【スカルプターズ・データベース】迫力のドラゴン、繊細な像、圧倒的デザイン力と造形力 タンノハジメ

フィギュア、ゲーム、CM、映画、そしてアートのジャンルで最も造形力のあるスカルプター・原型師を集めた、最新データベース創刊!

【2023/2/21更新!】見惚れる繊細なウロコや牙の表現
タンノハジメ Profile


タンノハジメとその手。

たんのはじめ

タンノハジメ
1999
年生まれ。高専で建築を学んだ後、3DCGの映像と立体造形への興味から現在は美大に在学。美しさと力強さのある造形を求めて制作しています。デジタルイラストやペン画制作もしております。
Twitter
@tnn_scaltinof
instagram
@tnn_scaltiof

最新作

Dynamism[死活]


朽ちながらも生きていく者たちの存在自体の力や内包する美しさを込めた造形物です。

Cockatrice

伝説上の怪物コカトリスを自分なりの解釈でデザインしました。伝説では見るだけで相手を殺すともされているので人とは相容れない特徴的な目つきにしました。

 無限ノ夢幻偶像


中世の甲冑をベースに、生き物をモチーフにした装飾をちりばめています。全体のシルエットのベースは蟷螂です。

空際の神獣たち


神獣である白い龍と、人型に化けた龍の姿を造形しました。アジアルーツの造形物やお面から着想を得て、神聖な獣のイメージを龍の造形に落とし込んでいます。

2022年で一番変化したこと

造形作品を作り始めたのが2021年の夏からだったので、2022年は一年を通して制作をしていた初の年になりました。CGコンテストやSNSによって作品を知ってもらう機会が増え、より色々な方に見てもらえるようになったと感じます。一体の生き物としてのクリーチャーの制作から、より造形物としての側面が強い作品までやるようになったので、表現の幅が広がってきた1年だったと思います。

2022年で一番よかった資料

1984年に出版の『文化庁監修「国宝」6 工芸品Ⅰ』です。凄まじい技巧の装飾や遊びのある工芸品の数々を見ることができ、刺激的な一冊です。古本屋で昨年購入しました。古本屋は時々素敵な本に出会えるのがいいですね。

2022年で一番感動した作品、映画、動画

造形作家の石野平四郎さんの「火之迦具土神の亡骸」ですね。どこか静謐ながらも、造形のうねりや細部から物凄い力を感じる作品でした。神話から発想して、各部位がそれぞれ個別の神としての造形になっており、それを組み合わせた一体として展示されていたのも面白く、刺激を受けました。あのサイズとディテールを手作業ですべてやられていることも驚きました。石野さんの作品の実物をずっと観てみたかったので、観に行くことができて大変うれしかったです。写真でも充分に魅力的でしたが、現物からあふれるパワーは圧倒的でした。

2022年で取り入れてこれは使える!と思ったマイブームのツール、ソフト

2022年に取り入れたツールは3Dプリンタです!これまではデジタル上のみでの造形でしたが、フィジカルの物として手に取ることができるようになりました。大変楽しく、最近は何かプリントしていないとそわそわしてしまいます。ただ、プリントのデータづくりやモデルの修正は意外と時間がかかって大変ですね。もっと慣れていきたいところです。

使用3Dプリンタ:Phrozen Sonic Mighity 8KPhrozen Sonic Mini 8KElegoo Saturn 8K

作品


オリジナル作品「Gargoyle」


オリジナル作品「鵺」


オリジナル作品「神龍」


オリジナル作品「Ender Dragon」


オリジナル作品「Yggdrasill」

ワークフロー

01.作りたい、表現したいメイン要素を決める
02.クリーチャーや造形として落とし込むためのラフスケッチをする
03.形が見えてきたら参考資料を集める(この収集作業で次に作りたい作品を思いつくことがある)
04.ZBrushZSphereを使って大まかな形と関節位置を作る
05.Sculptris Proモードでガシガシ形を作る
06.リメッシュしてディテールを彫る
07.KeyShotでレンダリング
08.Photoshopで加筆

使っているPC、ペンタブ

【PC】
mouse DAIV
【ペンタブ】
Wacom Cintiq 13HD

INTERVIEW

——小さい頃なりたかったものは?

怪獣か恐竜です(笑)。
小学生の頃は海洋生物の研究者になりたかったような気がします。

——最初に造形したのはいつですか?

最初に造形したのは幼稚園の頃です。粘土や厚紙でずっと生き物を作っていました。かなりの数を作っていた記憶があります。
絵を描くことも自分にとっては平面で造形しているような感覚です

——出身校と、学生時代にはまっていたものを教えてください。

現在は東北芸術工科大学の学生で、出身校は仙台高専の建築デザイン学科です。
中学時代から大学に入るまで、柔道とウェイトトレーニングばかりしていました。10年近く美術とは離れていましたが、筋肉の造形やアナトミーの知識でかなりこれまでの経験を活かせていると感じます。
他には映画が好きで相当な頻度で映画館に行き、洋画を観ていました。

——本格的に造形した最初の作品を教えてください。

『SCULPTORS06』にも掲載されている「Gargoyle」です。初めて造形作品として形にしたもので、拙いながらも3DCGコンテストでグランプリに選んでいただき、アーティストとしての第一歩が踏み出せたと思います。

——使っている粘土の種類、塗料の種類、愛用のツールなど教えてください

今年の夏には3Dプリンタを導入します!逆にオススメのものなどを教えていただきたいくらいです(笑)。
デジタル上の造形はZBrushを使用しています。

——落ち込んだ時に聞く音楽、もしくは見る映像は?

落ち込んだというか、疲れているときに観るのは『南極料理人』という映画です。南極のドームふじ基地を舞台に観測隊のおじさん達が食事や日々の生活をしていくという平穏な映画です。もう何回観ているのかわかりません。
聴くことが多い音楽はラッキーオールドサンやカネコアヤノです。

——造形するとき一番こだわられていることは?

流れの完全性です。自然のもの、美しいものにはシルエット、ディテール共に必然的な流れがあると考えます。肉や関節などの機能性と造形的な美のバランスを考えて完全な流れを作ることを目指しています。

——現在、メインでお仕事されているジャンルは?

3DCGでクリーチャー制作や原型制作をしております。

——今後の野望を教えてください。

自分の作品の本を出すこと。
3DCG
だけでなく、造形作家としても国際的に活躍すること!

——最近ハマっているものは?

造形すること。ちいかわのガチャガチャを集めること。

Data

作業スペース


作業机


コレクション棚

影響を受けた(大好きな)映画・漫画・アニメ

平成ガメラシリーズ、『アバター』、『ヒックとドラゴン』シリーズ、『コードギアス 反逆のルルーシュ』、湯浅政明監督のアニメ作品

1日に造形する平均作業時間

8時間

おすすめの椅子

お尻が痛くならない程度に硬めのイス。