かわいい手のひらサイズ『1/1アメフクラガエル&ソバージュネコメガエル』蟹蟲修造原型制作インタビュー

“マニアックでリアルな生き物”を展開しているSO-TAの「アニマリエコレクション」から、『1/1 アメフクラガエル&ソバージュネコメガエル』が発売される。

2つとも、愛されビジュアルの1/1手のひらサイズ。原型を制作した蟹蟲修造さんに、造形制作の舞台裏をロングインタビュー!

 

INTERVIEW 蟹蟲修造

1/1アメフクラガエル&ソバージュネコメガエル』を手がけたきっかけ。

第一弾の『1/1オニタマオヤモリ&アルマジロトカゲ』の続編、ということで企画が決まりました。前回のオニタマオヤモリは僕が好きで作っていたものがそのままカプセルトイになった感じですが、今回はSO-TAさんからカエルでいきたい、と声をかけていただきました。企画自体は一年前くらいから決まっていて、動き出してからは半年ぐらいですかね。

この2種類を選んだ理由。

どうせ作るなら変なカエルをということで、SO-TAさんからアメフクラガエルをやってみたいという声があがって。アメフクラガエルと対になるカエル、ということで色々なカエルを候補にあげて、最後に残ったのがソバージュネコメガエルです。名前の通りに猫目が特徴のカエルですね。このセレクトにはけっこう時間がかかりました。その間にアメフクラガエルを遊びで粘土で作ってみたり。

蟹蟲さんといえば『SCULPTORS04』で作られたピパピパですが。

本当は僕が作るのでディテールがもっとトゲトゲしたカエルがいいな、とも思いましたが、一般的に認知されているカエルのほうがカプセルトイとしては触れやすいということで。コアすぎても気持ち悪くても売れないし。ピパピパは個人的にはやりたかったんですけど、流石に気持ち悪い!ダメだ!となりました(笑)。

ソバージュネコメガエルは猛毒があるそうですね。

そうみたいですね。皮膚のワックスが毒作用があって……っていう(笑)。                                                                                            

1/1サイズについて。

前回も1/1でやったので、そのシリーズでやっていこう!と。等身大でリアルなフィギュアを作れば、本物を見られなくても……っていう。僕自身も生き物を図鑑で見て、本物が見たくて作り始めたのが造形をはじめたきっかけでもあるので。小さいと若干印象が違うから、やっぱり1/1の等身大がいいかなという気持ちがありました。

実際の制作に入ってからのワークフロー、それぞれにかかった時間、使用ツールを教えてください。

データを作り始めてから各1ヵ月ずつくらいかかっています。自分が監修というのもあって、作ってから「やっぱり違う」と直して……を繰り返してそのくらいかかって。
ソフトはZBrush使ってます。プリンタは仮出力をするためなので本製品とは変わりますが、ELEGOO Mars 2 Proを使っています。


左から:粘土でラフで作ったもの。素立ちの状態で作って、仮出力したもの。仮出力にサフを吹いたもの。製品になったもの。

ソバージュネコメガエルのぶつぶつのテクスチャは規則制があるのでしょうか?

いえ、不規則ですね。やっぱり自分の造形を活かせるのは、ディテールがあるやつだなって(笑)。正直に言うと、ちょっと気持ち悪い個体を選んで造形しました。ZBrushのAlphaでアタリは入れてるんですけど、彫刻は全部手でやっています。アタリだけ入れてあとは深さとかを見つつ手で彫りました。結局同じところ2周とかしながら彫ってるので、無駄な時間かなと思いながら(笑)。
ぶつぶつには特に機能はないみたいですよ。種類によってはぶつぶつがある個体とない個体があって。完全にない個体はないかもしれないですけど、もっとディテールが浅い個体がいたりとか、そこは個体差がある。人でいう顔みたいな感じで、個人差があるものらしいです。でもここから毒を出すとかそういうのはないです。

デコマスで工夫されたところはありますか。

量産されるので、複雑な色で塗ると再現が難しかったりするから、わざと模様を単純にしてみたり、このくらいだったら量産できるかなと考えながら塗ったりしています。ソバージュネコメガエルの表面のワックスみたいな感じはマットな塗装にしたらリアルになるかな、とか。

アメフクラガエルのこの表情は威嚇?一生懸命体を大きく見せようとしているんですか?

そうみたいです。こんなに小さいのが膨らんでも大きく見えないですけどね(笑)。アメフクラガエルはそもそも土にずっと潜っていて出てこない生き物らしく、生きてる状態を見ることすら珍しい。本当に見ること自体がありえないくらいの感じらしくて。動画を2、3本見つけて、鳴いているものがあったので、威嚇なのかなと思いながら。体は、膨らんで大きく見せているのか、仮に鳥とかに食べられた時に飲み込まれにくくしてるのかわからないですけど、多分大きく見せてるんじゃないかなと思います。

アメフクラガエルのかわいいポイントは?

アメフクラガエルはお尻がキュッとなっている特徴がかわいさを出せるポイントかな。製品でもお尻がきれいに出てくれてたのでよかったなと。あと、前足の独特な丸みをこだわって作りました。爪先立ちのように作ったのは、わざとバランスが悪い感じにしてヘナヘナした感じを再現できたかなと思います。かわいさではないですが、膨らんでいる状態を作ったので、本当だったらアメフクラガエルってもっとディテールがシワシワに入ってる感じなんですけど、お腹とか背中とかは皮膚が伸びてる感じかなということでディテールを抑えめに作ったりしています。

ソバージュネコメガエルのかわいいポイントは?

喉の部分にたるんだシワを入れてるんですが、このへんがカエルっぽさを出せたかなと。あとは普通に顔が可愛く作れたかなと思います。普段からトカゲとかを作っているせいかマズルを無意識に長くしがちなんですが、今回はわざと短めに作ったのでカエルっぽくなったかなと思います。
かわいくないところでいうと、お腹とか目の上のコブのブツブツをこだわって作りました。

前足の指は何本あるんですか?

前足が4本で後ろ足が5本です。ソバージュネコメガエルは一般的なアマガエルみたいな感じではなく、吸盤がなくて木を掴んで登るカエルなので、指が細くて長い。だから壁にもくっつけないし泳ぐのもそんなに得意じゃないんです、水掻きもないし。木を掴んで歩くのが得意で、わりと特殊ですよね。歩くのものそのそ歩いて木を探して……みたいな感じですね。
アメフクラガエルもジャンプできねぇじゃん、みたいな体をしてますが、歩いたりするのはめっちゃ速いらしいです。四足歩行でピャーッと。こんなにずんぐりむっくりしてるのに、フィギュアみたいに体を引きずらずに4足で立ってトコトコ歩くらしい。こんな足で歩けるんだと(笑)。

そういう性質を知るとすごく可愛く見えてきますね。

そうですね。こんなにかわいい生き物なんだ、みたいな。そうは言ってもほとんど土の中で過ごしているらしくて。餌はいつ食べてるんだとかどうやって生きてるか不思議なカエルですね、アメフクラガエルは。

このカエルたちは何を食べているんですか?

アメフクラガエルは雨が降った時に土から出てきて、虫とかシロアリとか小さい虫を食べているみたいです。ソバージュネコメガエルは夜行性なので夜になったら動き出して、そのへんにいるコオロギとか小さな虫を食べたり。日中、活動しないときはギュッと固まって動かないらしいので、すごく小さく見えるみたいです。このソバージュネコメガエルもフィギュアだと足を伸ばしてるので大きく見えますが、実際は手足を引っ込めてキュッと丸まっちゃうらしいので、実物を見るともう少し小さく感じるかもしれないですね。

蟹蟲さんはカエルを飼われていますか?

バジェットガエルっていうカエルを飼っています。変な顔したカエルです(笑)。今度作ろうかなとは思ってます。

 

最後にお客様に一言お願いします。

今回は一から調べて作ったというのもあるので、カエルを知らない人でも楽しんで見てもらえる商品になっていると思います。買って可愛がってあげてください!ぜひよろしくお願いします!

PROFILE

蟹蟲修造(かにむし・しゅうぞう)

1996年7月31日生まれ、京都府出身。
元々魚等の生き物好きで漁師を目指していたが、生き物の形を表現することに惹かれ、造形を始める。主に爬虫類をメインとした有隣動物や変わった生き物を制作。
GEX×iiidd Khimaira(Frog Tree)「あなたの爬虫類がフィギュアに!キャンペーン」原型制作担当。他、各爬虫類やフィギュア関係のイベントに出展してる。

Twitter:@731mm88

商品情報

1/1アメフクラガエル&ソバージュネコメガエル』

カプセルトイ版:税込500円 
ブラインドボックス版:税込550円
発売予定日:2022年6月
原型:監修 蟹蟲修造
販売元:株式会社SO-TA

2022年6月発売予定!