんと振付師の奥山敬人が現場でお打ち合わせし、ダンスベースにしながら演技の要素を多くしたアレンジを行っています。メンバーは全員が「アイドリッシュセブン」シリーズで振付師経験がありでこれまで「TRIGGER」をレギュラーで担当しているメンバーでしたので、世界観、キャラ性(演技感)を理解した状態で対応することができました。

DLAS西田:すべてモーションキャプチャーベースでの制作になります。「TRIGGER」の映像はそれぞれ画面に向けてアピールをする演出がポイントになっているため、いくつかのカットは演出付けのため手付けのアニメーション作業で変更を加えています。キャプチャで撮った自然な動きの重力感から突然手付けになった印象にならないよう、気をつけて作業してもらいました。

——注目ポイントを教えてください。

SC原田:今回長くアイドリッシュセブンに関わらせていただいたという積み重ねと、これまでダンデライオンアニメーションスタジオさん(中山P、西田D)とのお仕事の経験があったことで、スムーズに進行できるだろうという安心感がありました。だからこそいつも以上に振付、演技(アクターの表情や仕草、呼吸感など)にこだわることができました。思い切りできる安心感…これは今回のブラホワに出演するアイドルたちの自信をもったパフォーマンスに通ずるものがあると思いました。全力でぶつかり合うアイドルたちの姿が振付やモーションを通して少しでも伝わっていたら嬉しいなと思っています。完成した映像は…正直涙が溢れました。関わらせていただけて幸せです!

DLAS西田:全てのキャラが並々ならぬ覚悟でこの舞台に立っている、というのをステージングやパフォーマンス、表情にこめるように制作しました。彼らを応援している皆さんにもそれが伝わるといいなと思います。

DLAS中山:今までのストーリーを踏まえて歴史をしょって迎える2022年の「ブラホワ」ということで、お話頂いた当初はかなり不安も多く、衣装デザインや西田の演出を見たところでもこれを本当に作り切れるのかという不安はありましたが、ソリッド・キューブ様の振り付けやアクターさんの演技の精度や弊社スタッフが総力で制作に取り組む姿を見て出来上がっていくうちに、これはきっとファンの皆さんの記憶に残る作品になるという実感が湧きました。『RabbiTube』から制作に関わってきたスタッフの、キャラクターの魅力を最大限伝えたいというこだわりを察知して頂けたら嬉しいです。

 

©︎アイドリッシュセブン

 

Profile

株式会社バンダイナムコオンライン チーフクリエイティブオフィサー
下岡 聡吉
アイドリッシュセブンプロジェクトでは、エグゼクティブプロデューサーとしてIP創出・拡大の企画を担当しています。

 

ダンデライオンアニメーションスタジオ プロデューサー 
中山
佳代
前職はCGアニメーター。ダンデライオンではCGプロデューサーとして「龍の歯医者」「Readyyy!プロジェクト」「ドラゴンボール超 スーパーヒーロー」等に関わってきました。アイドリッシュセブンプロジェクトでは『RabbiTube クリエイター』にチャレンジ!!からお手伝いしております。

 

ダンデライオンアニメーションスタジオ  
西田 映美子
演出・3DCGディレクター。
「ツキウタ」、「B-project」、「Readyyy!プロジェクト」、「劇場版テニスの王子様」、「あんさんぶるスターズ!!」など多くのMV演出を担当している

 

株式会社ソリッド・キューブ
原田 奈美
ソリッド・キューブ在籍時はアイドリッシュセブンプロジェクトではMUSIC VIDEO ANIMATION『RESTART POiNTER』から参加し、『RabbiTubeクリエイター』にチャレンジ!!ほか、モーションにおける、振付、演技のディレクションを担当。現在は株式会社プライマリーフィールドの代表を務める。