INTERVIEW
——本企画はいつ頃始まりましたか?
2023年11月くらいにお話をいただきました。ちょうど1年前くらいには監修に出せるくらいの原型は完成していました。それから何度か監修していただき今の形になりました。

——『龍が如く』はプレイされていましたか?
PS2の1作目が発売された時に話題になっていて、僕自身も新宿区〇〇町で育ったこともあって興味津々で。試しにプレイしてみると思い入れのある道や建物やお店がゲームになっているのがめちゃくちゃ楽しくて時間を忘れてやり込みました。それからずっと新作が出るたび『龍が如く』はプレイしています。桐生一馬は人生で一番多く操作しているゲームの主人公といっても過言ではないです。
——そんな『龍が如く』桐生一馬のフィギュア化のお話を聞いた時のお気持ちは。
ついにきた!って感じでしたね(笑)。たまたまその時期に『龍が如く8』の情報が出始めていて、一馬が少し歳をとり髪を下ろして登場した姿を見てワンフェスなどのイベントで一馬を作れないものか……と漠然と考えたりしていて。そんな時にコトブキヤさんから『龍が如く』の話があると聞き、担当さんに「一馬作りたいです!」と猛アピールをしたら作らせていただけることになりました。(その節はありがとうございます!)

——本作はリアルテイストの造形ですがアニメ造形との違いはありましたか?
以前は割とリアル寄りの造形仕事も多かったんですが、デジタル造形移行後はアニメキャラを作ることが多かったのもあってリアル系は今回が初めてで。最初は少し戸惑いもありましたが触ってるうちに元々あったリアル系の造形感覚とデジタル造形が触りながら馴染んでいったような気がします。
今回特殊だったのは桐生一馬はすでにCGモデルが出来上がっている点で、そのCG画像を見ながらをCGモデル作るっていう。リアルと言えばリアルを追って作るんですが最終目標が実写ではないのが不思議な感じでした。単に画像を見真似するだけじゃ立体としてどこか物足りないというか、それをモニターの中で探るような難しさはありました。それと今回は1/6スケールでこれまで携わってきたデジタル作品に比べるとサイズが大きいので、肌のテクスチャや顎髭などどこまで細かく作り込むべきか、仮出力をみて何度も完成イメージを調節したりと初めての経験が多かったです。アニメキャラでは表面にテクスチャを入れずにツルッと仕上げて塗装に質感を委ねることも多いので、サイズに見合ったディテールの解像度については何度もすり合わせをしました。

——顔のシワについて。
楽しくて最初は結構作り込んでいました。怒っている表情というのは決まっていましたがせっかくならゲーム内では出せない部分まで表現したいという気持ちもあって。ただ、一馬は見た目がクールだけど内に秘めた部分が熱いキャラクターでもあるので、歯を食いしばった表情だとしても過剰なアレンジを加えるとイメージから離れてしまうので”らしさ”の塩梅が難しかったですね。

——参考資料は三次元の人物も見ながら?
そうですね。Pinterestなどで怒った顔の画像を集めて様々なパターンを試しつつ、もちろん設定の一馬の印象から外れないように。よりリアルな人間ぽくするために部分ごとに若干左右非対称に崩したりもしています。

——足など服の上からでもわかる筋肉の表現についてのこだわり。
一馬の一つの特徴としてスーツを着ていても筋肉の存在が感じ取れるぐらいタイトで、勢いよく座ったらお尻が破けそうなくらいのパンパン感があるんです。そこは表現したかったのでシワも出すべきところ以外は出さずに太ももや二の腕の張りなどは意識しました。実際に一馬がいたらこんな感じというのを目指していたので過剰な表現は入れていません。シャツも最初はもっと派手にシワを入れていましたが、現実はそんなにシワが入らないだろうと後から調整しています。

——存在感を大事にされているんですね。
ゲームの中の一馬にはゲームをプレイすれば会えるじゃないですか。この一馬はフィギュアという立体物になってせっかく目の前に現れてくれる訳なので(笑)シンプルながらもどの角度からみても絵になるような、飽きずに楽しめるもらえるものにしたかったです。

——ポージングについて。
こんなパンチをしているという指定はあったんですが、割と自由にやらせていただきました。僕は格闘技も好きなので色々なパンチのシーンは浮かぶんですが、きっと一馬は「相手のパンチを受けても構わない戦い方、自身を守ることを優先しない戦い方」をするだろうと思っていて。攻撃を受けながらも怯まず真っ向から立ち向かう、そんな漢気が感じられるように意識しました。

——毛(顎髭)の表現について。
造形でも表現しています。やりすぎてもゴワゴワな肌に見えてしまうし、何もなくあっさりしすぎててもダメなんですよね。彩色の際にもここに髭があるという目安になるよう絶妙なラインで。小細工のような感じで顎下にも若干毛を作っています。

原型データ
——スーツ、革靴のディテールについて。
生地に斜めのテクスチャを入れるフィギュアは最近も多く見られるんですが、スーツだとよりらしくなるのもあって最初から決定していました。ただデジタル造形で表面に綺麗なテクスチャが入るまでポリゴン数を上げるとパソコンに負荷がかかってしまうので、ジャケットやパンツなどそれぞれ別ファイルで作成して最終的に一つのファイルにまとめるような工夫をしないと度々パソコンが落ちてしまったり……と結構大変でした。
靴は蛇皮の平面画像を転写して作りました。細かいデザインやステッチなども再現して本物の革靴のような仕上がりになったと思います。

——再現が一番難しかったところはどこですか?
表情ですかね。長いことゲームをやっていると一馬の性格や傾向がわかるので、怒っていても取り乱さない、熱いんだけど表情はクールとか、自分が好きな一馬像があることこそが難しかった点かもしれません……あとは髪の毛も難しかったです。オールバックのようなツンツンした髪型ですが、ハリネズミのように小さいハリをいっぱい生やすとトゲにも見えてしまうので一度かっちり作ったあとに崩していく感じで、 流れを崩さず左右差を出したりかなりの数を手作業で生やしては細かく調整しました。 1/6スケールのサイズだとそれなりにディテールが見えるのも意識しましたね。

——本作品の一番の見どころを教えてください。
ポージングです。動きのある一馬のフィギュアは今回が初になると思うんですが、あえて劇中にはないであろうポーズを意識してみました。もちろんゲームの中でも色々な攻撃技はあるんですが、どの技とも言えないようなケンカ途中の荒々しさを切り取ったような空気感が出せたらいいなぁと。
向かいに別のフィギュアを置いて対峙させるようにして飾って遊ぶこともできるので色々な方法で楽しんでもらいたいです。そしてなんといっても大きいので迫力抜群です!

——購入を検討中のみなさんに一言お願いいたします。
塗装も丁寧で非常に再現度の高いフィギュアになっています。お値段も手頃で質の高い一馬フィギュアが手に入れられるので、龍が如くファンの方達には是非とも手にとっていただきたいです。普段はゲームの中で見て操作するしかできない一馬ですが、フィギュアになって見て触って楽しむこともできるなんて最高です!

商品情報
『龍が如く』桐生一馬
スケール:1/6
製品サイズ:全高290mm(台座含む)
製品仕様:PVC塗装済み完成品フィギュア
原型製作:武藤直哉
コトブキヤショップ限定特典:特製アクリルブロック
©SEGA
Profile
武藤直哉(むとう なおや)
小学校時代、夏休みの自由研究にて紙粘土で奈良の大仏を作り父親に絶賛され造形に目覚めた。
しばらくは音楽を生業とするミュージシャン時代を過ごすも、紆余曲折の後CDジャケットや広告などの美術制作の道へ。さらにフリーランスの商業フィギュア原型師に転身、現在に至る。
もともとはスカルピーによるアナログ造形を得意としていたものの、近年デジタル造形に移行しようやく体が馴染んできたところ。“銀印本舗”としてソフビ〜ガレージキットまでその場その時を自由気ままにディーラー活動中。
Twitter:@muto_chi
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