第4回「スカルプターズ・ラボ」造形コンペ ピックアップ作品発表!

2026年2月8日(日)〜2026年5月7日(木)まで開催された、第4回「スカルプターズ・ラボ」造形コンペ。
本記事では応募作品の中から審査員が気になった作品をピックアップして紹介!審査員による選考会での対談も公開します。
 

最新刊『スカルプターズ・ラボ05』では、受賞者&ピップアップ作品の審査コメントのほか、ご応募いただきました全作品を掲載しておりますのでぜひご一読ください。

 

審査コメント&作品詳細は『スカルプターズ・ラボ05』をチェック!

 

『スカルプターズ・ラボ05』

2026年8月10日発売
160ページ
定価:本体2400円+税
発売・発行:ボーンデジタル

詳細はこちら

 

 

ピックアップ作品

【No.86】シュリ・メンヘラ工房「明けの明星ルシフェル」

【サイズ】W25×D20×H35cm

【3Dプリンタ】ELEGOO Saturn 4

【使用ソフト】Nomad Sculpt

【素材】レジン

【作品解説】本作は、キリスト教の神話におけるルシファー(別名ルシフェル)の史実から着想を得て制作しました。

ルシファーは本来「光をもたらす者(明けの明星)」として全天使の長を務めるほど美しく高潔な存在でしたが、自らの美しさに陶酔し、神に匹敵する地位を望む「傲慢」という大罪を犯して堕天したとされています。

この「美しさと罪」の両面を表現するため、本作ではあえて女性の姿を借りて造形しました。人間を魅了し、破滅へと誘惑する悪魔は絶対的な美を備えているべきであると考え、優美な身体曲線の中に、天使の翼や悪魔の象徴である山羊といった「堕天の証」を共存させています。

色彩の意図は、人間への嫉妬と反逆心によって身を焦がした結果の変質です。ブロンズが酸化して青錆を吹く過程を、ルシファーの誇りが執着へと変わり、魂が蝕まれていく様子に重ねました。金属が経年変化でその輝きを失い、錆びついていく色調は、堕天という歴史の重みとその身を焼き尽くす情熱の象徴です。

古代のギリシャ彫刻やブロンズ彫刻が現代に再解釈されるなら、どのような神話性を宿すべきか。古典的な美の系譜を継承しつつ、現代的な感性で「執着と欠落」を形にしたのが本作です。

選考会コメント

竹谷隆之(以下、竹谷):いいですね。背骨がまっすぐなんですね、でも作りたいぜって気持ちが伝わります。

 

【No.83】ちゃちゃびー「Paradox Coelacanth」

【使用ソフト】ZBrush 

【作品解説】別次元のシーラカンスという空想を元に制作、個人的にシーラカンス自体に生物としての有機的なオーラがあまりなく感じられ、無機質な誰かに作られたモノのように思っており、別次元ではより無機質な存在感を放っていると空想し造形しました。

選考会コメント

竹谷:好きです。これが出力されていたら竹谷賞にも迷っていたと思います。

塚田貴士(以下、塚田):気持ちいい形を追ってる感じですよね。

 

【No.22】mori「夜闇の主」

【サイズ】W28×D19×H15cm

【素材】SK高性能水洗いレジン、SK 透明レジン

【作品解説】かつて、人間が夜の恐怖を克服できず、神様に頼るしかなかった時代。彼は人々にとって、信仰の対象であり、守護者であった。人々は、陽の光を嫌う彼のために、薄暗い神殿を建て、贈り物をした。彼は、暗闇を恐れる人々のために、夜闇に紛れてやってくる恐ろしいものを人々から遠ざけた。

【制作の経緯など】「再生」を司る生き物を作りたいと思い、「再生の力=たくさん生えている」イメージをきっかけに多脚の人外を作りました。

「古代では、夜は、死の恐怖と密接に結びついていた」という話を基に、設定を考えました。薪の火が消えてしまえば、完全な闇に包まれる恐怖。眠りにつくことは、死を意味するように思われる。「夜闇に紛れてやってくる恐ろしいもの」は、夜行性の肉食獣だけではなく、死そのものも意味しています。

彼は、そういった恐怖をもたらす存在ではなく、救ってくれる存在です。彼は、神殿や贈り物のお礼として、夜の獣を人々から遠ざけたり、再生の力が備わる彼の血肉を人々に分け与えたりしています。恐ろしげな見た目に反して、人々と友好的な関係を築いているという設定です。

制作においては、骨格構造を意識して、生き物として納得感のある骨格を目指しました。鎖骨と肋骨のシルエットをなるべく壊さず、かつ、上半身と胴体が自然な形で繋がるようにしたいと思いました。前脚3対はヒトの腕の骨格を参考にして鎖骨や肩関節を作り、後ろの7対はトカゲの脚を参考にして歩行用の腕として作りました。

体構造が同じ繰り返しで単調なので、色々なポーズの手にして、なるべく動きが出せるようにしました。顔は、アオリと横顔の角度で自分が一番好きな顔になるようにしました。また、ムカデやゲジゲジっぽいので、虫のような触角を生やしました。柔らかくて傷つきやすそうなものが剥き出しになっており、弱点っぽくて可愛いポイントです。

装飾品は、人々からの贈り物という設定です。原初的な感じを出したかったので、特定の文明を想起させないようなデザインにしました。彼は眼を4つ持っている多眼であり、頭の装飾にはそれを示唆するように、宝石を4つ付けました。宝石の赤色を目立たせたかったので、他の部分はモノトーンと金色だけでまとめました。

本作品における自分の「好き」をまとめます:多眼、目隠し、ツノ(触角、弱点)、ギザ歯、鎖骨、肋骨、背骨、手、人々の願い手に持っているのが変異体の死骸になります。また駆逐者の方は顔の中にある赤い玉が魂そのもののイメージなので光る事ができるようにしてあります。

選考会コメント

大山竜(以下、大山)建物を使って影を写してるとか、こういうシチュエーションのイメージができてるっていうのはすごくいいですね。「この人が何をしているキャラなのか」がぱっと見でわかるともっといいなと思いました。

竹谷:後ろの足が動いてる感じは十分出ているので、上半身の手たちに芝居させたいですよね。

 

【No.65】SHOCK-NIN「変異体の駆逐者」

【サイズ】W23×D27×H46cm

【素材】エポキシパテ、ポリパテ

【作品解説】突如として現れた「変異体」に家族を奪われた者が変異体に対抗する為、軍が制作した強化型変異体になる為の血清を打ち、自らを体を復讐の兵器として変化させた者が変異体を狩り、立ち向かうという設定で今回の作品を制作しました。

手に持っているのが変異体の死骸になります。また駆逐者の方は顔の中にある赤い玉が魂そのもののイメージなので光る事ができるようにしてあります。

選考会コメント

大山:生首持ってるポーズとかは王道な、僕らの青春時代に近い作品ですよね。

藤本圭紀(以下、藤本):確かに。韮沢さん怪人みたいな。

 

【No.78】okana「共振」

【使用ソフト】ZBrushMaya

【作品解説】

餓えた異形の獣と力を欲する若き騎士、互いに力を与えあう共利共生関係を結んだ二人が今まさに共振する瞬間をテーマに制作しました。

選考会コメント

塚田貴士(以下、塚田):上手い!出力することを意識して作られているのかなと思います。もっと引き算された構成も見てみたい。

 

【No.9】伪人「孪」

【サイズ】W26×D16×H21cm

【素材】スーパースカルピー、AB粘土

【作品解説】伝承の中で、東方にも西方にも鳥人の姿は存在する。もしかすると、遥か昔には同じ祖を持っていたのかもしれない。しかし、果てしない歳月を経て、その姿は今や大きく異なっている。同じ源から生まれながら、外見はまるで対極の存在。

——いま、東西ふたつの棲息地の境界で出会うとき。

そこに生まれるのは、争いか、共鳴か、それとも忘れられた血の記憶か。

本作は、同源にして異形となった存在たちが、境界で交錯する瞬間を描く幻想譚である。

選考会コメント

塚田:明暗のキャラがどちらも「見せたいモノ」を上手く表現できていると思います。

大畠雅人(以下、大畠):構成もいいし、デフォルメ具合が絶妙。

 

 

【No.41】有田有「Aspiration」

【使用ソフト】BlenderSubstance 3D PainterPhotoshop

【作品解説】生物と機械の融合の美しさ、躍動の一瞬の力強さ、そして、それに感化される人間模様を表現しました。

作品背景

巨大企業同士の戦争によって文明が崩壊した後の世界。その中心にあるのは国家ではなく、次世代技術を握る新興企業だった。彼らは「機械生体(バイオハイブリッド)」と呼ばれる存在を駆使し、都市間を結ぶ危険なレースによって覇権を争っている。勝敗を分けるのは単なる操縦技術ではない。搭乗者と機体が意識を重ねることで初めて引き出される、限界を超えた性能――それこそが勝利の条件だった。

その日、崩れかけた高層構造体を滑り落ちるように駆ける二つの影を、ひとりの少年が見上げていた。その視線の先には、誰よりも速く、誰よりも危険な走りを見せる父の姿があった。重力すら味方につけたかのような軌道に、少年の胸は強く打ち鳴らされる。憧れと畏怖が入り混じるその感情は、やがて彼自身の運命をも動かし始めていた。

選考会コメント

大畠:少年が見上げてる感じがいいです。3Dだけど頑張れば自立するのかな。

竹谷:これうまいですよね!見た時どうやって芯通そうかって考えました。

藤本:確かに構図がめちゃくちゃいいです。真ん中に何もないのに真ん中を作ってる。

 

【No.68】南正邦「ミレイユ☆光の宇宙:星雲の開花」

【サイズ】W13.5×D13.5× H15cm

【使用ソフト】ZBrush

【作品解説】ミレイユは、本作のために創作した独自の妖精です。

人は危機や課題に直面した時、あるいは深く宇宙へ呼びかけた時、その問いかけに応えるように、どこからともなく「導き」が現れることがあります。本作では、その問題解決のメッセージを運ぶ存在を「ミレイユ」と名付け、擬人化しました。ミレイユは、人々の心から放たれた微かな呼びかけを宇宙のどこかで受信し、感知する存在です。そして必要な時、星々の彼方から静かに現れ、答えの断片や、新たな視点を届けます。

背後に広がる円環は宇宙との共鳴を示し、星雲のように広がる装飾や花々は、内なる意識の開花を象徴しています。また、装飾的な台座には、精神世界と現実世界をつなぐ「境界」のイメージを込めました。淡い光彩をまとった姿には、目には見えない導きや、心の奥に宿る希望の気配を重ねています。『星雲の開花』とは、宇宙と心が呼応した瞬間に生まれる、精神的覚醒の象徴でもあります。

選考会コメント

大畠:この方何作か出してますよね!気になってました。ブリュンヒルデもありました。

ミロ:陶器みたいな質感で印象に残ります!

 

【No.76】みる「うし」

【サイズ】W2.1×D6.3×H3.6cm

【使用ソフト】ZBrush

【素材】Siraya Tech Fast Mecha White ABS-like

【作品解説】うしです。

 

選考会コメント

藤本:後ろ脚を見てしまいますね……。どこまでこの人はコントロールしてるんだろう。

大畠:過去3回の大賞作品を見てると思いますが、この感じで応募してくるのがやっぱりいい。魅力的だし、写真もちゃんと撮ってる。

竹谷:自分を曲げないのがいいですね。

大山:かわいいを決めあぐねてましたが、「うし」かわいいですね……。

 

【No.17】Tomis「六閃飛燕逆月」

【サイズ】W14.5×D17×H18cm

【素材】石粉粘土、エポキシパテ

【作品解説】一度は剣豪とか侍をテーマに作ってみたいなあという一心だけで作りました。最初に名前が浮かび、そこからイメージを膨らませて作るというやり方をしたので、動きの表現などは作りやすかったです。ただバランス調整をミスしたせいで自立しないのが心残りです。

 

選考会コメント

藤本:拙さはあれど、こういうことがやりたいんだ!っていうエネルギーがすごくよく伝わります。

竹谷:ポーズがいいですよね。ちゃんとこの髻(もとどり)というか、束ねた髪が動きを表してます。

藤本:この先どうなっていくのかも見たいです。洗練されていくのだろうかとか。

大畠:このまま棟方志功みたいに貫いて欲しい気もします。

藤本:50m先からみてもこの人の作品だ!ってわかると思います。それが強いな。

 

【No.5】Ruka「海の匂いを連れて帰る」

【サイズ】W18.5×D18.5×H22.5cm

【使用ソフト】ZBrush

【素材】レジン

【作品解説】特に頑張った所は魚と肌の透明感を残しながら色を重ねたところです。

彼女は遠くで獲れた魚を、袋いっぱい抱えて帰ってきました。気づけば、後ろには猫たちが集まっています。

こんな日は、村が少しにぎやかになります。今夜はきっと、旅の話が聞けそうです。

 

選考会コメント

ミロ:ネコちゃんが可愛いです!意外と魚がちゃんと「魚!」してていいですね。

塚田:魚がいい味出してますね。

 

【No.1】KengFigure「chloris」

【サイズ】W15×D15×H30cm

【素材】自然乾燥粘土

【作品解説】

Chloris is the Greek goddess of flowers, spring, and new growth.

Sculpt with airdry clay.

Sculpt in art nouveau style mix with japanese anime.

選考会コメント

ミロ:顔の造形が独特で目を惹かれました。

編:こちらは大畠さんも2位につけられていました。

大畠:石長櫻子さんやimaiMICHIRUさんを彷彿とさせる、女性的な繊細さがあっていいですよね。

 

【No.69】Jinwoo Lee「蚊面」

【使用ソフト】ZBrush

【作品解説】ある日、蚊の写真を見てふと考えました。 やはり蚊のボディラインは美しい。 この感想を無駄にしたくなかったので、人の形と組み合わせてより魅力的なクリーチャーを作ってみよう!そこで制作したのがこのモデリングです。

 

【No.35】くらのすけ「king」

【サイズ】W40×D50×H40cm

【素材】高靭性レジン

【使用ソフト】ZBrush

【作品解説】「指先から何かでないかな?」を試して、人類のほとんどを滅亡させてしまった10代の男の子。残ったのは見ざる聞かざる言わざるの猿だけ。いずれ訪れる虚無を今はまだ知らない。

全然関係ありませんが、「指先から何かでないかな」って子供の時にみんなやってると思ったんですが、周りに確認したところ私だけでした。皆さんはどうですか?

 

 

 

詳しい審査コメントは本誌にて掲載!

 

審査員プロフィール

竹谷隆之

造形家。19631210日生まれ、北海道出身。阿佐ヶ谷美術専門学校卒業。映像、ゲーム、トイ関連でキャラクターデザイン、アレンジ、造形を手掛ける。主な出版物は、『漁師の角度・完全増補改訂版』(講談社)、『造形のためのデザインとアレンジ 竹谷隆之精密デザイン画集』(グラフィック社)、『ROIDMUDE 竹谷隆之仮面ライダードライブ デザインワークス』(ホビージャパン)、『竹谷隆之 畏怖の造形』(玄光社)、『腐海創造 ー写真で見る造形プロセスー』(徳間書店)など。

大山竜

1977年1月22日生まれ。中学1年の時に映画『ゴジラvs ビオランテ』に衝撃を受け、粘土造形を開始する。雑誌『ホビージャパン』にて竹谷隆之氏の作品に出会い自由かつ個性あふれる造形に魅了され原型師の世界に憧れを抱く。その後「立体造形は趣味として続け、本業としては絵描きになりたい」と思うようになり、美術系高校に進学。周囲の同級生に絵が上手い人がたくさんいることを知り、絵の道を諦め、造形科のある美術系短大に進学するも中退。その後の21歳の時にガレージキット原型師としてデビュー、版権キャラクター、オリジナルデザイン等幅広いジャンルのモチーフを造形し続け、今年で原型師歴28年目 となる。最近はゲームのクリーチャーデザインなどジャンルを問わず幅広く活動中。

塚田貴士

1983年生まれ、京都府出身。専門学校在学中、チョコエッグがきっかけでフィギュアに興味を持つ。卒業後、玩具製造会社を経てGILLGILLに造形作家として所属。ジャンルを問わない作風で、数多くの商業原型を担当しながらイベント出展用の作品も精力的に発表している。代表作に「寺田克也版妖鳥シレーヌ」、「sheep版赤い蝋燭と人魚」など。2024年6月に玄光社より『MONSTRUM塚田貴士造形集+ZBrush入門テクニック』を出版。

大畠雅人

1985年生まれ、千葉県出身。武蔵野美術大学油画科版画コース卒業。株 式会社エムアイシーを経て、現在はフリーランス原型師として活躍中。 2015年にワンダーフェスティバルで初のオリジナル造形「contagion girl」を発表以降、オリジナル造形作品が人気を集め、2018年に初作品 集『大畠雅人作品集 ZBrush+造形テクニック』(玄光社)、2024年2月には2冊目の作品集『STRING 大畠雅人アートワークス・造形テクニック』(ボーンデジタル)を出版。近年の仕事に、NHK『おかあさんといっしょ』 人形劇「ファンターネ!」のキャラクターデザイン等。

藤本圭紀

1983年、大阪市生まれ。千葉県在 住。大阪芸術大学彫刻科の在学中 より、本格的に造形活動をスター ト。卒業後、商業原型師として株式 会社エムアイシーへ入社。2012年 から創作フィギュアの制作を開始 する。2015年、豆魚雷の主催する 「Amazing Artist Collection 第三 弾」に選出。2017年にフリーランスとなり、商業フィギュア原型と創 作フィギュアの制作を中心に、キャラクターデザインや映画作品『シン・ 仮面ライダー(2023)』の造形参加など、多方面で活躍している。2022年、 東京・高円寺にて初の個展「LITTLE GARDEN」を開催。オリジナルフィギュア作品集『BLINK』が大日本絵画より発売中。

ミロ

彫刻専攻卒の原型師。2016年からガレージキットを作り始めて2017年夏のワンダーフェスティバルに初出展。商業では主に美少女フィギュア、個人制作では二次創作からオリジナルまで制作し活動している。「Coloso.」にて原型制作の講座公開中。

 

第5回「スカルプターズ・ラボ」造形コンペ応募受付中!

テーマ

オリジナル作品

審査員

【大賞・各審査員賞】竹谷隆之さん大山竜さん藤本圭紀さん塚田貴士さん大畠雅人さん針桐双一さん植田明志さんスカルプターズ・ラボ編集部

【SK本舗賞】SK本舗

【ターナー色彩賞】ターナー色彩

応募締切

2026年10月11日(日)23:59締切