アメコミトイ小話 vol.5 マクファーレン・トイズが熱い!マルチバースの誘惑編

(文・写真:あきさか)

前回の記事からだいぶ時間が空いてしまいましたが『DCマルチバース』コラム後半行ってみましょう。

今回はバットマン以外のフィギュアとアメコミを紹介させてください。

『スーパーマン「アニメSuperman the Animated Series」』

まず紹介したいのは『スーパーマン「アニメSuperman the Animated Series」』

『Batman: The Animated Series』と同じスタッフで制作された『Superman the Animated Series』からの立体化。劇中の直線的なデザインがうまく立体に落とし込まれてます……がすこしやりすぎな気もしますね。足が細くなりすぎて自立が難しくなってしまったのが難点。しかしながらこのシルエットはかっこいいですね。

鉄骨と鉄骨を持つための手が付属。鉄骨の部分がクシャっとなっており握力のすごさがわかります。

スーパーマンでおすすめしたいのは『スーパーマン・スマッシュ・ザ・クラン』

ここ最近本国では、ヤングアダルト層向けに一冊で完結するグラフィックノベル形式のコミックが多く出版されています。これはそのシリーズで出たもの。

1940年代を舞台にスーパーマンが中国系アメリカ人一家を白人至上主義団体から守っていく中で、彼自身の移民としての葛藤も描かれます。元は1940年代に放送されたラジオドラマからなのですが、2021年の今こそ読むべきストーリーなのではないでしょうか。

また、『グウェンプール』等でおなじみの日本人アーティストのグリヒルさんが担当するかわいいアートも魅力的です。ストーリーは本書だけで完結するので、アメコミ初心者にもおススメできる一冊。

『スーパーマン・レッドサン』

続いては『スーパーマン・レッドサン』のスーパーマンをご紹介。

先ほど紹介したスーパーマンと同じキャラなのにここまで振り幅があるのも面白いですが、それがしっかりと立体物としても表現されているのが面白いところ。

『スーパーマン・レッドサン』はスーパーマンがアメリカではなくソ連に落ちたら?というパラレルワールドが舞台の作品。だから胸のマークも鎌と槌になっています。(作中の彼自体は極悪というわけではないので、悪役顔をしているのは少し気になりますが……。)

『キック・アス』のマーク・ミラーによって描かれた本作を知っている方も多いかもしれません。この作品、一見アイデア勝負の一発ネタのように思えますが、実はラストのオチに驚きが隠されています。こちらも本書だけで完結するので、独立したSF作品として楽しめます。

また、この「ソ連のスーパーマン」が本物のスーパーマンに出会う、というかいろんなユニバースのスーパーマンが集まってしまう『Superman (2016-2018) Vol. 3: Multiplicity 』というのもあります。仮面ライダーの映画もそうですが世界の壁を取っ払って一堂に会する、というのは胸躍りますね!

 

『ワンダーウーマン 1984』

3体目は映画『ワンダーウーマン 1984』のワンダーウーマン。

実写作品のフィギュアも『DCマルチバース』から出していくようで、7月には『ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット』のフィギュアも販売予定となっております。

作中でもカッコよかったメタリックなアーマー。
一部塗装を使い、成形色でもいけるところはテクスチャーで表現、とコスト的な工夫をしつつカッコよさを出しているとこがとてもいいです。

マクファーレントイズはデジタル彩色ではないので顔は塗装なのですが、この価格にしてはかなりきれいなのではないでしょうか?写真だとアップになっているので気になる方はいるかもしれませんが、実際のサイズ感で目にするとどのフィギュアもカッコよく仕上げられています。

「真実の縄」は2つ付属。アクションポーズで飾るか、立ち姿で飾るか選べます。

ワンダーウーマンのおすすめコミックは『ワンダーウーマン アンソロジー』でしょうか。こちらに限らず、パイ・インターナショナルさんから出版されているアンソロジーのシリーズはどれもとてもおすすめです。
それぞれのキャラクターの初登場号を含め各時代のコミックと解説が掲載せれており、そのキャラクターがどういう風に描かれていったのかがわかります。
『ワンダーウーマン アンソロジー』は新川洋司氏の特別表紙も魅力的ですね。

『ジョーカー』

最後はこちら『ジョーカー』をご紹介。結局バットマンのフィギュアを紹介してしまってますね。マクファーレントイズなのでバットマンが多いのか、それともバットマンの人気がすごいのか……。

デザインはDC REBIRTH時の物が使われています。
映画の『ジョーカー』、『スーサイドスクワッド』での一風変わったジョーカーよりも、紫のベーシックなジョーカーの立体化というのが個人的にうれしいポイント。
とはいってもジョーカーは作品によって容姿や性格が違うので、これこそジョーカーだ!というのが掴みにくいところもまた魅力です。

銃身の長い銃とバールのようなものが付属。近年の映画版というよりは、アニメに出てくるジョーカーが持っていそうなアイテムですね。

ここ最近のジョーカーが登場するアニメ作品では『Harley Quinn』がおすすめです。ジョーカーに振られたハーレイクインが最強のヴィランを目指していくストーリーで、出てくるキャラクターたちがいずれも魅力的。コメディーとしてもとにかく笑えますが、惜しいのは日本語版の予定が決まっておらず、本国版しか出てないところでしょうか。

そして関連アメコミの紹介は『バットマン:スリー・ジョーカーズ』

ここ数年「ジョーカーは実は3人いる」という伏線が張られていたのですが、その謎がようやく描かれた本作。3人のジョーカーがしかける事件に、因縁のあるバットマン、バットガール、レッドフードが挑みます。3人のジョーカーの中に本物はいるのか?はたまた3人ともが本物なのか?

最後には路地裏でブルース・ウェインの両親を殺した男まで現れ、ジョーカーとバットマンの関係とはなんなのか?をアップグレードしていきます。この2人の関係が好きな方は間違いなく読むべき作品です。

駆け足気味に紹介してきましたがいかがだったでしょうか?

繰り返しになりますが、なんといってもお手頃なお値段なので、そのキャラクターをあまり知らなくても造形&デザイン目的で買ったりなど、なかなか財布のひもが緩みやすい危険なシリーズですね。

是非皆さんも買ってみてください。