めざせ完売! ワンフェス参加セルフプロデュース術 VOL.3 大畠雅人さん

7月30日(日)はワンフェス!
初参加でドキドキしている人も渾身の作品を販売する人も、お目当ての作品を買いにいく人もみんなが楽しみにしている造形の大・大イベントです。スカルプターズ・ラボでは、せっかく力を入れて作った造形作品を少しでも多くのお客さんに届けたい!と、完売作家さんたちに「造形以外で、何をすればいい?」というプロデュースのコツを聞いてみました。

第3回目は国内外でオリジナル作品が高く評価される、原型師でアーティストの大畠雅人さんにお聞きしました。

最初にワンフェスに出た時

一番最初のワンフェス参加は2014年にフィギュア会社で働いていた時で、出したのは『ガールズ&パンツァー』(手原型)でした。当時、僕は『ガールズ&パンツァー』をあまり知らずに、先輩に「今はこれが売れるからこれを作ればいい、練習だからとにかく売れることだけ考えろ」という感じで言われて。16個作って1万円で販売して、完売しましたね。その先輩からは、まだ立体物の出ていない、今流行りのコンテンツをチョイスすれば完売まではいかなくとも最低限は売れる、技術があれば絶対に完売すると教えてもらいました。でもそれは本来のワンフェスの在り方ではなく、好きなものを好きなように作るというのが純粋なもの作りだと思いますが、それでも完売したい人はあえて流行りにのり、作ってみるのもいいと思います。

どのタイミングでオリジナルに切り替えましたか?

『ガールズ&パンツァー』の次に『ペルソナ』(手原型)、その次に『キルラキル』で3回版権もので出ました。4回目に初めてオリジナル「contagion girl」(手原型)を出して、5回目で「survival01 killer」(デジタル)を出して注目してもらいました。「contagion girl」は完売はしましたが、10個も持って行けていなかったと思います。「survival01 killer」の時に30個くらい持っていたんですが、初めて行列ができて。


「contagion girl」(手原型)


「survival01 killer」(デジタル)

初めてオリジナルを作るとなった時にどういうふうに宣伝すればいいでしょうか。

初めての時はTwitterで宣伝するくらいしかなくて。当時はInstagramも流行っていなかったのでTwitterとFacebookと今はなきフィギュア写真投稿サイト「fg」に投稿する感じでした。

最初は少数のアンテナをキャッチした人が買いに来てくださって、2回目以降はそこから広がっていく。一発目の戦略は、自分の作りたいものを作ってリーチできる人に情報を届けるように、なるべく色々な媒体で拡散することだと思います。

2回目以降は戦略的にsurvivalをシリーズ化しました。最初に「killer」を作ってみんなに注目していただいたので、この方向性を続けてみようと思って。あえてナンバリングして02、03、04と割と短いスパンで一気に出ました。ナンバリングすると最初に買ってくれた人はまず買ってくれるというのはありますね。サイズも揃えましたし、ストーリーとか世界観も揃えて。そこで作品・作家をキャラ立てして認知してもらえたと思います。

SNSをどのくらい前から動かすかとかアドバイスはありますか?

最初の頃は投稿する時間を気にして、金曜とかにしていました。深夜は避けて夜の8時9時に投稿するなど。ワンフェスの前はみんなが情報を出すので、埋もれちゃうんじゃないかなと思ってちらほらワンフェスの情報が出始めるとチェックしています。Twitterのタイムラインを見つつ今だ!というタイミングであげる。そのタイミングまで画像を寝かせておきます。

今だ!と直感的に思うのって何かきっかけはありますか?

自分と似た作家さんが出していない時にしています。例えば藤本圭紀さんが出したらちょっと避けたりとか、藤本さんの通知が落ち着いた頃に出したりしています。

ワンフェスにこれを出します!という写真はご自身で撮られていますよね?

そうですね。僕は暗い部屋で照明をいっぱい焚いて、光を操る小松陽祐(『大畠雅人作品集』のカメラマン)さんのやり方を真似しています(笑)。でも最近みんなプロに頼んでたりしますね。ワンフェスに出すための写真を撮るカメラマンとかいます。

作品にもよると思いますが、大畠さんの撮影の仕方を教えてください。

僕の場合リアル系だからかもしれないですが、あえてドラマチックに陰影を強調して写真を撮るようにしています。具体的には、なるべく顔に陰影が欲しい。強い光を片方から当ててあとはサブで後ろや下から照らして撮っています。フィギュアはサイズが小さいから人間よりも凹凸が浅いじゃないですか。だからドラマチックに光を当ててあげないと人間が人間を見る時のような光の当たり方をフィギュアがしてくれなくて、のぺっとしてしまうんです。

ワンフェス2023夏、大畠さんのブースは8-19-09

 

作品集

大畠雅人作品集 ZBrush+造形テクニック』