【スカルプターズ・ムービー】衝撃の実話ホラーを彩った表と裏ふたりのヒロイン『牛首村』

テキスト・神武団四郎

閉鎖された九州の旧犬鳴トンネルを舞台にした『犬鳴村』、いちど足を踏み入れたら出られない富士の樹海に挑んだ『樹海村』。実在する心霊スポットを題材にした〈恐怖の村〉シリーズ第3弾『牛首村』は、“北陸最恐”と語りつがれる坪野鉱泉にまつわる物語だ。

 

STORY

高校生の奏音は、ボーイフレンドの蓮からある心霊動画を見せられた。そこに映し出されていたのは、牛首のマスクを被せられ廃墟のエレベーターに押し込められる自分そっくりの女子高生だった。彼女に不思議な感情を抱いた奏音は、蓮とともに撮影現場の旅館を訪問。衝撃的な事実を突きつけられる……。

 

REVIEW

今作のモチーフは、姿を消した少女が白骨遺体で発見された “神隠し事件”の起きた富山県魚津市の坪野鉱泉と、数々の怪異が目撃された富山県と石川県を結ぶ牛首トンネル。廃墟の旅館、トンネル内に祀られた呪いの地蔵、牛首のマスクに隠された秘密……今作も“実話”を絡めつつ、恐怖と幻想の世界を展開する。監督・共同脚本はシリーズの生みの親で、『呪怨』シリーズや『ホムンクルス』など数々の衝撃作を手がけてきた清水崇。身の毛もよだつ恐怖演出だけでなく、数奇な運命に翻弄される血のつながりや忌まわしい風習、多胎児が隠れ住む謎の集落などタブー無視の濃厚な人間ドラマを繰り広げる。

 

廃ホテルは富山県にある実在の心霊スポットを使用。

 

そんな本作のトピックが、モデルとして活躍しているKōki,が主演で映画デビューを飾っていること。モデルのほか中島美嘉や三浦大知など人気ミュージシャンに楽曲を提供するなどマルチに活躍する彼女は、今作でいよいよ俳優としても活動を開始する。もともと清水崇監督のホラー映画は若手女優の登竜門としての一面を持ち、『犬鳴村』は三吉彩花、『樹海村』では山田杏奈、山口まゆがダブル主演を果たすなど、〈恐怖の村〉シリーズでも若手実力派が恐怖のどん底に突き落とされてきた。今作でKōki,は主人公・奏音のほか、心霊動画で目にした同年代の女子高生・詩音のふた役に挑戦。繊細な内面描写や性格の違うふたりの演じ分けなど、デビュー作とは思えない存在感を見せている。

 

もうひとり見逃せない存在が、奏音と牛首村を結ぶ謎めいた女性を演じた芋生悠。『ソワレ』や『ある用務員』、『ひらいて』など次々と話題作に出演し、ボートレースのCMシリーズでも注目されている若手演技派だ。本作では物語の暗黒面を体現する役どころで、奏音に対し裏ヒロインというべき立ち位置。どちらかといえば華奢な体格の彼女だが、本作のために7kgも減量。足を引きずるなど特殊な演技を求められ、キャラクターのバックグラウンドを掘り下げる徹底的な役作りで撮影に臨んだという。幼い頃から空手を習い、女優になった後はアクションのトレーニングを積んできたという身体能力も生かた熱演にも注目だ。

 

〈恐怖の村〉シリーズは3部作としては今作が最終作。女優たちの熱演のほか現存する坪野鉱泉の建物で撮影を敢行するなど、最後を飾るにふさわしい力の入れよう。有終の恐怖をじっくりと味わってほしい。

 

CAST

Kōki,
萩原利久 高橋文哉
芋生悠 大谷凜香 莉子
松尾諭 堀内敬子 田中直樹 麿赤兒

 

STAFF

監督・原案:清水 崇
脚本:保坂大輔、清水 崇 
音楽:村松祟継 
撮影:福本淳 
企画:紀伊宗之 
企画・プロデュース:高橋大典 
プロデューサー:三宅はるえ 
特殊スタイリスト:百武 朋(百武スタジオ)
制作プロダクション:ブースタープロジェクト 
配給:東映 

 

2月18日全国ロードショー

©2022 「牛首村」製作委員会