造形作家集団「GOLEM」によるグループ展「GOLEM Ph2」がCONTRAST(東京)にて3月3日(日)まで開催中!石野平四郎、植田明志、蔦本大樹、中西宏彰、 森田悠揮、米山啓介ら6名の作品が展示されます。本記事では、「GOLEM Ph2」会場の様子をお届け!さらに本イベントの開催に伴い、出展作家のみなさまよりコメントをいただきました!
コメントが到着! 石野平四郎氏 私がGOLEMで展示している作品は
八百万の神々を制作した「∞ millions」というシリーズで
日本神話の多種多様な自然現象に神が宿るという考え方( 特に死体から神様として湧き生まれる者たちの話)を
自身の制作の過程で出た失敗作を解体し次の作品の素体とする事で 、神性を見出し新たな生命として顕現させています。
この2作品は火神の屍の腹を破り出て蜘蛛のように徘徊する山神の 幼生と
切り落とされた火神の首の血が付着した岩化生し芋虫の様に這い出 る剣神の幼虫という
そんな奇妙な光景を想像し、彫刻物達を並べた展示で
このように私は新たな生命を創造するような姿勢に加え、 日本神話の神産みの文脈を自分を取り巻く時代の解像度に合わせて リサイクルしています。
植田明志氏 僕の作品については、 今回は今までで最大サイズの作品を展示しています。 是非現物を色々な角度から観て頂けたらと思います。 きっと様々な発見があります。
そして一部のきっかけから想像し、 物語を導いて頂ければ幸いです。
とにかくGOLEMは生が1番!
SNSなどの小さい画像では何もわかりません。 レストランのご馳走の画像だけ観ても味はわからないのと同じです 。
生で是非みんなの作品をご覧頂き、『体感』 して頂ければ一番嬉しいです。
蔦本大樹氏 「GOLEM」における蔦本の立ち位置とは何なのか、 私自身も本展をご覧になった皆様も1番に思い浮かぶのは「素材」 なのではないでしょうか。 あらゆる新しい素材や新しい価値観がある中でなぜ原始的な金属と いう素材にこだわるのか。
「時間と痕跡」をテーマにしている私は100年、 1000年と物体として残り続けることに浪漫を感じ、 金属を使用していますが、 果たして作品が残ることに意味はあるのでしょうか。 私の作品がGOLEMにあることで、 そんな新たな議論が生まれるきっかけになればと思います。
中西宏彰氏 今回展示してある私の作品はここ数年で見た作品や出会った作家の 影響を受けており、 前回の展示と比較して変化を感じることができると思います。
これまでの作風では突起や翼などシルエットを派手に見せるような デザインは意図的に避けていたのですが、 Angeloや新作のMalikaはキャラクターとして象徴的な 部分を強調するようにしてシルエットを派手に、 よりキャラクターとしてキャッチーな印象になるようにデザインし ました。
過去の作品では大人しくまとまっている印象の作品が多かったので すが、 近年は影響を受けた物から感じたインスピレーションを生かして、 よりキャラクタライズされた作風に挑戦しています。
森田悠揮氏 私の立体作品はデジタル空間の無限の自由から生まれているもので あり、私が描き続けている”不定形な自由” を切り取った一つの形態です。
一見しただけでは抽象的にみえる形の中にも、 意思を持った流れや眼差しが感じられることと思います。
GOLEM展では自由なキャンパスであるデジタル空間から「 削ぎ落された」彫刻を、物質面からのデジタル空間( 私にとっての自然界や宇宙) への風穴としてご覧いただければ幸いです。
米山啓介氏 今回の新作「狹玄」 については過去のアイデアのストックの中からなかなか作る機会の 無かったものを選んで制作しました。
シンプルな形状を組み合わせた特徴的なアウトラインと見る角度に よって大きく印象が変わるような構成にしてみました。
会場の様子
石野平四郎作品「石析神・根析神《 Iarva 》」
石野平四郎作品「淤縢山津見神《 juvenile 》」
植田明志作品「古い流星に乗って」
植田明志作品「竜の星に乗って」
植田明志作品「流れる星のままに」
植田明志作品「月」
森田悠揮作品「眠り龍」
森田悠揮作品「墓」
森田悠揮作品「がんじがらめ」
森田悠揮作品「奇跡」
森田悠揮作品「トリカゴ」
蔦本大樹作品「古龍炉/Dino Censer」
蔦本大樹作品「地層の古龍像/Strata Dino Statue」
蔦本大樹作品「金環の方舟/Gold Ring Noah」
蔦本大樹作品「器の方舟/Vessel Noah」
蔦本大樹作品「古龍門/Dino Gate」
米山啓介作品「ドグマモドキ」
米山啓介作品「狹玄」
中西宏彰作品「Angelo」
中西宏彰作品「Malika」
中西宏彰作品「mauvais」
【本展示限定販売】「PEACE OF GOLEM」 1個(各作家6種類の中からランダム)もしくはコンプリートセットで発売中です! ※グッズの支払い方法は現金のみとなっております。
出展作家 石野 平四郎 Heishiro Ishino1992年神戸生まれ。2015年神戸芸術工科大学クラフト・ 美術学科フィギュア・ 彫刻コース卒業、2017年新芸術校標準コース卒業 、SICF14 準グランプリ、第 20 回岡本太郎現代芸術 賞展入選。造形作家集団 GOLEM のキュレーター。メインカルチャーとサブカルチャーを越境し、 批評的立ち位置を表明することで新たなジャンルの創設と芸術様式 の細分化を目指している。作家としては神話や伝承上・ 想像上の生き物を モチーフに粘土素材で造形した作品を制作している。 主な個展として「O-M-O-T-E」( Roentgenwerke/ 東京,2015)、主な企画展として「GOLEM」 (3331 Arts Chiyoda/東京,2022)などがある。
植田明志 Akishi Ueda 1991年三重県生まれ。 2014年名古屋芸術大学アートクリエイターコース卒業
ポップシュルレアリスムの属性を主軸に、 日本的な嗜好性やノスタルジアを内包するような世界観を物語を綴 るように連続的に制作している。 2021年に脳出血による入院を境に目に少し障害が残るが、 現在ではデジタル技術や映像作品など造形以外にも様々な手段で活 動している。同年に造形作品集『COSMOS』(玄光社) を出版。近年の主な個展として『祈跡 Forpraying』(中国北京/末那美術館/2019)『 NATIVECHILDREN 』(東京/HOW HOUSE/2020)、『-憧憬-星のように歌い、 月の様に踊る』(中国北京/2021)主な企画展として『 GOLEM』 (3331 Arts Chiyoda/東京/2022) などがある。
蔦本大樹 Daiki Tsutamoto 1995年兵庫県生まれ。 2020年神戸芸術工科大学大学院芸術工学研究科総合アート& デザイン専攻修了。
「時間の痕跡」を主軸に未知の古代遺物を創造する。 金属の色上げによる様々な表情を用いることで、 古代遺物としての“リアリティ”の再現を追求している。 博物館で遺物と対峙した時に感じる途方もない時間とロマンを再構 成し、現代に新たな痕跡として記録する。主な企画展として『 GOLEM』 (3331 Arts Chiyoda/東京,2022) などがある。
中西宏彰 Hiroaki Nakanishi 1993年大阪生まれ。 2016年大阪芸術大学卒業キャラクター造形学科卒業。
自然生物が持つ構造、 機能からなる造形美とそれらをより説得力のある存在に構築するた めに有機・無機と幅広い表現を得意とする。 質感のディテールやその流れに注力し、 完璧な造形を持つ架空のキャラクターを制作している。 2022年に株式会社カプコン退社後は長年ゲーム会社で得た知識 、技術を駆使し独立したアーティストとして活動していく。 主な活動としてワンダーフェスティバルへのディーラー参加や企画 展『GOLEM』 (3331 Arts Chiyoda/東京,2022) などがある。
森田悠揮 Yuuki Morita 1991年愛知県生まれ。2014年立教大学現代心理学部卒業。
”万物に宿る神”とつながるため、 自然界の見せる無限のパターンや流れ、形が形成するプロセス、 力学的作用生命の持つ環世界やシステム、 その意識や存在の在処などの精神世界など、 この世の自然発生的な存在全てにインスピレーションを受け、 それらを自身の神道的思想やスピリチュアル思想に落とし込んだ作 品を様々なアプローチやCG技法を試み制作している。 主な個展として『PURE』THE ANZAI GALLERY(東京、2022)主な企画展として『 GOLEM』 (3331 Arts Chiyoda/東京,2022) などがある。
米山啓介 Keisuke Yoneyama 1987年静岡生まれ。 2010年東京造形大学美術学科彫刻専攻卒業。
卒業後、数々のキャラクターデザインや原型を手掛けながら、 自身の深層心理に向き合い、 人間という存在の不完全さ内在する歪な精神性に対するエネルギー を退廃美的造形へと変換することで作品として昇華、 また神仏や霊的なものにもルーツを感じ、 より高次元な世界への憧れを強く持ちながら制作している。 主な個展として「米山啓介個展」スパンアートギャラリー(東京、 2021)主な企画展として『GOLEM』 (3331 Arts Chiyoda/東京,2022) などがある。
イベント概要
GOLEM Ph2
展覧会会期:2024年 2月17日 (土) – 3月3日 (日)
営業時間:13:00 – 19:00
休館日:火・水
入場料:¥500
キュレーション:石野 平四郎
展覧会の内容 「GOLEM」は、サブカルチャー発祥のいわゆる “造形作家” と呼ばれるアーティスト達が、 芸術領域で確かな立ち位置を表明していくために発起し、 展示を展開していく気鋭の造形作家集団です。 2022年に3331アーツ千代田で第一回目を開催し、 第二波となる本展では「彫刻」 をテーマに我々の立ち位置について考えられるような、 物理的な出会いを鑑賞者に提供します。
また同時期2月16日(木)から25日(日)には東京都台東区、
文京区内11会場で開催される「
きらめき彫刻祭 」 に「GOLEM Ph1.5」としても参加しており、
並行してあらゆる類いの彫刻の流れを掴みながら、
鑑賞体験できる仕掛けを半澤美術店(会場4)
にてお楽しみ頂けます。
コンセプト – Golem –
ユダヤ教の伝承に登場する自分で動く泥人形。「ゴーレム」 とはヘブライ語で「胎児」を意味する。
人造人間ともいわれ、 ゴーレムの創造とは土くれから人間を創造した神の真似事であり、 転じて神への冒涜とも受け取れる儀式でもあるため、 神智学を極め尽くした者だけが許される奥義といえる。 その他の神話や伝説には石や金属で作られたものも登場する。 一般にはゲーム等のファンタジー作品のモンスターや兵器として知 られている。
2022年6月に我々のGOLEMは美術領域への立ち位置を目指 して歩み始めた。己が作品の神格化をイメージし、 はつらつと驚異的な造形を披露し、 表面が幻視させる物語を見せた。 そのムーブメントは必然と日本美術へと波紋を生んだように感じて いる。しかし彫刻を語る様々な言論の中ですら、 未だに行き場なく滞留し不透明である。ならば、 彫刻を回収し美術史における我々の文脈を見出すために次のフェー ズへ前進する。
この国にあった彫刻の特徴を踏まえると正統的な後継であるフィギ ュア、またさらにそこから派生したような造形物の系譜。 その新たな彫刻の石碑として『GOLEM』 をモノリスとするために。