スネ夫の髪の毛を完全再現!造形師・榎木ともひでさんの粘土造形術インタビュー!

長らく立体化不可能と言われてきた『ドラえもん』の「スネ夫」の髪型。なんと、フィギュア造形師・榎木ともひでさんがその造形力と世界一黒い水性塗料「黒色無双」を使用して再現に成功しました…!後ろ姿も違和感なく完璧に再現されています(感無量です)。今回、榎木ともひでさんに「スネ夫」制作の裏側を伺いました!

 

INTERVIEW

——SNSの反応につきまして、心境はいかがでしたでしたか?

概ね好意的に見てくれていたので嬉しくおもいました。

——どうやってこの構造にたどり着いたのでしょうか?

先日、子どもと『ドラえもん』の映画を観に行ったのですが、途中でなんとなく「スネ夫の髪の毛を立体化できそう、作ってみたい」と思ってしまったのです。
ある角度から見て、そのアウトラインからはみ出さなければどんな形でも作れると普段から思っていたので(以前ペンローズの三角形を作った時も同じ考え)その考えのもと髪の毛の形を調整しました。

今回は、以前からちょこちょこ使っていてその効果の程は実験済みだった「黒色無双」を用いれば、アウトラインの内部構造を見えなくできるのではないかという想定のもと作りはじめました。

 


塗装前の「スネ夫」

——制作から完成までどのくらいの時間がかかったのでしょうか?

思い立ったものなので、映画を観た次の日から始めて1日半です。

——髪造形だけでなく、口の造形(骨格の上げ方など)も大変だったとおっしゃられていましたが、意識したことはありますか?

スネ夫といえば尖った口。
左右どっちから見ても尖っています。造形的なベストアングルの向きもありながら、そうでない方向からもなんとか尖った口を再現できたと思っています。向かって左向き95点、右向き70点といったところでしょうか。

完成した「スネ夫」

——使用した粘土の種類を教えてください。

グレイスカルピーです。

——次に挑戦してみたい、現在気になっているキャラクターはいますか?

いないです。
基本的にどのキャラクターを作りたいとは普段思っていないので。キャラではなく何か面白いものを作りたいとはいつも思っています。今回はスネ夫の髪の毛の謎を作りたいと発作的に思ってしまった。以前は「二次元的アニメ顔」の内部骨格(頭蓋骨)はどう成立するのか試しなくなったり。ペンローズの三角形を作りたくなったり。そんな感じです。

 

Profile

榎木ともひで

1974年生まれ。美少女からバイオレンス系、リボルテック「ダンボー」など、あらゆるジャンルをこなすオールラウンダーな造形作家。eyewater主宰。漫画家志望から造形へと転向した経歴を活かし、キャラクターを徹底解析して「アニメ絵」特有の歪みから作風の魅力、癖に至るまで立体物に再構築する唯一無二の技術を持つ。キャラクターデザイン的なデフォルメや、空間構成力を駆使したヴィネットも得意技。近作は「SNOOPYMUSEUM TOKYO ピーナッツヴィネットコレクション Vol.2」「アヤナミレイ(仮称)第3村Ver. 」など。今年、造形師デビュー25周年を迎えTwitterなどで#造形師デビュー25周年でまとめた25年分(1998年〜2023年)の造形作品が全て見れるようになっている。オリジナル作品はWeb ショップ などで購入も可能。eyewater-enoki

Twitter:@eyewater_e