めざせ完売! ワンフェス参加セルフプロデュース術 VOL.2 中西宏彰さん

7月30日(日)はワンフェス!
初参加でドキドキしている人も渾身の作品を販売する人も、お目当ての作品を買いにいく人もみんなが楽しみにしている造形の大・大イベントです。スカルプターズ・ラボでは、せっかく力を入れて作った造形作品を少しでも多くのお客さんに届けたい!と、完売作家さんたちに「造形以外で、何をすればいい?」というプロデュースのコツを聞いてみました。

第2回目は独立して精力的にアーティスト活動をする、完売作家の中西宏彰さんにお聞きしました。

オリジナルフィギュアを作る場合のリサーチ方法、いける!と判断するのはどのタイミング?

むしろそれ、僕できてないんですよ(笑)。

売れるフィギュアは、最近の傾向だとリアル系の美少女フィギュアじゃないですかね。露骨に売れている傾向があるなって思っています。
以前に「V.V.」というメカのスーツを着た女の子の作品を作ったことがあって。女の子がハードスーツ着てるだけ、男の子が好きな要素を2つ組み合わせただけのものなんですけど、それが結構売れたので、オリジナルならばリアル系美少女+メカ、リアル系美少女+異形みたいな、リアル系美少女+〇〇的なものはここ最近売れ筋だと思います。


「V.V.」

誰に、これはいける?ダメ?などの意見をもらっていますか。

だいたい見せるのってSagata Kickくん。作業通話しながら「今こんな感じなんだけどどう?」って。お互い造形を見せ合って、自分でも作りながらあまり納得できてない部分があるけどここやっぱり足りてない?などとヒアリングしています。そこで、ポーズをもっとこうした方がいいとか言われてそれを試してみるとか、言われたことを一回試すけど、自分の中でいいなって思わなかったら最終的に自分のやりたいようにしますね。

売れようが売れまいがある程度自分が納得できる作品のほうが、自分はいいかなって思っています。買ってくれる人は少ないかもだけど、自分の満足度的にはそっちのほうがいいかなって。

最初に出したフィギュアの定価と個数を教えてください。

一番最初にキットのディーラーとして参加したときは社会人1年目の年で、15cmぐらいの作品を7000円くらいで出しました。安かったなって思いますね。

サイズも小さかったんですけど、初めてキットを売るんであんまり自信もなく、とりあえず買いやすい価格で知ってもらえたらいいやみたいなぐらいの気持ちで出しました。10個作って一応完売しました。オリジナル物でいきなり全部売れたので「意外と売れるやん」っていう自信もつきました。

大阪から来てたし、自分で型取りとかコストもかかってて利益にはならなかったけど、そこでいろんな人に知ってもらえたんです。その次からは、そのおかげで順調に売れたりしたので、結果的にはよかったです。


最初に販売した作品「MIKAZUKI」

最近はどれぐらいの定価づけでしょう?

最近は2万2000円くらいで40個くらいだったかな?30cmぐらいの結構大きいやつなんですけど、完売しました。ただ、利益は実際にそんなにないですよ。黒字ではあるんですけど、かけたコストに対して利益はそんなにないって感じですね。2、3ヶ月かけて作るので、こんだけかけたけど、こんだけかみたいな(笑)。

年々作る作品が大きくなっているというのもあるんですけど、複製代が結構かかってしまうので、そこを踏まえて価格設定しないと全然元は取れない感じですね。パーツが多いとシリコン型の数も増えるので、大きくてパーツが多いと高いです。


最近販売した作品「Necroid Conductor」

複製でお金がかかるんですね。

そうですね。中ぐらいのものでも、型代が多分10万ちょっとくらいでキャスト代が1体あたり5000円くらいかな。最近はレジンキャストの値段が上がって、複製業者さんの相場が上がってきているのでもっと上がってるかもしれません。

値段づけの基準は?

原価料に対して多少利益がある程度を目安にしてます。

よく知り合いから言われるのが、4万円を超えるとお客さんはなかなか買ってくれないよ、と。海外のイベントとかでも買われない傾向があるらしくて、せいぜい高くても3万円台くらいが買ってくれやすいような価格帯だと思います。1万円台になると流石に安いなって思うんですよ。

SNSでのアピールはどうされていますか。

それほんとに下手くそなんですよ、だいたい間に合ってないんですよね(笑)。

あまり参考にならないと思うんですけど、本当はイベントの一週間前の週末、金曜とか土日の18時とかゴールデンタイムくらいがいいのかなって思います。会社帰りとか電車とかでスマホ見るじゃないですか、その時に情報が流れる時にパッと見れるような。

でも何となく、週末とか土日のほうが情報を探してる人が多いかなって思ってます。

ワンフェスで一番落ち込んだことは?

一番落ち込んだのは、前日搬入の時に、荷物を間違えて他の人が持って行って当日売るのがなかった時。その回はやばかったですね。死んだ顔で椅子に座ってるだけでした。何も売るものないし、もうなんか、何しに来たんやろうみたいな。

間違った人はイベント後に「間違って僕のところに持って行っちゃいました」って送ってくれたので、結局通販で売り捌いたんですけど。謝ってもらったのと、お詫びでその方が持っていためっちゃいいプリンター、当時何百万する業務用のプリンタで一体、プリントさせてもらいました。

あれで荷物帰ってこなかったら、ただただ複製にお金かけて一銭も入って来ない感じでほんとにやばかったんですよ。それが一番落ち込んだ経験ですね。

嬉しかったことは?

普段SNSで見ていた人が作品を褒めてくれる機会が増えたことがめちゃめちゃ嬉しくて。お客さんと触れ合うのももちろん楽しいですけど、リスペクトしている人に評価されるってことはすごく嬉しいなっていう。

大山竜さんとか高木アキノリさんとか吉沢光正さんの反応とかを、人づてに聞くんですよ。誰かに会ったときに「そういえば高木(アキノリ)くんがめっちゃよかったよって言ってたよ」とか「吉沢(光正)さんが褒めてた」とか。僕がいないところで知名度のある方が作品を褒めてくれるみたいな機会が増えたのはすごいありがたいなって、嬉しいなって思いますね。

それが一番嬉しいです。

 

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