【スカルプターズ・ムービー】見里朝希監督新作アニメーション『キャンディーカリエス』監督インタビュー!【第2弾・制作撮影編】

取材協力:幕田けいた

毎週水曜23時56分からTBS「よるのブランチ」内にて放送中のTVアニメ『キャンディーカリエス』。本作はアクリルやプラバンを使用した珍しい手法で制作されている。そのアニメーションの撮影現場の裏話、そして撮影や照明の苦労を見里朝希監督にお聞きした!

『キャンディーカリエス』

 

 

STORY

ぷっくり!ズッキン!わたしをむしばむお口の住人

甘いものが大好きな子ども・アメ。口の中には虫歯の『カリエス』が暮らしていた!
アメのことを「ママ」と呼び、歯を家具にしたり身体を乗っ取ったりと自由奔放なカリエスに、アメはいつも振り回されてばかりで…。
「わたし、ママじゃない!」
「ママでしょ♡あたしのためにお部屋用意してくれてるし、いつも甘いもの食べて育ててくれてるじゃん」
アメとカリエス――ちょっぴり変わった親子!?のドタバタ日常コメディ!

PROFILE

見里朝希(みさと・ともき)

東京都生まれ。東京藝術大学大学院の修了制作『マイリトルゴート』(2018)がアジア・ヨーロッパなど各地で受賞し注目を集める。30歳以下の若手クリエイターを対象とする国際賞Young Gunsを受賞。2021年にTVアニメ初監督を務めた『PUI PUI モルカー』で脚光を浴び、同年、WIT STUDIOでストップモーションアニメーションスタジオ〈TORUKU〉を発足。2025年にNetflixシリーズ『My Melody & Kuromi』、2026年にTVアニメ『キャンディーカリエス』の監督を務める。
 

INTERVIEW 見里朝希(監督・原案)

 

——撮影機材を教えてください。

見里朝希(以下、見里):マルチプレーンという撮影方法がかなり特殊だと思います。ガラスを4層か5層くらい重ねたレイヤーの間に背景やキャラクターを置いて撮影し、更にキャラクターの手前に来る物を、追加の小さいガラスの上に置く場合もあります。それをスライドして動かせるのは、カットアウトのアニメとしては、今回が初めてのケースですね。

――マルチプレーンは、かつてセル画を使用する2Dアニメ時代に使われていた撮影方法ですよね。

見里:『キャンディーカリエス』では、半立体のアニメ用のマルチプレーンカメラを開発込みで作っていただきました。撮影するセットには、ガラス板にそれぞれキャラクターの足だけのレイヤーや背景レイヤーなどを作って重ねます。もし足を動かしたいんだったら、上のガラスをどかして、足だけを動かして、またガラスを乗せて撮影という繰り返しになります。
だからレイヤーがたくさんあるようなカットの場合、1日に撮れる撮影量が減ってしまう。カメラは基本的に真上で固定するので、背景を動かしたい時は、一番下の背景レイヤーをスライドさせます。もちろん、ちょっとだけ合成を使ったりするカットもあるんですけどね。

実際に上のガラスを動かしている様子

――照明はどのような工夫がされているんですか。

見里:照明の当て方は、通常の立体アニメと異なります。真上から光が入ると、ガラスに反射して写り込んでしまうので、基本的には横からさりげなく光を入れ込むという工夫が必要です。とはいえ、ぷっくり感を強調するにはキャラクターのハイライトがすごく大事なので、反射をうまくコントロールしなければいけない。 でもCGだと思われないように、あえてちょっとだけ反射を残したりすることもあります。
照明は思い通りの光にするため、小さいライトをいくつも使います。キャラクターの見せ場を照らすためだけのライト、色を付け足したりするライト、ぷっくりしているところを強調するため反対側から光を当てるライトを使って、絵を仕上げていきます。

 

照明もモニターで確認しながら細やかな調整が繰り返される。 演出/アニメーター:髙野真さん(手前) 照明演出補佐:中村嵩羽さん(奥)

――キャラクターが椅子に座る時など、下の背景と距離を出して影を付けるという演出法をお聞きしました。

見里:それも簡単ではなくて、キャラクターが背景の何かに触れているシーンでは、背景とキャラを近づけて撮影しないと、ちゃんと影が映り込まないんです。逆に影を落としたくない場合は、キャラと背景を離して撮ります。「このカットでは、マルチプレーンのガラスの距離をもっと近づけよう」とか、演出の人たちが日々試行錯誤して撮影に挑んでいますね。

 

よく見ると、小物同士もレイヤー分けされている。

——人間のモデルさんを撮影するような手法と似ていますね。

見里:それに近い感じですね。立体アニメにも言えることなんですけど、撮影は、本当に実写の現場をミニチュア化したみたいなイメージです。その上で、コマ撮りは実写と違って、アニメーターの思うままにキャラクターを演じさせられるのが魅力のひとつかなと思ってます。

——プラバンでキャラクターを作る作業工程をお聞かせください。

見里:プラバンでアクセサリーを作るのと同じです。パイロット版の頃は、プラバンを切り抜いて、それをオーブンなどで焼いて作っていました。プラバンは絵を描いて焼くと縮んで分厚くなりますが、縦横比が歪んでしまうこともある。でも、どのくらいの大きさまで縮むのかが、なかなか読めないんですよ。縦横でも縮む率が変わることがあるので、パイロット版の頃はあえてキャラクターを縦や横に伸ばした状態で作り、焼いた時にちょうど良い形になるように制作していましたね。最初はその辺をすごい試行錯誤しながら手作業で進めていました。現在はレーザーカッターでカットしているので、最初から想定している厚みや形を作ることができます。色塗りやUVレジンを盛ったりする作業は、最終的に手作業になります。

 

——すごく時間がかかりそうですね。

見里:レーザーカッターを使う場合は、まず切り取り線のパスを作って、それを塗装して後からレーザーでカットします。それだけでも半日ぐらいかかっちゃう。

スタッフ:同じ色のパーツを一度に切ったり、手のパーツだけを作ったり、同時進行で効率的に進めています。キャラクターだと形を作って、その上に何重にもレジンを流し込んで、最後に裏面を塗装します。

――最終的なキャラクターのパーツ数はどれくらいですか。

スタッフ:アメやカリエスだけでも5体ずつ作っているので、手とか細かいパーツが多いのですが、数えたら大体2000ぐらいにはなると思います。

 

 

見里:アニメーターの数に応じて同じキャラがいなければいけないんです。しかもキャラが右向いているバージョンと左向いてるバージョン、後ろ向きなど1体のキャラでも最低4パターンあります。その中で顔が大きく歪んだり、表情を変えたりする時には、顔の置き換えをしなければならない。ぱっと見で、あまりいろいろな動きができなさそうなキャラクターですが、視聴者にとって予想外の動きをしだすという魅力を出したいなというのがあって。そういう意味で顔のパーツがたくさん必要になるんです。キャラクターだけで約1000、さらに美術や小物なども含むと、実際は総計3000パーツ以上作っています。

 

スタジオにずらりと並ぶパーツたち。

——それが作品の魅力につながっているのですね。

見里:コマ撮りのカットアート(切り抜かれたキャラクターでアニメを作る手法)の魅力のひとつは、キャラクターの着せ替えが自由にできることなので、話数ごとに新しい小物がじゃんじゃん登場します。時々服のパーツを取り替えて、アメやカリエスの衣装が変わることもあります。着せ替えの絵本のような懐かしさを意識した部分もありますね。楽しみにしていてください!

 

続いては魅力的なキャラ設定についてインタビュー!(4/17 19:00 公開)

 

放送・配信情報

『キャンディーカリエス』

毎週水曜23時56分からTBS「よるのブランチ」内にて放送中!

YouTubeにて全話無料配信!

STAFF

原作:見里朝希/WIT STUDIO

監督:見里朝希

副監督:森井ケンシロウ

脚本:西中千晶

編集:齋藤朱里

音響監督:えびなやすのり

音響制作:サウンドチーム・ドンファン

音楽:帆足圭吾

アニメーションプロデューサー:山田健太

アニメーション制作:TORUKU from WIT STUDIO

製作:トゥースフェアリーズ

主題歌

「Telepathy」IS:SUE(UNIVERSAL SIGMA / LAPONE GIRLS)

キャスト

アメ:佐藤みゆ希 

カリエス:武田 華

ミカン:引坂理絵 

ビーフ:矢部雅史 

サメ:齋藤彩夏

狂人歯医者:片桐 仁 

ハロルド:松丸亮吾 

アメ母:野呂佳代

配信情報

放送後(毎週水曜深夜25時)よりYouTubeにて全話無料配信!

公式YouTube:https://www.youtube.com/@candy_caries

各種配信サイトでも放送後(毎週水曜深夜25時)より順次配信開始!

【見放題配信】

ABEMA/DMM TV/dアニメストア/dアニメストア for Prime Video/dアニメストア ニコニコ支店

Hulu/Prime Video/U-NEXT/アニメフェスタ/アニメ放題/バンダイチャンネル/TVer

【都度課金配信】

Lemino/ビデオマーケット

 

公式X : @candycaries

公式Instagram:@candycaries

公式TikTok:https://tiktok.com/@candy_caries

ⓒTomoki Misato/WIT STUDIO/トゥースフェアリーズ