【原型師INTERVIEW】祝!藤本圭紀・オリジナルキャラクター、「ケイティ・ムーン Trick or Treat」コトブキヤより発売決定!

スカルプターズ・ラボ注目のフィギュアの原型制作について紹介する【原型師INTERVIEW】!

スカルプターズ・ラボのトップ・スカルプターのひとり、藤本圭紀さんのオリジナルキャラクター「ケイティ・ムーン Trick or Treat」が大手フィギュア会社、コトブキヤより来初夏、発売される。藤本圭紀さんは実力派原型師として多方面で活躍するだけでなく、ワンフェスで発売されるオリジナルキャラクターはあっという間に完売するほどの人気ぶりだ。とはいえ、オリジナルキャラクターが一流ホビー会社から全世界発売されるというのは大快挙!発売記念インタビューでお話しを伺った。

INTERVIEW 足して引いて足して引いての繰り返しで、究極のラインを探しだす

——藤本さんはこれまでに色々なオリジナルキャラクターを出されていますが、その中で「ケイティ・ムーン Trick or Treat」が商品化に至った経緯について教えてください。

「ケイティ・ムーン シリーズ」は今のところ3種類出てますが、担当さんがこのキャラクターにビビッときたみたいです。ケイティはSNSなどで海外のレイヤーさんたちが反応してくれていて、一般のフィギュアファンじゃない層にも響いていた、というのもあるかもしれません。「ケイティ・ムーンの商品化、やりますか!」という感じで進みました。

——キャンペーン動画でもお話されていましたが、ケイティ・ムーンはコスプレイヤーさんなんですね。

そういう設定です。性格の細かいところはまだ僕にもわからないんですけど、自分に自信のある、自己肯定的なキャラクターです。だから最初から、自信に満ち溢れたエネルギッシュな表情をしていますね。人目を気にしない、我が道を行く、そんな子です発表したとき、こういう格好がしたいとかケイティになりたいっていう海外の反応が多かったのが印象的ですね。

 

 

——ケイティの性格は藤本さんにとって理想だったりするんですか。

それはあるかもしれないですね。自分を肯定するみたいなところとか(笑)。社会も自分も、明るいものが欲しいなっていうのはありますね。

——よく聞かれると思いますが、女体フェチについて教えてください。

これと言って特にないんですよね。ただ、ふくよかな女性っていうのは造形的にもきれいで美しいと思っていますあとはエロいけどエロくしたくない、上品にしたい。リアルにし過ぎちゃうとエロさが際立っちゃう場合があるので、どういうデフォルメが適しているかを常に考えています。そのためデッサンはめちゃくちゃ気をつけます。一番気をつけているくらいですね。リアルとはちょっと違うんですが。

——デフォルメにもデッサンは必要?

デッサンは人体を作る上での基本なので。基本がわからないとアレンジの幅も広がらないというのは常に感じます。僕自身もまだまだ勉強不足ですが…。その上で足し算、引き算を繰り返して最適な形状を見つける、という感じです僕の場合、足しっぱなしで作っていくと下品になるような気がするんです。そういう方向性もアリだとは思うのですが、単純に僕の好みではないというか。足して引いて足して引いての繰り返しで、最適なデフォルメを探し出す。取捨選択をいかに繰り返すかみたいなところかな。

——何回くらい繰り返されたんですか。

仮出力でいうと3回くらいはしてます。腕の長さとか……あとは隅々までコントロールできているかですかね。自分が意図した造形になっているかどうか、というところな気がします。ちゃんと全体に意識が行き届いているか、ですね。

 

 

——藤本さんの作る体の、柔らかく抱き心地が良さそうな表現はどうやったらできるのでしょう?

ふくらはぎとかの、お肉のシワとかってあるじゃないですか。そのシワの終わりと始まりは意識しています。そこを意識しないと、とってつけたような表現になっちゃう。どこから持ち上がって、押し上げる力がどうかかっているか。難しいんですけどね。
あとは、たとえば組んでいる足のふくらはぎの接点などですよね。押し上げられて椅子に乗っている太もものつぶれ具合とか、意識しましたね。

——衣装デザインもされているんですよね。デザイン理想図みたいなものはありますか?

資料を集めるときにいろんな要素を組み合わせます。この服のこの部分がいいとか、塗るときのことを考えてここにワンポイントあったほうがいいとか。「Trick or Treat」の銀のストライプの部分とかは最初、銀って決まっていなかったんです。ストライプにすることだけ決まっていて、まっすぐだとつまらないから斜めの線で動きを出したりしました。
あと、これもよく言っているんですけどありえない服にはしないようにしています。その気になれば作れたり、お店で売っていそうな服を意識しています。

 

 

——デザインするときに気をつけられているところはありますか。

隠し過ぎない見せ過ぎないっていうのはもちろんありますが、「Trick or Treat」に関しては胸もとの開きですね。ここを見せようっていうのは決まっていて、あとはリズム感なんですよね。ここにこれが多すぎるとリズム感が悪いなとか、それは結構、感覚的なところかもしれないですね。音楽に例えるっていうのは思う時があります。

——商品化にあたって少し変えたところは?

尻尾ですね。キットを買ってくださった方が尻尾をメタリックに塗っていて、いいな、と思っていたので。尻尾だけモヤッとしていたんですよね元々。

 

 

——この見本は藤本さんが作られたんですか?

僕が作りました。複製したガレージキットの2つ目を塗っています。

 

 

——購入を検討しているみなさんに一言お願いします。

オリジナルキャラだからこそ、買った方々が自分の気持ちとか世界観を投影できる余白があると思うんです。この子はどんな子なんだろう、こんな性格なのかな、普段こういうことをしてるのかな、などと想像して楽しんでいただきたいなと思います。ぜひコスプレもしてください(笑)。

——ありがとうございました。

 

商品情報

商品名:ケイティ・ムーン Trick or Treat by 藤本圭紀
発売月:2023年6月
価格:19,800円(税込)
スケール:NON
製品サイズ:全高約190mm(台座含む)
製品仕様:PVC塗装済み完成品

原型製作:藤本圭紀
備考:コトブキヤショップ限定商品 

©Yoshiki Fujimoto

 

Profile

藤本圭紀 Yoshiki Fujimoto

1983年生。大阪市出身。
大阪芸術大学彫刻科の在学中より、本格的に造形活動をスタート。卒業後、商業原型師として株式会社エムアイシーへ入社。2012年から創作フィギュアの制作を開始する。2015年、豆魚雷 Amazing Artist Collection第3弾に選出。2017年よりフリーランスとして活動。商業原型と創作フィギュアの制作を中心に、キャラクターデザイナーなど多方面で活躍中。

Twitter:@YOKKI_munchkin_